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[毎日更新中]転生したら錬金術が得意な貴族家の女の子でした  作者: 双葉アリア
第二章 アトリエ開業編

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121話 選別過程、実地確認②

今回少し長めです。

 翌日――


 実験室には、静かな緊張が満ちていた。


 昨日と同じ場所。

 同じ机。

 同じ道具。


 だが――空気は、明らかに違う。


「……揃っていますね」


 扉を開けながら、そう告げる。


 四人はすでに集まっていた。

 誰一人として遅れていない。


 それだけで、意識の高さが分かる。


(いい傾向)


 内心で一つ頷きながら、定位置へ向かう。


 カイルもすでに準備を終えていた。

 視線が一度だけ合い、無言で確認が取れる。


 問題ない。


「では、昨日の続きから入ります」


 短く告げると、四人の表情が引き締まる。


「本日は“再現性”の確認を行います」


 一瞬の間。


 言葉の意味を、各自が咀嚼する時間。


「同じ工程で、同じ結果を出せるか」


「それが最低条件です」


 机の上に素材を並べる。


 昨日と、同じもの。


 ――だが。


「本日は、こちらからの指示は最小限にします」


 空気が、わずかに張る。


「手順の説明は行いません」


「昨日見たものを基準に、自分で組み立ててください」


 視線を一人ずつに向ける。


 迷い。

 理解。

 覚悟。


 それぞれが、表情に浮かぶ。


「評価基準は三つ」


 一歩だけ前に出る。


「完成度」


「安定性」


「そして――判断力」


 一拍。


「状況に応じて、どこを優先するか」


「それを見ます」


 静かに言い切る。


「準備はいいですか?」


 短い沈黙の後――


「「はい」」


 揃った返答。


 私は小さく頷いた。


「では、始めてください」


 その合図で――


 再び、四人が動き出した。


 昨日とは違う。


 明確に、“考えている動き”だった。


(……いい)


 私は静かに腕を組む。


 ここから先は――


(選別だ)


 もう“可能性を見る段階”は終わっている。


 残すか、落とすか。


 その判断だけが――ここにある。


 静かに時間が流れる。


 昨日よりも遅い。

 だが――それは迷いではない。


 考えている時間だ。


(……悪くない)


 一人、また一人と手が止まる。


「……できました」


 最初に声を上げたのは、リナだった。


 差し出されたポーションを受け取り、確認する。


(……少し乱れてる)


 魔力の流れに、わずかなズレ。


 だが――


(昨日と同水準)


 大きく崩れてはいない。


 失敗はしている。

 だが、再現性はある。


(及第点)


 静かに机へ戻す。


 次にセレナ。


「……お願いします」


 やや慎重な手つきで差し出される。


(……ムラがある)


 一部は綺麗にまとまっている。

 だが、別の箇所で精度が落ちている。


(安定しきれていない)


 能力自体はある。


 だが――


(波がある)


 評価は難しいタイプだ。


 三人目。


「……できました」


 エリシア。


 受け取った瞬間に分かる。


(……安定してる)


 魔力の流れに無駄がない。

 反応も綺麗にまとまっている。


 そして何より――


(再現できてる)


 昨日よりも精度が上がっている。


(……伸びてる)


 小さく、内心で評価を更新する。


 最後に――


「……すみません」


 リオルが、少しだけ気まずそうに差し出す。


 その直前。


 小さな爆ぜる音があった。


(……やったな)


 受け取る。


(……ギリギリ)


 完全な失敗ではない。


 だが、安定とは程遠い。


 それでも――


(形にはなってる)


 爆発後に立て直している。


 判断としては悪くない。


(許容ライン)


 四つ並べる。


 それぞれ違う結果。


 だが――


(方向性は見えた)


 私は一つ息を吐く。


「次、ハイポーション」


 一言だけ告げる。


 空気が、さらに張り詰める。


 だが――


 今度は、誰も迷わない。


 手が、自然と動き出す。


(……いい)


 私は静かに目を細めた。


 昨日とは違う。


 確実に、“一段上”に来ている。


 ――そして。


 数分後。


 再び結果が並ぶ。


 私は何も言わず、それを見渡した。


(……決まった)


 判断は、もう終わっている。


 だが――


「今日はここまでです」


 あえて、口には出さない。


 四人の視線が集まる。


「評価は明日伝えます」


 一拍。


「現時点での結論は――まだ出しません」


 わずかな緊張。


 だが、誰も崩れない。


(いい顔してる)


