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Face of the Surface  作者: 悟飯 粒
カマスクルセイド掃討戦総指揮者決定戦の章
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消すなよ全てを

「騎士程度に2分もいらんわ!!」


ダンダンダン!!

タレスさんは開始と同時に俺の元へと走ってきた。


「吹き飛べ!!」


タレスは拳を振り上げる!!


「そりゃこっちのセリフだよ!!」


俺は持っていた栓をしている水が入っている丸瓶を相手に投げつけた。


ボッ

すると、空中で丸瓶の中で火がついた。そして……


ボン!!!

丸瓶が勢いよく爆発する!!

水蒸気爆発だ!丸瓶の中に魔法で炎を発生させ、現象を加速させる魔法を使った。だから俺の火力が弱い炎でも、一瞬で水を気化させられる!!即席爆弾の出来上がりだ!!


「んう……小癪な!!」


相手の体に刺さるガラスのカケラ。少しではあるが血が出ている。


ダンダンダン!!

ボン!!!

近づいてくれば俺は瓶を投げ爆発させ、距離を確保し、爆発させ……を3度ほど繰り返した。それでも稼げた時間は15秒ほど。2分には程遠い。

だけれどこの計算なら、あと7個で30秒以上は稼げることになる。なんとかなるかもしれない…………


「なめるなよ!!こわっぱぁあ!!!」


ダンダンダン!!

相手は諦めることなく俺に向かって走ってくる!!

だから俺は変わらずに瓶を投げつけた。


ボン!!!

大きな水蒸気を発生させながら、敵を爆発が飲み込む!!

ボフッ

けれど相手は、怯むことなく爆発を突っ切り俺に向かって走ってくる!!体にガラスが刺さろうとも御構い無しだ!


「ふん!!!!」


ドプン!!ガギン!!!

俺は粘性を持った水を盾にし衝撃を抑えてから剣の腹で受け止めた!!

力が……なんだこいつ!!健以上じゃ……


ドォオンン!!!

俺は威力を殺しきることができず、そのまま壁まで吹き飛ばされた!!

なんとか水でクッションを作ることができたが、それでも衝撃が半端ない!!なんだこの力!!

ビキッ

右手に鋭い痛みを感じ、見てみると、右手首が変な方向に曲がっていた。

マジかよ!!!あんなに威力を殺したのにこれなのか!?!?


ダンダンダン!!

敵は痛みも何も関係なく、俺に向かって走ってくる!!

くっそ………なら全部投げてやるよ!!


ドンドンドンドンドンドン!!!

6つの爆弾を放り投げ、6つの大きな爆発が起こる!!


「無駄無駄!!!」


それでも相手は止まらない!!身体中を赤くしながら走ってくる!!

なんだよ!!俺の攻撃は相手の皮を切ってるだけなのか!?


敵は右手を引き絞る!!

やばいやばいやばい!!!後ろは壁だ!!!ガードしないと!!

俺は健くん戦で見せた氷と水が交互に合わさった盾を作り出した!!そして、剣で体を守る!!


ダン!!!

敵の一撃があっさり氷と水の壁をぶち壊し、俺の剣を叩く!!

剣の側面が俺の体にめり込む!!

いっったぁぁああ!!!マジでデタラメな力してんなぁあああ!!!

パンチっつうか砲弾だよこれ!!至近距離から大砲をぶっぱなされてるようなイメージ!!

ダン!!!

再度敵の拳が俺の剣を叩く!!!

さっきと違い壁があるから、威力を殺すことなく剣を叩く!!!

ビキビキ!!

骨が悲鳴をあげる!!


ダン!!ダン!!ダンダン!!ダンダン!!ダンダンダンダンダン!!!!


止めどない敵のラッシュ!!!

壁が、俺が、剣が、全てを打ち砕きながらパンチを打ち込まれる!!!



