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影色  作者: 奏良
26/37

NO・25

斗鬼は目を覚ました。

息苦しさも、めまいもない。

助かったのか・・・?

斗鬼は、不意に痛んだ左手を見た。

縫った糸と傷がある。

腫れも引いている。

となりのベッドでは、日向と日和が寝息を立てていた。

助かったんだ・・・

斗鬼は大きく息を吐いた。

その時気づいた。

あれ・・・?

仍はどこだ・・・?

きっと、あいつがやってくれたんだろうが、姿が見当たらない。

ベッドから降りた斗鬼は、驚いて目を見開いた。

「仍!」

斗鬼はドアの近くで倒れている仍を見つけた。

何時間前に発症したのだろうか、体がすごく熱い。目も赤に戻っている。

自分と違い、右の腕のほうが赤く腫れている。

それに・・・右の手のひらが焼け爛れていた。

仍は、異物を取り除く際に、はさみを熱湯消毒したが、手はどうしようもなく、消毒のために自らコンロで手をあぶったのだ。

「おい、仍、仍!」

斗鬼はありったけの声で叫んだが、荒い息の音しか聞こえなかった。

仍を抱え、斗鬼は自分の小屋に駆け込んだ。

ゆっくりと壊れ物を運ぶように仍をベッドへおろす。

ちくしょう、また借りが出来てしまった・・・

斗鬼はそう思って唇をかんだ。

荒い息をした仍は、一向によくならない。

どうすれば・・・どうすればいいんだ?

斗鬼は自分の左手を見た。

これだ・・・これを・・・これをやるんだ・・・

斗鬼は仍の腫れた右腕を見た。

何か、異物が入っているんだ。それを取り除かなければ、仍は・・・

借りのあるまま死んでもらっちゃ困るんだ!借りは返すから借りなんだ!

斗鬼は自らの手を火であぶった。

火の能力を使う斗鬼は、火で焼こうがあぶろうが、皮膚が焼け爛れることも、熱いと感じることさえない。

消毒を終えた斗鬼は、変化のない自分の手を見た。

だが・・・こいつは・・・

斗鬼は熱湯消毒した日和のメスを握った。

水の能力者である仍が、火なんかに耐えられるはずがなかった。

なのに・・・

斗鬼はメスを握りなおした。


絶対助ける。

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