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【20万PV突破・毎日更新中】転生したら錬金術が得意な貴族家の女の子でした  作者: 双葉アリア
第三章 水面下の綻び編

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180話 増え続ける需要、次なる一手②


「サンドイッチを販売しようと思っています」


私がそう告げると、会議室は異様な静けさに包まれた。


「エレノア様……今、サンドイッチを売ると言いましたか……?」


商会の人が恐る恐る確認するように尋ねる。


「はい」


私が即答すると、会議室がざわつき始めた。


「サンドイッチって、あのサンドイッチですか?」


「エレノア様正気ですか!?」


「貴族のイメージするものとはだいぶ違うんですよ!?」


その言葉に私は首を傾げる。


「どういうことですか……?」


純粋な疑問だった。


私の中でサンドイッチは、手軽に栄養が摂れる便利な食べ物という認識しかない。


パン。


肉。


野菜。


忙しい昼食にはもってこいだ。


だが――


どうやらこの世界では違うらしい。


「サンドイッチなんてホームレスや罪人が食べるものですよ!?」


「え?」


思わず間の抜けた声が漏れる。


「もちろん貴族が食べる高級なサンドイッチもあります!」


一拍。


「ですが一般的なサンドイッチは違います!」


さらに一拍。


「余ったパンにクズ野菜を挟む!」


「申し訳程度のハムやベーコンを入れる!」


「そんな節約料理ですよ!?」


会議室のあちこちから同意の声が上がる。


「お弁当以上に印象が悪いかもしれませんね……」


商会の人が疲れたように呟いた。


私は思わず黙り込む。


そして――


「つまり」


一拍。


「お弁当と同じですね?」


会議室が静まり返った。


そしてーー


「「「「いやいやいや……」」」」


商会組は全員否定する。


「絶対に売れませんって!」


「罪人と同じものを食わせるのか!?ってなりますよ!?」


そしてフィリアさんに至ってはーー


「いくらエレノア様でもこれは承認できません!!」


フィリアさんが机を叩きながら立ち上がる。


珍しい。


普段は冷静なフィリアさんがここまで強く反対するのは滅多にない。


「そこまでですか……?」


私は思わず目を瞬かせた。


「そこまでです!」


即答だった。


「お弁当の時はまだ理解できました!」


一拍。


「ですがサンドイッチは別です!」


さらに一拍。


「イメージが悪すぎます!!」


会議室中が頷く。


どうやら本当にそうらしい。


「ちなみに聞きますけど」


私は素朴な疑問を口にする。


「皆さんサンドイッチを食べたことありますか?」


会議室が静まり返った。


そして――


「ありません」


「ないですね」


「見たことすらありません。」


「お金には苦労しましたが流石にないですね」


返ってきた答えはそんなものだった。


私は思わず天井を見上げる。


なるほど。


理由が分かった。


「つまり」


一拍。


「美味しいかどうかは誰も知らないんですね?」


全員の動きが止まった。


「……」


「……」


「……」


誰も答えない。


「なるほど」


私は静かに頷く。


「なら試食会をしましょう」


その瞬間。


会議室の全員が嫌な予感を覚えたような顔をした。


「少々よろしいでしょうか……」


一人の商会の人が静かに語り始める。


「たとえ売るにしても貴族のサンドイッチではあまりにも原価が高すぎます。」


一拍。


「逆に我々がイメージするサンドイッチでは大量廃棄の未来しか見えません。」


さらに一拍。


「どちらに転んでも売れないと思いますよ?」


その言葉に商会の人が一斉に頷く。


だがーー


「逆を言えばイメージの問題と原価がどうにかなれば売れるということですよね?」


私がそう言うと、会議室が静まり返った。


「いや、そういう話では……」


商会の人が何か言いかける。


だが私は構わず続ける。


「お弁当も似たようなものでしたよね?」


一拍。


