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【20万PV突破・毎日更新中】転生したら錬金術が得意な貴族家の女の子でした  作者: 双葉アリア
第三章 水面下の綻び編

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185話 需要の行方、サンドイッチの可能性⑤

なんとか実家に宿泊という意見を押し切り、重い体に鞭を打ちながら電車へ乗り込む。


そして――


私達は再び仙台駅へ戻ってきた。


先程までいたイ〇ンモールも人は多かったが、やはり仙台駅はその何倍もの人の多さで圧倒される。


事実、帰宅ラッシュの時間ということもあり、仙台駅とは反対方向へ向かう電車には大勢の人が乗っており、どこか窮屈そうだった。


「......凄いな」


ルーカスお兄様が思わず呟く。


「人だらけですね......」


リュシアさんも周囲を見回した。


「これ全員どこに行くんですか?」


メルが不思議そうに首を傾げる。


「家ですよ」


「全員?」


「全員です」


「......」


「......」


「そんなに家あるの?」


「あります」


即答だった。


「王都のお祭りの日みたいね」


アメリアお姉様が感心したように呟く。


「毎日これなんですか?」


「平日なら大体こんな感じですね」


「毎日お祭り......?」


「違います」


即答だった。


「これが This is Japanese 社畜よ」


「変なこと言わないでください!」


私は即座にツッコミを入れる。


「しゃちく?」


ルーカスお兄様が首を傾げた。


「働き過ぎる人のことですね」


「なるほど」


一拍。


「奴隷か?」


「違います」


即答だった。


「違いますよね?」


カイルが確認する。


「法律上は違います」


「法律上?」


「法律上です」


会話が止まった。


「......」


「......」


「......」


「怖っ!?」


メルが思わず叫んだ。


「大丈夫よ」


ミストルティン様が笑顔で言う。


「ちゃんとお給料は出るから」


「フォローになってません!!!!」


私は思わず叫んだ。


「というか神様がその辺の闇に詳しいのやめてください!」


「社会勉強よ♪」


「何のですか!?」


そんな話をしていると改札を抜けペデストリアンデッキへといた。


後ろの方ではやはり人が密集しておりひっきりなしに改札機の音がかすかに聞こえる。


「ホテルまでのバスまだ先ですね」


「何分後かしら?」


「今出発したばかりなので二十分後ですね」


会話が止まった。


「二十分......」


「長いな」


ルーカスお兄様が呟く。


私はペデストリアンデッキの時計を見る。


まだ少し時間がある。


夕方ということもあり、空はオレンジ色に染まり始めていた。


下を見るとバスやタクシーがひっきりなしに出入りしている。


「本当に人が多いですね......」


リュシアさんが周囲を見回した。


「しかも誰も知り合いじゃないのよね?」


アメリアお姉様も不思議そうに言う。


「そうですね」


私は頷く。


「多分ここにいる人全員赤の他人です」


「......」


「......」


「怖っ」


メルが即答した。


「なんで怖いんですか」


「だって王都ならどこかしらで知ってる人見つかるもん」


「まぁそれはそうですね」


人口密度が違いすぎる。


すると――


「暇ね」


ミストルティン様が呟いた。


嫌な予感がした。


「嫌な予感しかしません」


私は即答する。


「何かしらその反応は」


「今までの実績です」


「失礼ね」


ミストルティン様は頬を膨らませる。


そして――


何かを思い付いたようにニヤリと笑った。


「あっ」


私は察した。


「ちょっと買い物してくるわ」


「やっぱり!!!!」


即答だった。


「何買うんですか?」


「秘密♪」


「絶対ろくなものじゃないですよね?」


「大丈夫よ」


その言葉が出た時点で大丈夫ではない。


「二十分後には戻るから」


そう言い残し――


ミストルティン様はヨ〇バシ方面へと消えていった。


「......」


「......」


「......」


全員で見送る。


「追いかけます?」


カイルが聞く。


「やめましょう」


私は静かに首を振った。


一拍。


「どうせ止めても買います」


誰も反論しなかった。


「それもそうだな......」


「近くの商業施設でも見る......?」


私の視線の先にはイー〇-ンズがある。


「お腹少しでも軽くしたいですし行きましょう......」


「「「賛成」」」


「じゃあ行きましょうか」


私達はペデストリアンデッキを歩き始める。


夕方の仙台駅。


行き交う人々。


次々と発着するバス。


そして仕事帰りと思われる人達。


「本当に人が多いな......」


ルーカスお兄様が感心したように呟く。


「まだ増えますよ」


「増えるのか?」


「金曜日ですし」


