NO・25
斗鬼は目を覚ました。
息苦しさも、めまいもない。
助かったのか・・・?
斗鬼は、不意に痛んだ左手を見た。
縫った糸と傷がある。
腫れも引いている。
となりのベッドでは、日向と日和が寝息を立てていた。
助かったんだ・・・
斗鬼は大きく息を吐いた。
その時気づいた。
あれ・・・?
仍はどこだ・・・?
きっと、あいつがやってくれたんだろうが、姿が見当たらない。
ベッドから降りた斗鬼は、驚いて目を見開いた。
「仍!」
斗鬼はドアの近くで倒れている仍を見つけた。
何時間前に発症したのだろうか、体がすごく熱い。目も赤に戻っている。
自分と違い、右の腕のほうが赤く腫れている。
それに・・・右の手のひらが焼け爛れていた。
仍は、異物を取り除く際に、はさみを熱湯消毒したが、手はどうしようもなく、消毒のために自らコンロで手をあぶったのだ。
「おい、仍、仍!」
斗鬼はありったけの声で叫んだが、荒い息の音しか聞こえなかった。
仍を抱え、斗鬼は自分の小屋に駆け込んだ。
ゆっくりと壊れ物を運ぶように仍をベッドへおろす。
ちくしょう、また借りが出来てしまった・・・
斗鬼はそう思って唇をかんだ。
荒い息をした仍は、一向によくならない。
どうすれば・・・どうすればいいんだ?
斗鬼は自分の左手を見た。
これだ・・・これを・・・これをやるんだ・・・
斗鬼は仍の腫れた右腕を見た。
何か、異物が入っているんだ。それを取り除かなければ、仍は・・・
借りのあるまま死んでもらっちゃ困るんだ!借りは返すから借りなんだ!
斗鬼は自らの手を火であぶった。
火の能力を使う斗鬼は、火で焼こうがあぶろうが、皮膚が焼け爛れることも、熱いと感じることさえない。
消毒を終えた斗鬼は、変化のない自分の手を見た。
だが・・・こいつは・・・
斗鬼は熱湯消毒した日和のメスを握った。
水の能力者である仍が、火なんかに耐えられるはずがなかった。
なのに・・・
斗鬼はメスを握りなおした。
絶対助ける。