「………終わりだな。」


タレスの破壊活動によって生み出された粉塵が、あたりに舞う。辛うじて見える狩虎の体は、ピクリとも動かなかった。彼が持っていた剣も折られていた。


「………しょ、勝者はタレス!!!開始30秒で決着がついてしまいましたぁぁああ!!!」


「うぉぉおおお!!!!」「ざまぁあみろぉおお!!!」


民衆は野太い声をあげながら、勝利に喜ぶ。


「魔力を使うまでもなかったな………」


そう言い捨て、狩虎に背を向け、タレスはチームの元へと戻っていく。


「ちょ、ちょっと!!やばい!!すぐに助けに行かないと!!!」


イリナは立ち上がり、すぐにステージに登ろうとした。

けれど、それをスカラさんは止めた。


「ダメよ、イリナちゃん。戦いはまだ……」


「っ!?」


ザン!!!

狩虎の一太刀が、タレスの右腕を切り裂いた!


「勝手に終わらせんなよお前ら!!!」


ビゅっ

俺は剣を振り、剣についた血を落とす。


「な、な、なんと!!!飯田選手ピンピンだ!!!まさかさっきまでやられたフリでもしていたというのか!!!」


あーーいってぇなぁ。剣の形で鬱血してんじゃねぇかよ。力強すぎだろ。


「きさま!!なぜ生きてる!!」


相手は、俺が立っていることなのか、それとも腕を切られたことに対してなのか驚く。

………驚くのはまだ早いと思うけどなぁ。


「んーー……なぜって言われてもなぁ………何故なんだろうなぁ………何故だと思う?」


俺は上空に浮かんでいる時計をチラ見した。

49秒経過………あと少しで1分だ。


「っ!!時間など貴様にはやらんわ!!!」


ガン!!!

タレスに再度俺は殴られ、壁まで吹き飛ばされる!!


「いたたた………力強いなぁ本当。」


俺はめり込んだ体を引っこ抜き、すぐに立ち上がる。


「それじゃあそろそろ俺も反撃といこうか?」


俺は空中に氷を無数に出現させる!!

ピュンピュンピュン!!!


それを勢いよくタレスに向けて放つ!!


「ちょこざいなぁ!!」


パリンパリーン!!

それをタレスは拳で叩き落とす!!


「………階級上がってない?ミフィー君。」


イリナは狩虎の戦いを見ながら、呟いた。


「そうよ。私が教えた必殺技っていうのは、これのことなのよ。」


ガンガンガン!!!

タレスが氷を叩き壊す隙をついて、狩虎がタレスに殴りかかり、タレスと狩虎の殴り合いが始まった!


「魔法というのは自分からアルケーを生み出すこと。それを応用して、元あったアルケーを拡張するのが今狩虎ちゃんがやっていることだし、私がよくやることなの。」


「………拡張?」


「そうよ、拡張。自分という外的要因で、無理矢理アルケーを大きくするの。そうすることで無理矢理階級を上げる………ベーキングパウダーでの膨らましみたいなものよ。」


「いや、でも、そんなの簡単に出来るわけが……」


「ええ、普通はできないわ。まずアルケーが見えないと話にならないし、才能も私レベルにならないと普通はできない。アルケーを見ることができない狩虎ちゃんには不可能なことよ。……けれど狩虎ちゃんは、身体強化魔法を多用してきたせいで、自分の魔力を弄ることに慣れていたのね。感覚だけで魔力を拡張できるようになっていたのよ。成功確率は低いけれど、それでも成功できるレベルにはここ1週間でこぎつけたの。」


目に見えないものを、感覚だけで無理矢理拡張する?なにそれ、意味がわからないんだけど………

イリナは唖然とした。狩虎がやっていることが飛び抜けていたからだ。


「あら、あなたもやったことがあるでしょ?雷の鎧を生み出して、光速並みの速度で殴る技………あれもアルケーを拡張しているのよ。あなたの場合は無意識でだけどね。」


………あれかぁ。


「狩虎ちゃんの今の防御力は1段階上がって第一類勇者並みよ。だからタレスと殴り合うことができる。」


ガガガガガガガ!!!

