NO・27
「ん・・・」
痛みで目が覚めた。
上を見上げると、斗鬼さんと日和が顔を覗き込んでいる。
「目、覚めたな」
斗鬼さんが確認するように言ってきたので、私はうなずいた。
「それで・・・早速で悪いんだが、報告がある」
「報告?」
「都市の奴らが、お前を追っている」
「・・・」
私は黙りこくった。
一度手放したものを、何故追う必要がある?
私は問おうとして止めた。
斗鬼さんや日和だって、知らないと思う。
そんなことを聞いてもどうにもならない。
「日和と日向が偽名を使ってるのは知ってるよな」
私は黙ってうなずいた。
「あれは、安全上の理由だ。不用意に本名を名乗るのは止めたほうが良い」
「私も偽名を使うの?」
「都市の奴らも何をするつもりなのか分からない。安全上の理由だ」
「・・・」
本当に安全なんてあるのかわからないけど、でも、確かに本名は名乗らないほうがいいのかもしれない。
斗鬼さんに代わって日和が言う。
「でね、この間の乱で仍、顔出したじゃん」
「うん」
「でも、あっちは水使いの子供としか思っていないみたい。海人仍と同一人物とは思っていないんだ」
「うん」
「だから、ナイトでどう?」
「何が?」
「偽名」
仍=夜=ナイトで引っ掛けたのだと思うが、そこで何でナイト?
「同一人物だと思われていないんだから、いっそ、性別を逆に思わせる名前のほうが良い。だから、ナイト」
ニコニコ笑って日和が言う。
ネーミングセンスはどうかと思うが、他に思いつかないので、私はうなずいた。
偽名。
ニセの名前。
安全上。
斗鬼さんの小屋を出て、自分の小屋に帰ってから私は考えた。
腕にある傷を見る。
糸も使っていないのに、きれいにくっついていた。
斗鬼さんがやってくれたのだろうか?
「斗鬼」という名前。
それも偽名なのだろうか?
私はまだ何も知らない。
知りたい。
そう思うのは、いけないことだろうか?