「以上です。解散してください」


 短く告げる。


 四人は揃って頭を下げ、部屋を出ていった。


 扉が閉まる。


 静寂。


「……どうする」


 カイルが低く問う。


 私は少しだけ間を置いて――


「リナとセレナとエリシアは採用しても問題ないかな」


 淡々とした口調。


 だが、それはすでに結論が出ている声だった。


「……妥当だな」


 カイルが短く答える。


「三人とも最低ラインは超えている」


「再現性もある。あとは経験で伸びる」


「うん……それにエリシアに関しては――」


 一拍置く。


「もしかすると、私と同水準にまで成長するかもしれない」


 静かに告げる。


 その言葉に、カイルの視線がわずかに変わった。


「……そこまでか」


「可能性の話だけどね」


 淡々と続ける。


「魔力制御の精度が高いし、反応の読みも速い」


「無駄が少ない」


 一瞬だけ、昨日の光景を思い返す。


「それに――迷いがない」


 短く言い切る。


「基礎だけであそこまで組み立てられるなら、伸び方はかなり早いはず」


「……なるほどな」


 カイルは小さく頷いた。


 否定はしない。


 それだけで十分だった。


「ただし」


 私は続ける。


「環境次第」


 一拍。


「今のままだと、周りと噛み合わない可能性がある」


 あの距離感。


まるで過去のトラウマに囚われているようなーーそんな感じがした


 「エレノア様、昨日陛下となにを話されていたんですか?」


 一瞬だけ、手が止まる。


 帳簿に落としていた視線を、そのままに。


「……気づいてたの?」


「なんとなく、ですが」


 カイルは淡々と答える。


「戻ってきた後、視線の配り方が少し変わっていました」


「……相変わらず鋭いね」


 小さく息を吐く。


 隠すつもりはない。

 ただ――どこまで話すかを、一瞬だけ考える。


「エリシアのこと」


 短く答えた。


「やはり」


 即座に返ってくる。


「貴族、ですか?」


「元、だけどね」


 一拍。


「クラウゼル男爵家の娘」


「……」


 カイルの目がわずかに細まる。


「それは……」


「家から外された」


 言葉を重ねる。


「錬金術師になったことが理由で」


 静かに告げると、数秒の沈黙が落ちた。


「……なるほど」


 短いが、それで十分理解したという声だった。


「だからあの距離感、ですか」


「たぶんね」


 頷く。


「ああいう環境にいたなら、“どう振る舞えばいいか”を常に考えてたはず」


「結果として、あの完成された立ち方になる」


「……だが、それが逆に」


「浮く」


 カイルの言葉に、被せるように言う。


「うん」


 一拍。


「悪い意味じゃない」


「ただ、“集団の中で働く”っていう前提だとズレる可能性がある」


「……」


 カイルは何も言わない。


 ただ、続きを待っている。


「それともう一つ」


 視線を帳簿から外し、軽く天井を仰ぐ。


「陛下から頼まれてる」


「頼み、ですか」


「もし採用できそうなら――養子にしないかって」


「……は?」


 さすがに、カイルも素で声を漏らした。


「養子、ですか?」


「うん」


 あっさりと頷く。


「セレスティア伯爵家の」


「……規模が違いますね」


「ほんとにね」


 小さく苦笑する。


 一拍。


「理由は単純」


「後ろ盾を作るため」


「貴族としての立場を回復させる、と」


「そういうこと」


 カイルは腕を組み、少しだけ考え込む。


「……合理的ではあります」


「でしょ」


「ですが」


 一拍。


「他の三人との関係は、確実に変わります」


「うん」


 それは、分かっている。


「だから、まだ決めない」


 はっきりと言う。


「採用とこれは別」


「まずは“ここでやっていけるか”」


「それが先」


「……妥当です」


 カイルは短く頷いた。


 そして、少しだけ視線を落とす。


「問題は......」


「リオルだね......」


 一拍、静寂が落ちる。


「……ああ」


 カイルは短く頷いた。


「ポーション自体は最低限届いている。だが――」


「再現性が低い」


 私が言葉を継ぐ。


 カイルは小さく息を吐いた。


「素質はある......けど戦力になるまで時間がかかりそうだ」


 しばらく、沈黙が落ちる。


 机の上に並ぶポーション。

 その中で――一つだけ、明らかに性質の違うものがあった。


