NO・33
「どうしてここにいる・・・!」
「海人仍・・・おまえらと一緒にいるんだろう。いや・・・いたんだろう」
羽織がにやりと笑って、斗鬼を見る。
背筋が思わずぞくりとなった。それを抑え、斗鬼が答えた。
「おまえらが連れ去ったのか?」
「あぁ・・・あいつに生きていてもらっては困るんだよ」
「何?」
「頼みの詩・・・」
羽織のつぶやきに、斗鬼が目を見開く。
「お前が都市を出て行ったきっかけもこれだったか?」
「・・・まさか!」
その炎と水の源よ
淡い光を繋ぎ止めし
魂の叫びを聞き入れ
願いをかなえたる
探せ
炎と水を
耳元で、あの詩が聞こえる。
それと一緒に、“お前が救いだ!”“捕まえろ!”“神にささげろ!”という、市民の叫び声と、大きな手がよみがえってきた。
やめろ・・・止めてくれ・・・。
その声と映像を振り払うそうに、斗鬼がつぶやく。
「・・・水の源」
「困るんだよ。あの頼みの詩が実行されては」
「・・・」
「せっかくお前が都市から出て行ってくれたのに、今度は水の源が現れてしまった。・・・消すしかないだろう?」
「・・・」
「なぁ、斗根鬼斬」
「!」
斗鬼が驚いたように羽織を睨み見た。
「頭文字とって斗鬼だったか?名前を捨てるとか言って、結局捨てきれなかったんだろう。
自分が捨てられた身だから、何も捨てられない。お前はそんなもんさ」
羽織がにやりと笑って斗鬼を見下ろす。
「捨て子の・・・鬼斬ちゃん・・・?」
そう言い残し、羽織は霧の中に消えた。
斗鬼は、うつむいて、それから天を仰いだ。