「怖い......」


リュシアさんが即答した。


そしてペデストリアンデッキから地上に降りお店の中へと入る。


「あれ? ここドラッグストアだっけ?」


やはり月日と言うのは流れる物であり私が知るテナントと大きく変わっている。


「エレノア様でも知らないんですか?」


「正確には昔のお店と違うんだよね」


「なるほど......」


近くのアイス屋さんもPCショップもなくなっており違和感しかない。


だが奥へと進むと明らかに売り場面積が縮小されアニメグッズ専門店と化したPCショップとスマホやPC関連の専門店があった。


そしてーー


ラーメン屋さんの香りだけは変わっておらず相変わらずとてもいい香りがしていた。


「そういえばこのタブレットそろそろ寿命なんだよね......」


ぽつりと呟く。


事実このタブレットは数年前にミストルティン様から貰った物だ。


何回か買い替えを打診されてはいたが、愛着があり変えずにずっと使ってきた。


だが時代と共にどんどんバッテリーが劣化していきついにはネットサーフィンももっさりとするようになった。


「ちょっとここ寄ってもいい?」


私はスマホやPC関連の商品が並ぶお店を指差した。


「構わんが......」


ルーカスお兄様が首を傾げる。


「何か買うのか?」


「買うかはわかりませんけどね」


私は肩を竦めた。


「このタブレットそろそろ寿命なので」


「寿命?」


カイルが聞き返す。


「壊れるのか?」


「壊れる一歩手前ですね」


私はタブレットを取り出す。


一拍。


画面を点ける。


「......」


「......」


「......」


数秒経過。


「遅っ!?」


メルが思わず叫んだ。


「でしょう?」


私は頷く。


「最近こんな感じなんだよね」


「それは買い替えた方がいいのでは......?」


リュシアさんが苦笑する。


「私もそう思うんだけど」


一拍。


「愛着あるんだよね」


すると――


「わかる!」


メルが勢いよく頷いた。


「お気に入りのフライパン捨てられないもん!」


「それはちょっと違う気がします」


カイルが静かに突っ込んだ。


「でも気持ちはわかりますよ」


私は頷く。


そして店内へ入る。


「......」


「......」


「......」


「タブレットってこんな高いのか......?」


ルーカスお兄様が呟く。


「感覚で言えば魔道具と同じですね......」


カイルも頷く。


「間違いではないけど間違っているような......?」


私は微妙な表情を浮かべた。


「どういうことだ?」


「魔力は使いません」


「うむ」


「誰でも使えます」


「うむ」


「でも出来ることは魔道具並みです」


「......」


「......」


「魔道具では?」


「だから微妙なんですよ」


即答だった。


「これとか安いよー!!」


メルが元気よく指差す。


私もそちらを見る。


そして――


「それはダメ」


「どうして?」


「それ今使ってるのより古いやつだから」


会話が止まった。


「......」


「......」


「古いのに売っているのか?」


ルーカスお兄様が首を傾げる。


「売ってますよ」


「何故だ?」


「安いからですね」


「なるほど」


一拍。


「じゃあそれでいいのでは?」


「ダメです」


即答だった。


「何故だ?」


「買い替える意味がなくなるので」


「......」


「......」


「なるほど」


カイルが頷く。


「壊れかけの馬車を新しい馬車に買い替えると思ったら」


一拍。


「さらに古い馬車を買うようなものですね」


「そんな感じです」


「理解した」


ルーカスお兄様も頷いた。


「じゃあどれがいいんだ?」


「んー......」


私は値札を眺める。


「正直今使ってる用途だけならこれで十分なんだけど......」


一拍。


「高いなぁ......」


「ちなみに予算はいくらだ?」


ルーカスお兄様が聞く。


「二十万くらい?」


私が答える。


会話が止まった。


「......」


「......」


「......」


「なら妥当ではないですか?」


カイルが頷く。


「アトリエのせいで感覚がおかしくなってるけど、この世界だとひと月分のお給料だからね?」


私は即答する。


会話が止まった。


「......」


「......」


「......ひと月?」


ルーカスお兄様が聞き返す。


「ひと月」


「給料?」


「給料」


「板一枚が?」


「板一枚です」


「......」


「......」


「......高すぎないか?」


「高いよ?」


即答だった。


「本当はまだ使いたいけどそろそろ限界だし.......」


正直非常に悩む。


お金は別に問題ないのだが愛着のあるタブレットをまだ使い続けたいという気持ちもある。


「うーん......」


悩んでいるとーー


「エレノア様! そろそろ時間ですよ!!」


時計を見るとまもなくバスの時間だった。