「販売前は散々反対されましたし」


「それは……」


誰も否定できない。


「お弁当は貧しい人の食事でした」


「はい」


「持ち歩いて食べる文化もありませんでした」


「はい」


「それでも売れました」


会議室に沈黙が落ちる。


だが――


「今回は事情が違います!」


フィリアさんが食い下がる。


「どこがですか?」


「サンドイッチはサンドイッチだからです!!」


「意味が分かりません」


即答だった。


思わず商会の人達が頭を抱える。


「エレノア様……」


「はい」


「世の中には理屈では説明できないものがあるんです……」


疲れ切った声だった。


「つまり偏見ですよね?」


「身も蓋もない言い方をしないでください!」


会議室に悲鳴が響く。


私は首を傾げた。


やはり分からない。


だって――


「美味しいなら売れると思うんですけど」


その瞬間。


会議室の全員が天井を見上げた。


どうやら頭が痛くなったらしい。


「私は売れると思いますけどねー」


メルがはっきりとした声で呟く。


「メル様まで!?」


商会の人達が一斉に振り返る。


「だって、お弁当の時も似たような反応でしたよね?」


その言葉に全員が黙り込んだ。


確かにその通りだった。


「お弁当なんて売れない」


「持ち歩いて食べる文化がない」


「わざわざ買う人はいない」


そんな意見ばかりだった。


結果はどうだったか。


大繁盛である。


「それにですね」


メルは笑顔のまま続ける。


「エレノア様の言うサンドイッチって、私達が知っているサンドイッチとは別物だと思うんですよ」


「別物……ですか?」


「はい」


メルは私を見る。


「エレノア様」


「なんですか?」


「多分ですけど、もう完成形のイメージありますよね?」


会議室の視線が一斉に私へ集まる。


「ありますよ?」


即答だった。


その瞬間。


商会の人達が揃って頭を抱えた。


「やっぱりですか……」


「何か問題でも?」


「問題しかありません」


即答だった。


「エレノア様が『ありますよ?』と言う時は大体ろくでもないことになるんです……」


「心外ですね」


私は首を傾げた。


だが会議室の誰一人として同意してくれなかった。


「だとしてもです!!!!」


フィリアさんがバンと机を叩き立ち上がる。


「これは絶対に認められません!!」


そうはっきりと言う。


私はその言葉に眉をひそめる


「では、逆に聞きますけどフィリアさん達は何か案があるんですか?」


「そ……それは……」


フィリアさんも商会の人も黙り込んでしまう。


「否定するだけなら簡単ですけど何も案を出さないで否定するのは違うんじゃないですか?」


淡々と述べる。


「エレノア様の言う通りですな……」


ここまで静かに聞いていた隊員の一人が頷いた。


「確かにサンドイッチの印象が悪いのは事実でしょう」


一拍。


「ですが、だからといって何もしなければ問題は解決しません」


会議室が静まり返る。


「現状、お弁当もパンも供給が追い付いていない」


さらに一拍。


「ならば新しい方法を試す価値はあるのでは?」


その言葉に数人が考え込む。


だが――


「それでもです!」


フィリアさんは引かなかった。


「もし失敗したらどうするんですか!?」


「失敗したら販売しなければ良いだけでは?」


私がそう答えると、フィリアさんの動きが止まる。


「そういう次元の話をしているんじゃないです!」


「そうですぞ!」


「ただでさえこんな状況下で売れるわけがない物を対策として販売するのは許容できないと言うことを言っているんです」


「では、逆に聞きますがお弁当もイメージと対策という状況下ではこれと同じことですよね?」


一拍。


「お弁当はOKでサンドイッチはダメという明確な説明を、我々にでも理解できるように言えますか?」


隊員は静かに問い掛けた。


その声に威圧感はない。


だが――


逃げ道もなかった。


会議室が静まり返る。


「それは……」


フィリアさんが言葉に詰まる。


「お弁当は売れています」


隊員は淡々と続ける。


「販売前はどうでしたか?」


