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影色  作者: 奏良
36/37

NO・35

ここはどこ・・・?

意識が戻ってきたのを感じた。目を開けても、周りは真っ暗で何も見えない。

一体、何が起きているのかも分からなかった。

私は、どうなっているの・・・?

「目が覚めたかね?」

正面から声がした。見えなくても、耳で分かる。

今、声をかけてきた人は、私の目の前にいるらしい。

「危険防止のためにね、旧式だが、目隠しと手枷をさせてもらった」

「・・・ここはどこ?」

「さぁ、どこかな」

声は、男の人の声だった。

どこかで、聞いたことのある声。どこかで聞いた。でも、どこだか思い出せなかった。

「大丈夫、君を痛めつけたりするつもりは、ないからね」

私を励まそうとしているのだろうか?

でも、その声は、蔑みしか、含まれて居なかった。


「何てこった・・・」

日向は、真実を見つけてしまった。

「斗根鬼斬・・・頼みの詩を叶えるための“生贄”に」

大昔の新聞記事を読み上げる。

斗根鬼斬・・・明らかに、斗鬼だ。そこに書かれていた、頼みの詩、そして、鬼斬の能力と斗鬼の能力を照らし合わせても、一致する。

「これが・・・斗鬼の本名。斗鬼の本当の姿・・・」

頼みの詩の存在は、日向も知っていた。

昔から、都市が生まれる前からあの土地に言い伝えられていた、希望の詩。

ここに住む民が困難に陥ったとき、この詩を唱えれば、困難を乗り越えられるといわれ、今ではあんな大都市になったあの場でも、まだ言い伝えられていた。


その炎と水の源よ

淡い光を繋ぎ止めし

魂の叫びを聞き入れ

願いをかなえたる

探せ

炎と水を


「炎と水・・・」

思い当たる人物は、二人だけだった。

「斗鬼と仍か・・・」

斗鬼はここに流れてくる前、都市に居た。その当時から、今ほどではなくても炎を操るという能力を持っていた斗鬼だが、自身も周囲も、それはそれだと割り切っていたに違いない。

「そこに、不況がきたのか・・・」

この記事が書かれた当時、都市はかつてない大不況に見舞われていた。

他にない発展をとげ、これ以上にいい場所はない、とまで言われ、平穏に暮らしていた市民たちがそんな不況を自らの手で乗り越えられるはずがなかった。

だから、頼みの詩にすがったんだ。

それに巻き込まれたのは、他の誰でもない、斗鬼だったのだ。

「・・・そうだったのか・・・それの後で、あれ(・・)があって・・・」

日向は、全てを悟った。

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