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影色  作者: 奏良
28/37

NO・27

「ん・・・」

痛みで目が覚めた。

上を見上げると、斗鬼さんと日和が顔を覗き込んでいる。

「目、覚めたな」

斗鬼さんが確認するように言ってきたので、私はうなずいた。

「それで・・・早速で悪いんだが、報告がある」

「報告?」

「都市の奴らが、お前を追っている」

「・・・」

私は黙りこくった。

一度手放したものを、何故追う必要がある?

私は問おうとして止めた。

斗鬼さんや日和だって、知らないと思う。

そんなことを聞いてもどうにもならない。

「日和と日向が偽名を使ってるのは知ってるよな」

私は黙ってうなずいた。

「あれは、安全上の理由だ。不用意に本名を名乗るのは止めたほうが良い」

「私も偽名を使うの?」

「都市の奴らも何をするつもりなのか分からない。安全上の理由だ」

「・・・」

本当に安全なんてあるのかわからないけど、でも、確かに本名は名乗らないほうがいいのかもしれない。

斗鬼さんに代わって日和が言う。

「でね、この間の乱で仍、顔出したじゃん」

「うん」

「でも、あっちは水使いの子供としか思っていないみたい。海人仍と同一人物とは思っていないんだ」

「うん」

「だから、ナイトでどう?」

「何が?」

「偽名」

仍=夜=ナイトで引っ掛けたのだと思うが、そこで何でナイト?

「同一人物だと思われていないんだから、いっそ、性別を逆に思わせる名前のほうが良い。だから、ナイト」

ニコニコ笑って日和が言う。

ネーミングセンスはどうかと思うが、他に思いつかないので、私はうなずいた。


偽名。

ニセの名前。

安全上。

斗鬼さんの小屋を出て、自分の小屋に帰ってから私は考えた。

腕にある傷を見る。

糸も使っていないのに、きれいにくっついていた。

斗鬼さんがやってくれたのだろうか?

「斗鬼」という名前。

それも偽名なのだろうか?

私はまだ何も知らない。

知りたい。

そう思うのは、いけないことだろうか?

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