「えーい!!! もう買っちゃえ!!!」


熟考の末、勢いで購入する。


「決断が雑では?」


カイルが真顔で呟いた。


「こういうのは勢いが大事なの!」


即答だった。


勢いがないといつまでも悩んでしまう。


店員さんに声を掛け、手続きを進める。


「こちらでよろしいですか?」


「はい」


「色はどうされますか?」


「んー......」


一拍。


「黒で!」


そして数分後――


私は新しいタブレットが入った箱を受け取った。


「買ったのか」


ルーカスお兄様が呟く。


「買いました」


私は箱を軽く持ち上げる。


「おめでとうございます!」


メルが拍手する。


「ありがとう」


もっとも――


私は鞄の中にある古いタブレットへ視線を落とした。


五年以上使った相棒。


小説も。


調べ物も。


動画も。


ゲームも。


全部これだった。


「......」


少しだけ寂しい。


すると――


「まだ使うんだろう?」


ルーカスお兄様が聞く。


「もちろん」


私は即答した。


「流石に捨てないよ」


一拍。


「引退してもらうだけ」


その言葉に。


少しだけ気持ちの整理が付いた気がした。


「エレノア様ー!」


メルが手を振る。


「本当に時間ないですよー!」


「あっ」


時計を見る。


バスの発車まであと数分。


「急ぐよ!」


「「「おー!」」」


そして私達は慌ててお店を飛び出す。


なお――


その頃。


「ふふふ......」


エレノアがタブレットを買ったお店と同じ系列で、ミストルティン様も()()()購入していた。


「まさかここでこれに出会えるとはね......」


満足そうに箱を眺める。


白を基調とした小さな箱。


だがその中身を知る者はほとんどいない。


「中古だけど状態も悪くないし」


一拍。


「お値段もお手頃」


店員さんも少し驚いたような顔をしていた。


「これを買われるんですか?」


「ええ」


ミストルティン様は即答する。


「使い道があるのよ」


もっとも。


その使い道を聞けば店員さんはきっと困惑しただろう。


「ふふふ......」


袋を受け取りながら笑う。


「エレノアとメルの反応が楽しみね」


完全に何か企んでいる顔だった。


ーー翌日


「おはようございます」


「......おはよう」


「眠い......」


仙台駅から少し離れたビジネスホテルで目を覚ます。


昨夜はお腹いっぱい過ぎて何も食べずにそのまま寝たお陰か、非常に空腹だった。


「ほらメル! 二度寝しない!」


「ふにゃぁ......」


ベッドの中で丸くなっているメルを揺する。


しかし。


「あと五分......」


「ダメです」


「三分......」


「ダメです」


「一分......」


「ダメです」


即答だった。


「ダメだこりゃ......」


私は深いため息を吐く。


すると――


「朝から元気ね」


アメリアお姉様が苦笑する。


「お腹空いたので」


「それは私もよ」


アメリアお姉様も頷いた。


昨日のコ〇ダ珈琲。


二十人前のサンドイッチ。


大量のハンバーガー。


シロノワール。


あれだけ食べたというのに。


一晩寝たら普通にお腹が空いている。


人間とは不思議な生き物である。


「朝食会場行くぞー」


ルーカスお兄様が部屋の外から声を掛ける。


「もう行くんですか?」


「七時過ぎたぞ」


時計を見る。


七時十分。


「......」


「......」


「メル」


「むにゃ......」


「置いていきますよ?」


会話が止まった。


「......」


「......」


「......朝ごはん?」


メルがゆっくりと目を開ける。


「朝ごはんです」


「行く!!!」


飛び起きた。


「現金ですね......」


「だってお腹空いたもん!」


それは私も同じだった。


もっとも――


朝食会場へ向かった私達は。


そこで再び異世界組が驚愕することになるのだが。


ーー朝食会場


「え......」


思わず声が漏れた。


朝食会場はあまりにも人がまばらだった。


そして――


朝食バイキングの棚はパンしかない。


「......」


「......」


「......」


会話が止まった。


「エレノア」


ルーカスお兄様が静かに聞く。


「なんでしょう?」


「売り切れか?」


即答だった。


「違います」


「違うのか」


「違います」


一拍。


「これが全部です」


会話が止まった。


「......」


「......」


「......はい?」


今度はアメリアお姉様が固まった。


「パンだけ?」


「パンだけです」


「おかずは?」


「ありません」


「スープは?」


「ありません」


「卵は?」


「ありません」


「......」


「......」


「......」


異世界組の思考が停止した。


「なんかあまりにも安すぎるなーとは思ったけど、こういうことだったのね......」