誰も答えない。


答える必要もなかった。


全員覚えているからだ。


『絶対に売れない』


『認められない』


『文化に合わない』


そう言って反対した。


結果はどうだったか。


大成功である。


「私は商売のことは詳しくありません」


隊員は肩を竦めた。


「ですが、少なくともエレノア様の発案した商品は、これまで何度も我々の予想を覆してきました」


一拍。


「ならば今回も試してみる価値はあるのでは?」


会議室が再び静まり返る。


誰も反論できなかった。


そして――


「ぐぬぬ……」


フィリアさんが悔しそうに唸る。


会議室に長い沈黙が落ちた。


誰も間違ったことは言っていない。


商会側の意見も理解できる。


彼らは市場を知っている。


客を知っている。


だからこそ、売れないと思う商品を主力候補にすることへ強い抵抗があるのだろう。


一方で――


私たちも引くつもりはなかった。


実際に食べたこともないものを、先入観だけで切り捨てるのは違うと思うからだ。


ましてやお弁当やパンの過剰な売れ行きは何としてでも解決しなくてはいけない。


誰からどう見ても何かしら対策を取るべきなのは目に見えている。


結果として。


会議室の空気は微妙な膠着状態に陥っていた。


誰もが問題を解決したいと思っている。


だが――


その方法について意見が真っ二つに割れているのだ。


商会側は失敗を恐れる。


それは当然だろう。


彼らは商品を売る立場であり、失敗した時の損失も理解している。


一方で私達は違う。


もちろん大前提として、原価や人件費をそこまで気にしなくていいという面もある。


セレスティア伯爵家の金庫には到底使い切れないほどの資金があり、多少の赤字であれば十分許容できる。


むしろ良い放出機会とすら考えている。


だが――


それ以上に、何もしないまま現状維持を続けたとしても双方にメリットはない。


もちろん失敗を恐れる気持ちは分かる。


時には取り返しのつかない失敗をし、全てを失ってしまうこともある。


だが、失敗を恐れて何もしなければ現状は何一つ変わらない。


失敗は成功の母という言葉もある。


挑戦した結果失敗したのなら、その経験を糧に次へ進めばいいだけだ。


少なくとも――


私はそう考えていた。


「フィリアさん……失敗を恐れる気持ちは分かります」


一拍。


「ですが、このままで良いわけでもないんです」


会議室が静まり返る。


「今は何とかなっています」


「お弁当も売れていますし、パンも売れています」


一拍。


「ですが、それは今だけかもしれません」


さらに一拍。


「セレスティア伯爵家だって、いつまでも今のままではいられません」


「……」


「だからこそ、余裕がある今のうちに挑戦するべきなんです」


私は静かに続ける。


「失敗しても立て直せる」


「やり直せる」


「なら今のうちに色々試した方が良いと思うんです」


一拍。


「何もしないまま問題を先送りにする方が、私は怖いですね」


「だからといって目に見えて失敗する事業に挑戦していいわけではないですよね?」


フィリアさんは真っ直ぐ私を見る。


一拍。


「挑戦すること自体を否定しているわけではありません」


さらに一拍。


「ですが、成功する見込みの薄い事業へ資金や人員を投入するのは経営として問題があります」


「……」


「今のアトリエは風邪薬の増産、お弁当の供給、パンの増産と課題を山ほど抱えています」


「そんな中で、売れないと誰もが考えている商品へ手を出すことに不安を感じるのは当然ではありませんか?」


ーーそんなやり取りがしばらく続く。


何かしら一時的でも対策を講じるべきだと考える私達。


やるからには確実に結果へ結び付く対策を講じるべきだと考える商会側。


どちらも間違ったことを言っているわけではない。


だからこそ厄介だった。


会議室の空気は次第に重くなっていく。


誰もが現状を何とかしたいと思っている。


だが、その方法だけはどうしても一致しない。


結果として。


会議は完全に平行線を辿っていた。


「ーーちょっといいかしら?」


それまで黙ってお茶を飲んでいたミストルティン様が手を挙げる。


