NO・19
「もういやだ!」
私は自分でもわからぬままそう叫んで、斗鬼さんの前に立った。
あたりから武器が飛んでくる。
私は思わず目を閉じて水を出した。
「仍!」
斗鬼さんがそういった気がした。
いっぺんにあたりが静まり返る。
時がとまったかとすら思った。
・・・?
一瞬自分が死んでしまったかと感じたが、そうではなかったらしい。
色んな人たちの声が、少し遠めに聞こえる。
あれ?
私はゆっくりと目を開けた。
私と斗鬼さんの周りを透明の「膜」のようなものが覆っている。
何これ?
自分でも訳がわからずあたりを見渡した。
後ろで身をかがめていた斗鬼さんが、痛みに一瞬顔をゆがめてからこっちをみた。
私も首を傾げて見返す。
斗鬼さんは無言で火を指先に熾した。
そして、膜の近くに持っていく。
とたんに火が消えた。
つまり、これは・・・
「水だ」
斗鬼さんはそういってもう一度私を見た。
・・・これをやったのは私だった。
私たちと外にいる日向と日和、それから兵士たちが驚いているとき、急に背筋がぞくりとした。
なんだか、とてもいやな感じだ。
それを感じ取った兵士たちが徐々に青ざめていく。
そして、マイク越しに聞こえるような大きな声が聞こえた。
「退却」
その声はそれだけ言うと、いやな感じも同時に消えた。
兵士たちは、重そうな足取りで自分たちの乗り物へと乗っていく。
その時、またあの感覚がした。
「斗鬼、久しぶりだな」
私は驚いて斗鬼さんを見た。
「羽織・・・」
斗鬼さんはそうつぶやいていた。
「また会おう」
そういった声は皮肉が混じった楽しげな声だった。
そして、あの感覚が消えた。
私にとって初めての戦いが終わった。




