NO・20
それから少しして、逃げ延びた村人たちが帰ってきた。
息絶えた村の人たちは日向と日和が手早く供養した。
なんだか、日向も日和も「慣れた手つき」だったのに少し複雑な気分だったが、
今はそんなことを言っている余裕はない。
私はアルコールの入っている酒と汚れのない布をもって斗鬼さんのところへ行った。
「何する気だ」
斗鬼さんはまだ血の流れ続ける左肩を抑えながら私を見た。
「消毒です」
私は当たり前のように言った。
「余計なお世話だ。俺の体はそんなに柔じゃ・・・」
「柔じゃないのは知ってますが、今は消毒です」
私は少し自分がこんなふうにしゃべっていることが少し信じられなかった。
都市にいた頃から、私はあまり自分の主張をしなかった。
なんだか、ここに来て自分まで変わったみたいだ。
「おい水少女・・・お前何をどうしたいんだ?」
「あ、はいはいはい、消毒です」
私はアルコールのしみこんだガーゼを斗鬼さんの肩に乗せた。
斗鬼さんは一瞬卑屈な顔をしたが、それからは無表情でよく動く私の手を見ている。
それから今度は水をしみこませた布を乗せ、傷口を拭く。
そして、私はまだ使っていない布を斗鬼さんの肩に巻いた。
「完了です」
「・・・どうもな」
斗鬼さんはぶっきらぼうにそういうと手を肩に置きながら森のほうへ進んでいった。
「相変わらずきざだねぇ」
いつの間にか後ろに来ていた日和がそうつぶやいていた。
「うん」
私はそういって笑いかけた。