私は納得する。


昨日予約した時。


正直仙台駅近くにしては妙に安いと思ったのだ。


そして遅れるようにミストルティン様とリュシアさんもやって来た。


「おはようございます」


「おはよう」


「......?」


二人とも私達の様子がおかしいことに気付いたらしい。


そして朝食コーナーを見る。


「え!? 朝ごはんパンだけなの!?」


ミストルティン様もびっくりしている。


「知らなかったんですか!?」


私は思わず突っ込んだ。


「知らないわよ!」


即答だった。


「だって寝る場所しか見てなかったもの!」


「でしょうね!!」


全員の声が綺麗に重なった。


一拍。


「別のとこで食べる......?」


私が静かに提案する。


「賛成」


即答だった。


しかも全員一致だった。


「じゃあチェックアウトするわよ」


そう言って私達は一度それぞれの部屋へ戻る。


荷物をまとめ。


身支度を整え。


そしてホテルを後にした。


ーー数十分後


「本当に入れるんですか?」


リュシアさんが少し不安そうに聞く。


「宿泊客じゃなくても朝食だけ利用できるらしいですよ」


「便利な世界ね」


アメリアお姉様が感心したように頷いた。


そして――


仙台駅目の前の高級ホテルのバイキング会場には、私たち七人がとても美味しそうな料理を皿いっぱいに取っている光景が広がっていた。


「やっぱ朝食バイキングはこれじゃなきゃ!!!!!!」


私は満面の笑みで宣言した。


「さっきと言ってることが違わないか?」


ルーカスお兄様が呆れたように聞く。


「違いません」


即答だった。


「パンしかない朝食と」


一拍。


「朝食バイキングは別物です」


「同じ朝食では?」


「別物です」


即答だった。


「ほら見てください!」


私はテーブルを指差す。


焼き魚。


卵焼き。


ソーセージ。


ベーコン。


サラダ。


パン。


ご飯。


味噌汁。


フルーツ。


ヨーグルト。


そしてデザート。


「......」


「......」


「......」


異世界組が静かに料理を見る。


「待て」


ルーカスお兄様が真顔になった。


「なんですか?」


「これ全部食べ放題か?」


「食べ放題です」


「追加料金なしで?」


「なしです」


「......」


「......」


「昨日のコ〇ダより理解できん」


結論は変わらなかった。


すると――


「見てください!」


メルが駆け寄ってくる。


「パンだけで六種類ありました!」


「パンだけでテンション上がるな」


カイルが苦笑する。


「だってさっきはパンしかなかったもん!」


「その言い方だとパンが悪いみたいだからやめてください」


即答だった。


パンに罪はない。


問題は内容である。


そして――


「エレノア」


アメリアお姉様が静かに聞く。


「なんでしょう?」


「昨日」


一拍。


「二十人前食べたのよね?」


「食べましたね」


「なんでこんなに食べられるのかしら」


「私も不思議です」


即答だった。


すると――


「そんなことより!」


どこかで聞いた声が響く。


嫌な予感がした。


振り返る。


そこには――


妙に機嫌の良いミストルティン様がいた。


「?」


私は首を傾げる。


「なんですか?」


「ふふふ......」


ミストルティン様は意味深に笑う。


一拍。


「後で面白い物を見せてあげるわ」


「絶対ろくでもないやつですね」


即答だった。


なぜだろう。


朝から非常に嫌な予感しかしなかった。


「それ屋敷に帰ってからでもいいですか......?」


私は恐る恐る聞く。


「いいわよ!」


ミストルティン様が満面の笑みで頷いた。


会話が止まった。


「......」


「......」


「......」


「本当にろくでもない物なんだな」


ルーカスお兄様が静かに呟く。


「私もそう思います」


即答だった。


すると――


「そんなことよりご飯冷めるわよ?」


アメリアお姉様が焼き魚を指差した。


「あっ」


確かにその通りだ。


折角の朝食である。


食べないともったいない。


「いただきます!」


「いただきます」


「いただきます!」


それぞれ手を合わせる。


そして――


「......」


「......」


「......」


会話が止まった。


「美味いな」


ルーカスお兄様が呟く。


「美味しいですね」


リュシアさんも頷く。


「この焼き魚好きかも」


「お味噌汁も美味しいわね」


「パンもある!」


「メルは少し落ち着いてください」


即答だった。


もっとも――


朝から好きな物を好きなだけ食べられる。


それだけで十分幸せだった。


嫌な予感は残っているけど。


今だけは忘れることにしよう。


そう思いながら私は二杯目のご飯をよそうのだった。


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