NO・22
「さて・・・」
羽織は自分の机について、旧式のシャープペンシルを持った。
やはり生贄の少女はいなかった。
だが・・・
「あいつがいたな・・・」
数年ぶりの再会。また面白いことになる・・・
羽織はにやりと笑った。
そして、机の上においてある報告書に目をやる。
すると、興味深いものを見つけた。
「髪も目もシアン色の子供か・・・」
束ねられた報告書の中に、【髪の短く、背の低い少年(もしくは少女)】との走り書きがあった。
しかも、そこには得体の知れない能力者だとまで書いてある。
「こいつも面白そうだ・・・」
羽織は口元をさらにゆがめた。
次は何をやってやろうか・・・?
あいつと別の能力者のいる村。
いや、あの村を逃げている可能性も考えよう。
そうだ、いっその事、都市外の村で人体実験をやってやるのはどうだろうか?
・・・面白い。
あいつらはどうするかな?
羽織は席を立った。
あの日から数日たち、あの村も、その近辺の村もまた元に戻り始めていた。
市場の復帰とまでは行かないけれど、店の人たちも荒れた場所の掃除を始めている。
都市のように整備の整った医療施設もない村ばかりなので、毎年何十人もの死者が出る都市の近辺。
だが、たった一度の攻撃で、数時間のことで、ここまで死者が出たのは始めてらしく、
村人たちも、どこか落ち着かない様子でおろおろしている。
私は小屋から出ると、空を見上げて息を吐いた。
その時、
ものすごい爆発音が森や村に響いた。
「な・・・何?!」
私はそこに立ち尽くした。
「何があった?!」
斗鬼さんもあわてた様子で小屋から出てくる。
「仍!斗鬼!」
周辺の村に行っていた日和と日向があわてた様子で走ってくる。
「置くの村でガス爆弾が・・・」
「その隣村では有害な物質が食物に混ぜられて・・・」
「ガス・・・有害・・・」
斗鬼さんの息を呑む声が聞こえた。
私は恐る恐る聞く。
「それって都市からの・・・」
「そのとおり」
悪寒がした。
「羽織・・・何を考えているんだ?」
斗鬼さんがそうつぶやいているのが聞こえた。
「それで・・・!」
その時、続きを言おうとした日和が目を見開き、倒れた。