「最低ラインには達してはいるけど、爆発が少し多いのと……ちょっと荒っぽいのよね……」


 ぽつりと零す。


 安定しているとは言えない。

 だが――完全にダメでもない。


「制御が雑だな」


 カイルが淡々と告げる。


「魔力の流し方が一定じゃない」


「反応に合わせるんじゃなくて、押し切ってる」


「……うん」


 小さく頷く。


 見れば分かる。


 良い時は、明らかに質が高い。

 だが――その再現ができていない。


「波が激しい」


「当たり外れがある以上、任せられない」


「……」


 正論だった。


 戦力として数えるなら、致命的。


 静かにポーションへ視線を落とす。


(でも――)


 脳裏に浮かぶのは、さっきの一瞬。


 魔力の流れが、ぴたりと噛み合ったあの瞬間。


(あれは、偶然じゃない)


 ただ――再現できていないだけ。


「……カイル」


「なんでしょう?」


「あなたなら、あの子どうする?」


 一瞬だけ、間が空いた。


 カイルは視線をポーションへ落とし――そして、静かに口を開く。


「切るなら、今です」


 はっきりとした声音だった。


「再現性がない以上、戦力としては数えられません」


「現状の体制で“育成枠”を抱える余裕もない」


 淡々と、事実だけを並べる。


「……」


 分かっている。


 だからこそ、聞いた。


「ですが」


 カイルは一拍置いた。


「残す価値がない、とは言いません」


 視線が、わずかに鋭くなる。


「当たった時の精度は、四人の中で一番高い」


「……うん」


 それは、私も感じていた。


「あれを“偶然”で終わらせるのは、惜しい」


「ただし――」


 一歩、言葉が重くなる。


「育てるなら、割り切りが必要です」


「割り切り?」


「はい」


 頷く。


「短期間で戦力化するのは諦める」


「代わりに、基礎から徹底的に叩き直す」


「……」


「感覚任せの部分を一度崩して、再構築する形です」


「時間はかかります」


「ですが――」


 カイルは静かに言い切る。


「噛み合えば、一番伸びるのもあの子です」


 部屋に、わずかな静寂が落ちる。


 現実的な判断と、可能性。


 どちらも間違っていない。


「……なるほど」


 小さく息を吐く。


 そして、もう一度だけポーションを見る。


「じゃあ――こうしようか!」


私の言葉にカイルは驚きつつもどこか納得した表情を浮かべていた。


 ――翌日。


 実験室。


 四人はすでに揃っていた。


 誰も口を開かない。


 ただ、静かに待っている。


 その空気は、これまでとは明確に違っていた。


(……いい緊張感)


 軽く視線を流しながら、定位置に立つ。


 隣にはカイル。


 言葉は交わさないが、それで十分だった。


「おはようございます」


「「おはようございます」」


 返事は揃う。


 だが、その奥にあるものはそれぞれ違う。


 覚悟。


 不安。


 諦めかけた何か。


 全部、見える。


「……今日は、結論を伝えます」


 一言で、空気が止まる。


 余計な前置きはしない。


「今回の評価基準は三つ」


「再現性、安定性、そして作業適性」


 一拍。


「その上で――判断しました」


 視線を一人ずつに向ける。


 逃げ場は作らない。


「まず、リナ」


「……はい」


「合格です」


 一瞬の間。


 そして、わずかに肩の力が抜ける。


「基礎は安定している。再現性も問題ない」


「今後の伸びも見込める」


「引き続き、このまま作業に入ってもらいます」


「……はい」


 短い返答。


 だが、確かな安堵が混ざっていた。


「次に、セレナ」


「……はい」


「合格です」


 目がわずかに見開かれる。


「多少のムラはあるが、許容範囲内」


「むしろ調整で改善できるレベルです」


「適応力もある」


 一拍。


「実務に入れます」


「……ありがとうございます」


 小さく頭を下げる。


 声は落ち着いているが、内側は揺れている。


「エリシア」


「……はい」


 静かな返事。


 だが視線は逸れない。


「合格です」


 間を置かずに告げる。


「安定性、再現性ともに高水準」


「現時点でも即戦力に近い」


 一拍。


「今後次第では、さらに上を目指せます」


「……はい」


 短く。


 だがその奥に、わずかな熱があった。


(やっぱり、この子は伸びる)


