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影色  作者: 奏良
34/37

NO・33

「どうしてここにいる・・・!」

「海人仍・・・おまえらと一緒にいるんだろう。いや・・・いたんだろう」

羽織がにやりと笑って、斗鬼を見る。

背筋が思わずぞくりとなった。それを抑え、斗鬼が答えた。

「おまえらが連れ去ったのか?」

「あぁ・・・あいつに生きていてもらっては困るんだよ」

「何?」

「頼みの詩・・・」

羽織のつぶやきに、斗鬼が目を見開く。

「お前が都市を出て行ったきっかけもこれだったか?」

「・・・まさか!」


その炎と水の源よ

淡い光を繋ぎ止めし

魂の叫びを聞き入れ

願いをかなえたる

探せ

炎と水を


耳元で、あの詩が聞こえる。

それと一緒に、“お前が救いだ!”“捕まえろ!”“神にささげろ!”という、市民の叫び声と、大きな手がよみがえってきた。

やめろ・・・止めてくれ・・・。

その声と映像を振り払うそうに、斗鬼がつぶやく。

「・・・水の源」

「困るんだよ。あの頼みの詩が実行されては」

「・・・」

「せっかくお前が都市から出て行ってくれたのに、今度は水の源が現れてしまった。・・・消すしかないだろう?」

「・・・」

「なぁ、斗根鬼斬(とねきざん)

「!」

斗鬼が驚いたように羽織を睨み見た。

「頭文字とって斗鬼だったか?名前を捨てるとか言って、結局捨てきれなかったんだろう。

自分が捨てられた身だから、何も捨てられない。お前はそんなもんさ」

羽織がにやりと笑って斗鬼を見下ろす。


「捨て子の・・・鬼斬ちゃん・・・?」


そう言い残し、羽織は霧の中に消えた。

斗鬼は、うつむいて、それから天を仰いだ。

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