いったぁ!!体がいてぇ!!なんて力してんだこいつ!!!

俺は殴りながら心の中で叫んだ。


「ワシの攻撃が効かなくてちと焦ったが、貴様の攻撃はクソも痛くないぞ!!どうした!!!」


「クッソ!!」


俺はちょっとずつ押され始めた。


「………やっぱり攻撃力の伸びは良くないわね。」


スカラさんが呟く


「なんで!?階級上がってるんだよね!?なんで攻撃が全然通用してないの!?」


「狩虎ちゃんのアルケーはちょっと特殊でね、あり得ないほどに歪なのよ。防御に8割、魔力に2割程度クレイスが割り振られるようになってるの。今彼の階級が1段階上がっていたとしても、聖騎士程度よ。」


聖騎士!?弱すぎでしょ!!


「……彼のアルケーは最初は騎士クラスだったの。急激な膨張の跡があるから簡単に分かるのだけれど………そう、膨張したの。あり得ない膨張が起こったの。階級が上がったってことだからね。そんなことが魔法もなしに起こるなんてこの世界ではあり得ないわよね?」


階級が上がった?………あの、九尾との戦いの時かな?いや、それよりも騎士?最初から騎士?カイの魔力を受け取ったわけじゃないの?いやいや、そんなことよりも階級が上がったって……なんなんだ、一体何が起こってるんだ。


「そして原因を探るために彼の魔族側の魔力を見たら……たまげたわ。彼の魔力が勇者の魔力に働きかけていたのよ。彼の魔力の型は拡散と膨張。自分以外のものにまるで拡散するように、多大な影響を与えるものだったの。」


………つまり?


「彼の性格が、自分の好みに合うように魔力を歪に捻じ曲げ、膨張させたの。人を傷つけたくないって気持ちがよく分かるわ。」


はぁ?何それ、そんなのあっていいのか。性格?性格が魔力を膨らませた?魔族の魔力が勇者の魔力に影響を与えた?

………意味がわからない。


「彼は自分だろうとなんだろうと、気に入らないもの全てを自分色に染め上げるわ。それは無意識的に、でも絶対の意味を持って全てに影響を与える。……全てを無際限に成長させる化け物よ。」


………なんなんだあんたわ。

私はミフィー君を異質なものを見るような目で見つめ続けた。


「はっはっはっ!!!どうした!!終わりか!?お前の攻撃はそれで終わりか!?」


タレスが殴りながら俺を笑ってくる。

その通りだよ!!俺の攻撃はゴミクズだ!!剣を使えば多分倒すことができるが……そんなの俺が認めねぇ!!そんなことをしたら観客どもを黙らせられないからだ!!

………もっと無理するしかないなこれは!!!


ビキビキビキ!!!

俺の中にある目に見えないアルケーが、音を立てながら拡張されているのが分かる!これ以上無理に肥大化させたら体もろとも壊れるってのがよく分かる!!

………しるかんなもん!!!


「終わりなわけないだろ!!!」


ブシュゥウウ!!!


パァアアン!!!


「っ!?!?」


俺の蹴りが、タレスの頬を吹き飛ばす!!

水を踵からジェットのように噴出させ、蹴りの速度を撥ね上げた!!2段階階級をあげたことにより今の俺の魔力の質は第一類勇者と同じ!!体の頑丈さは第二類勇者!!水の噴出速度がマックスでも、今の俺なら耐えられる!!!


グイン!!!

軸足が引き千切れそうになるぐらいに力を込め、右足の軌道を変える!!

まだだ!!まだ終わらねぇ!!


パァン!!!

今度はタレスの反対の頬を蹴り飛ばす!!


ビシャン!!!


「うぉおお!!!」


観客席まで飛んで行った水は、見えない壁を強く叩く!それを見て観客は驚く!!


