NO・34
日向は、日和と別れ、些細な紙切れなどから情報を収集していた。
仍の行方は、行動派である日和が調べたほうが効率がいいだろうと判断した二人は、仍のことを日和が、斗鬼の自分たちの知らない部分を日向が調べることにしたからだ。
それにしても・・・何なんだ?
急に消えた仍。それを知った途端、血相を変えて出て行った斗鬼。
日向は、斗鬼の過去、それに、彼の仕事を知れば、その全てを知ることが出来ると思えてならなかった。
なぜか――――何か、そう感じさせるものを、日向は感じていた。
市場を抜けたところには、小さな本貸し出し所がある。
そこに行けば、過去の都市内の新聞も、読めるだろう。
日向は、ゴミ布のような小さな紙も見のがさないように、慎重に市場内を歩き回った。
そして、本貸し出し所につくと、古い都市発行の新聞の流れ物を、一字一句見のがさないように丁寧に調べていく。
単純作業、でも、やるしかないと、彼は思っていた。
「・・・」
斗鬼は、羽織のいなくなった森の中で、一人、たたずんでいた。
俺のせいで・・・あいつが死ぬ。
それも、たくさんの借りを残したまま。
そんな情けをかけられるようなことは、彼は大嫌いだったが、こればかりは、どうしようもなかった。
あの都市に、希望の詩なんてものがあるばっかりに、そして、それを叶えようとするもの、叶えまいとするものがいるばっかりに、俺もあいつも、巻き込まれていく。
「畜生・・・」
斗鬼は唇をかみ締めて、もう一度空を見上げた。
何度も助けてもらったのに、俺は、あいつを助けることが出来ない。
そう思うと、悔しさが彼の心にあふれてきた。
斗鬼は今まで、出来るだけ、人とのかかわりを塞ごうと思っていた。
日向と日和は、斗鬼のほうが後から来た身だから、しかたないし、斗鬼自身のことは、ほとんど教えていなかった。
けれど、あいつは・・・。
曇っているような、晴れているような、微妙な天気がやってきた。
あいつは、俺の中にずしずしと入り込んできやがった。
そして、挙句に絶望して出て行って・・・つかまってしまった。
全部、仍自身がしたことなのに、斗鬼には、自分のせいに感じてならない。
そして、そんな絶望の淵に、一つの疑問を憶えた。
「・・・何故、仍は、あんなに早くつかまってしまったんだ?」
都市の奴らが来ているなどという情報は、全く入っていなかった。
情報は・・・。
「情報は・・・?」
そして、斗鬼はあることに気付く。とても、これ以上にないぐらい重要なことに。
彼は、自分の来た道をたどって、大急ぎで市場を目指した。
「さて・・・日向と分かれたし・・・」
日和は、そうつぶやいて、早速聞き込みの情報収集にかかった。
青緑の髪で、同じ色の瞳の少女。それで駄目なら、青緑の髪に、目の真っ赤な少女。
同様の質問を、何度も何度も繰り返す。
「だって、こうしてなきゃ、日向にばれちゃうし・・・?」
彼は自分自身にそう言い聞かせ、にたりと笑った表情を仮面の奥に隠したまま、単調な口調で、質問を続けた。