会議室の視線が一斉に集まった。


「なんでしょう?」


フィリアさんが尋ねる。


「さっきから聞いているけど、真っ向から否定する割にはあなた達商会側は別案を出していないようだけど何もないわけ?」


会議室が静まり返る。


「それは……」


商会の人達が顔を見合わせる。


確かに。


ここまでサンドイッチについては散々反対していた。


だが――


「現状の対策としては農場計画や設備増強を……」


「それ長期計画よね?」


ミストルティン様が即座に切り返す。


「え?」


「今話しているのは明日からどうするかでしょう?」


一拍。


「お米が足りない」


「パンも足りない」


「お弁当も足りない」


さらに一拍。


「それなのに数年後の話をしてどうするの?」


誰も答えられなかった。


「もちろん農場も必要だと思うわよ?」


「設備増強も必要でしょうね」


「でもそれは後の話」


ミストルティン様は紅茶を一口飲む。


そして――


「今必要なのは、今すぐできる対策じゃないの?」


会議室が静まり返った。


ミストルティン様は紅茶を置く。


「それにさっきから聞いてるけど」


一拍。


「イメージが悪い」


「売れないと思う」


「反対」


さらに一拍。


「そればかり言っているわよね?」


商会の人達の肩が僅かに震える。


「別にエレノアの案が正しいとは言わないわ」


「でも」


ミストルティン様は静かに続けた。


「代案も出さずに否定だけするのは違うんじゃない?」


「……」


「……」


「少なくとも私はそう思うわ」


そしてソフィア様もーー


「まったくもってその通りね」


ソフィア様も静かに頷く。


一拍。


「少なくともエレノアは次を考えているわ」


「……」


「その案が正しいかどうかは別問題」


さらに一拍。


「でも何もしなければ状況は変わらない」


ソフィア様は商会の人達へ視線を向ける。


「だからこそ、私はエレノアの考え方を支持するわ」


会議室が静まり返る。


「失敗するかもしれない」


「売れないかもしれない」


「でも、それは試してみなければ誰にも分からないもの」


一拍。


「少なくとも今の話を聞く限り、エレノアだけは前を向いているように見えるわね」


会議室が静まり返る。


フィリアさんは助けを求めるように入口近くに立つ隊員へ視線を向けた。


だが――


その隊員も静かに頷く。


「私も神々のお言葉に賛成ですな」


一拍。


「少なくともエレノア様は現状を変えるための案を出している」


さらに一拍。


「成功するかどうかは分かりません」


「ですが、だからといって試す前から切り捨てるべきではないかと」


フィリアさんの表情が固まる。


「隊長まで……」


「フィリア殿」


隊長は苦笑する。


「私も売れるとは思っておりません」


「え?」


会議室がざわつく。


「ですが――」


一拍。


「エレノア様は、そういった難題をいくつも解決してこられました」


さらに一拍。


「ポーションも」


「アトリエも」


「お弁当も」


「我々の予想を何度も覆しております」


隊長は静かに続ける。


「ですので、あえて言わせていただくなら――」


一拍。


「長年お仕えしてきた経験から申し上げて、今回も何だかんだで解決すると思っております」


会議室が静まり返る。


「根拠になってませんよ!?」


フィリアさんが思わず叫ぶ。


「ええ」


隊長はあっさり頷く。


「なっておりませんな」


一拍。


「ですが、これまでの実績ほど信用できるものもありませんので」


「……」


商会側は完全に黙ってしまう。


反論したい。


だが反論できない。


ポーション。


アトリエ。


惣菜パン。


お弁当。


その全てで彼らはエレノアの予想を疑い。


そして外してきた。


だからこそ厄介だった。


理屈で考えればサンドイッチは売れない。


だが――


エレノア様が売れると言っている。


その事実が彼らの判断を鈍らせていた。


「何の案もないならこの会議無駄なんじゃないの?」


ミストルティン様が立ち上がる。


「時間の無駄ですね」