「いっったいぞ貴様ぁああ!!!」


メコッッ!!!

顔面を思いっきり殴られる!!

痛いっけれど!さっきほどじゃない!!これなら余裕で耐えられる!!!

残り20秒!!


ビキビキビキビキ!!!

魔力が悲鳴をあげる!!

ダメだ!!身体中が痛い!!関節がビシビシ言っている!!筋肉がメシメシ言っている!!骨がガタガタしている!!

もってくれ頼むから!!!20秒でいいから!!!


パァアン!!パァアン!!パァアン!!


俺とタレスの打ち合いが加速する!!

もうどちらも守らない!!どちらを先にぶっ潰すか、打ちのめすか、それしか考えていない!!


「なんて激しいラッシュだ!!!蹴りが、パンチが!!!両者体力の限りを振り絞って放たれている!!!」


ビチャ!!

口の中が切れて血を吐き出す!

魔力の限界を迎えているからか身体中から血が吹き出てくる!!足の筋肉がぶちぶち言ってやがる!!

知るか!!知るか!!知るか!!

今脚を振ることができればそれでいい!その後のことは知らない!!

上村さんの努力が、成果が、それ全てをなくすわけにはいかないんだよ!!勝ちたいって覚悟して、健を命がけで倒したあの人の気持ちをバカどものせいで消し去るわけにはいかない!!


「さ、さぁ!!!残り10秒!!あとたった10秒逃げ切れば狩虎選手の勝利だ!!!」


逃げるだぁ!?そんなことするわけないだろ!!観客どもを黙らせるには完膚なきまでの勝利しかねぇんだよ!!!上村さんの勝利にケチつけさせないためには、いまここで、俺がやり遂げなきゃいけないんだよ!!


「いい加減!!!」


ギュオオオオ!!!!

タレスの右手にエネルギーが集まる!!

ボン!!!!

そこに俺の軸足の切り替えの時に飛んだ小石が飛び込むと、大きな音を立てて爆発が起こった!!濃密なエネルギーの集約!!ほとんど爆弾じゃねぇか!!!


「吹き飛べ!!!!」


タレスはそれを、俺めがけて振り下ろす!!!


「だから!!!」


ギュアアン!!!

踵から出る水の速度が加速する!!

魔法で出入り口を狭めたからだ!!!


ドォオオンン!!!


タレスの拳が地面を吹き飛ばす!!

だが俺は、水の加速の反動で宙へと飛び、攻撃をかわす。


ギュギュギュギュギュ!!!!


そしてそのまま、空中で回転し体の回転を加速させる!!!

一撃で、全てを終わらせる!!


「こっちのセリフだ!!!!」


ベキッッッッ

俺は右足で、タレスの顔面を蹴り飛ばした!


タレスの首は変な方向に曲がった。


………ドサ


その場に倒れた。


ドシン!!

俺も受け身を取ることができず、顔面から墜落する!!

やっべ……時間切れだ。力がはいらねぇ。


「……………」


誰も動かない。誰も立ち上がることができない。そして、誰も声を上げることができなかった。誰も彼も、今この目の前で起こっている現実が、現実ではないようで、あり得ないものを目の当たりにしたように感じたからだ。


パチパチパチ………

けれど、イリナだけは拍手をしていた。ある1人に向けて両手を鳴らしていた。


「………しょ、勝者!!今度こそ!!今度こそ!!勝者は!!!」


ウワァアァァアア!!!!

勝者を言う前から、歓声が沸き立った。


「飯田狩虎だぁああああ!!!!!」

真夜中のテンションって怖い


重要関連作品

カイが死んだあの事件とそれ以降をイリナの視点で追っていた作品。全4話約94000文字→https://ncode.syosetu.com/n6173dd/

カイが死んだあの事件とそれ以降を狩虎視点で追っていった作品。全15話約60000文字→https://ncode.syosetu.com/n1982dm/

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