NO・26
斗鬼は異物を取り除くと、傷口に沿って炎を這わせた。
こうすると、糸を使わずに傷口を完全に塞ぐことができる。
斗鬼は自分の傷口にもやろうとして、止めた。
この糸をはずせば、仍に対する恩を自分で消してしまう・・・
そう感じた斗鬼は仍を見た。
また借りだ。
いつも助けてもらってしまう。
斗鬼は自分自身のなさけなさを感じた。
「・・・」
羽織は集り始めた人体実験の報告書に目をやっていた。
成功率が高い。
小さな村だ。医療機関だって満足にない。
羽織は口先をゆがめた。
だが・・・
「あの水使い・・・」
羽織は、村にいた水使いが妙に気になっていた。
火と水
まさか・・・?
いや、それはない。
羽織は自らの頭に浮かんできたものを振り払った。
それより、あの生贄を・・・生贄はあの少女でなくてはならないのに・・・
もし、死んでいなかったら・・・都市は終わりだ・・・
羽織は唇をかみ締めた。
あの少女が、様々な意味で都市の救世主なんだ。
なんとしても見つけ出して、もう一度確実に「死」を・・・
海人仍、どこにいる・・・?
我々の望みは、お前の死だ・・・
確実な死を・・・
「斗鬼・・・」
小屋の戸が開いた。
「日和、ダイジョウブか?」
「あぁ・・・仍は?」
「ダイジョウブだ、日向は?」
「まだ寝てるよ」
「そうか・・・」
沈黙が流れた。
日和が重い口を開く。
「斗鬼、都市の奴らが仍を探してるよ」
「あぁ・・・前の戦乱では気づかれなかったが・・・」
「何故都市の奴らは仍を探してるんだろう?」
「生贄・・・といっていたが、他の奴でもいいだろうに、何故いなくなった仍をもう一度探す必要がある?」
「都市の奴らは何がしたいんだ?」
日和の質問に斗鬼は考えた。
そうだ、何が目的だ?
羽織・・・何がしたい?
斗鬼は小屋の外を見た。