ソフィア様も呆れたようにため息を吐いた。


「農場計画も設備増強も必要でしょう」


一拍。


「でも、それは未来の話」


さらに一拍。


「今この瞬間の問題は何一つ解決していないわ」


会議室が静まり返る。


「エレノアの案が正しいかどうかは分からない」


「でも」


ソフィア様は商会側へ視線を向けた。


「少なくともエレノアは現状を変えるための案を出している」


一拍。


「あなた達は?」


誰も答えない。


「反対するだけなら誰でもできるわ」


さらに一拍。


「でも問題を解決するには前へ進まなければならない」


ソフィア様は静かにそう言った。


「......わかりました」


フィリアさんが重い口を開く。


会議室の視線が一斉に集まった。


「エレノア様の案を承認します」


一拍。


「但し条件があります」


「なんでしょう?」


私が尋ねる。


「商品の開発と素材の購入費用及び失敗時の損失、全てをエレノア様の私財で補うことが条件です」


会議室が静まり返る。


なるほど。


確かに商会側からすれば妥当な条件だった。


「それでいいですか?」


フィリアさんが確認するように尋ねる。


「勿論商品の手配は商会が行いますが、購入費用は全てエレノア様の私財です。」


一拍。


「セレスティア伯爵家の予算もアトリエの運営資金も使わずにやってください」


会議室が静まり返る。


確かに厳しい条件だった。


商会側からすれば当然だろう。


売れないと考えている商品に組織として投資するわけにはいかない。


だからこそ。


失敗した場合の責任は提案者が負う。


極めて合理的な判断だった。


「分かりました」


私は頷く。


「その条件で構いません」


「え?」


フィリアさんが固まった。


「いや、え?」


「何か問題ありますか?」


「問題しかありません!」


思わず立ち上がるフィリアさん。


「今の話聞いてました!?」


「聞いてましたよ?」


「全部自腹なんですよ!?」


「そうですね」


「失敗したら大赤字なんですよ!?」


「そうですね」


フィリアさんが頭を抱えた。


「なんでそんなに平然としてるんですか……」


私は少し考える。


そして――


「失敗する前提で話しているからでは?」


会議室が静まり返った。


「それに、お金を消費できる上に実地試験までできるのであれば一石二鳥ですので」


「……」


「……」


商会側が揃って固まる。


私としては本気でそう思っていた。


お金は使わなければ意味がない。


ましてや今回は新商品の開発だ。


仮に失敗したとしても、


ーー何が売れなかったのか


ーーどこに問題があったのか


ーーお客様が何を求めているのか


を知ることができる。


それだけでも十分価値がある。


「失敗しても経験は残りますし」


一拍。


「成功したらもっと良いですしね」


「そういう問題じゃないんですよ……」


フィリアさんが頭を抱えた。


「何が問題なんですか?」


私が首を傾げる。


「全部です!!」


即答だった。


会議室に笑いが広がる。


「では決まりですね」


私がそう言うと――


「決まってません!!!!!」


フィリアさんが机を叩きながら立ち上がる。


一拍。


「大体にしてなんでエレノア様はいつもこうなんですかーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」


会議室に悲鳴が響き渡る。


「そう言われましても……」


私は首を傾げた。


「問題があるなら解決したいですし」


「解決方法が思い付いたなら試したいですし」


一拍。


「失敗しても経験になりますし」


さらに一拍。


「お金も減りますし」


「最後のが一番意味分からないんですよ!!!!!!」


フィリアさんの絶叫が響く。


そして――


会議室は大混乱のまま、その日の会議を終えるのであった。


なお。


後日、この時のフィリアさんは正しかったのかと聞かれれば――


本人は今でも「正しかった」と主張している。


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