 確信する。


 そして――


「リオル」


「……っ、はい」


 わずかに硬い声。


 視線は、逸らさない。


 いい判断だ。


「……今回は、不合格です」


 一瞬。


 空気が、静かに落ちた。


 誰も声を出さない。


 リオルも、動かない。


 ただ――受け止めている。


「理由は、再現性の不足」


 淡々と告げる。


「一度は成功している」


「だが、それを安定して再現できていない」


 一拍。


「現時点では、実務に入れる水準ではありません」


「……はい」


 短い返答。


 だが、崩れてはいない。


(……悪くない)


 そこで、少しだけ間を置く。


「――ただし」


 その一言で、空気がわずかに揺れる。


「条件付きで、残すこともできます」


 リオルの目が上がる。


「補助枠としての採用」


「実務ではなく、補助作業を中心にしながら再訓練を行う」


 一拍。


「その代わり、結果は厳しく見ます」


「伸びなければ、その時点で終了」


 静かに告げる。


「選ぶのは、あなたです」


 視線をまっすぐ向ける。


「ここで終わるか」


「残って、食らいつくか」


 沈黙。


 ほんの数秒。


 だが、十分だった。


「……やります」


 絞り出すような声。


 だが――折れていない。


「残ります」


 その言葉を聞いて、小さく頷く。


「分かりました」


 一拍。


「では、リオルは補助枠として仮採用」


「他三名は正式採用とします」


 それで、全てが決まった。


 静かに空気が動く。


 張り詰めていたものが、少しだけ緩む。


 だが――


「ここがゴールではありません」


 はっきりと告げる。


 全員の視線が揃う。


「ここからがスタートです」


 一拍。


「今日からは“評価される側”ではなく――」


「“結果を出す側”になります」


 静かに、言い切る。


「以上です」


 短く区切る。


 それで十分だった。


 四人は揃って頭を下げる。


「「よろしくお願いします!」」


 その声は――昨日までとは違っていた。


 三人が部屋を出たあと――


「……エリシア」


 名前を呼ぶ。


 一瞬だけ、足が止まる。


「少し、いいですか」


「……はい」


 短く答え、他の三人に軽く頭を下げてからこちらへ戻ってくる。


 扉が閉まり、室内には私とカイル、そしてエリシアの三人だけが残った。


 わずかな沈黙。


 その中で、私はエリシアをまっすぐ見る。


「先に言っておきます」


 一拍。


「これは採用とは別の話です」


「……?」


 わずかに眉が動く。


 だが、視線は逸らさない。


「あなたの事情について、ある程度は聞いています」


 その一言で――空気が変わる。


 ほんのわずかに、呼吸が止まった。


「クラウゼル男爵家のことも含めて」


「……っ」


 揺れる。


 それでも崩れない。


(やっぱり、強い)


「その上で、伝えるべき話があります」


 一歩、言葉を区切る。


「まず、最初に言っておきます。どうするかはあなた次第です」


「強制はしません」


「断ったからといって、今回の合否や今後の評価が変わることもありません」


 一拍。


「これはあくまで“別の話”です」


 はっきりと線を引く。


「……はい」


 短い返答。


 だが、その奥には緊張がある。


 私はそれを確認してから続ける。


「セレスティア伯爵家の養子として迎える、という提案が出ています」


「……え」


 小さく、声が漏れる。


「貴族としての立場を持つことになります」


「そして――錬金術師としての活動にも、正式な後ろ盾がつく」


 淡々と事実だけを並べる。


 エリシアの視線が揺れる。


「どうして、私に……」


 かすれた声。


「能力があるからです」


 一拍。


「それと――そのまま埋もれるには惜しいからです」


「……」


 言葉を失う。


「ただし」


 静かに続ける。


「養子になるということは、立場も責任も伴います」


「自由になる部分もあれば、制約も増えます」


 一拍。


「それを踏まえた上で、選んでください」


 まっすぐに視線を向ける。


「答えは急ぎません」


「まずはここでの仕事に集中してください」


 そして――


「選ぶのは、あなたです」


 エリシアはゆっくりと息を吐いた。


「本当に許されるのであれば……養子でもいいから、セレスティア伯爵家の家族になりたいです」


 一瞬、言葉が止まる。


 迷いは――なかった。


「……そうですか」


 静かに受け止める。


「確認します」


 一拍。


「それは“逃げ場”としてではなく、選んだ結果でいいんですね?」


「……はい」


 即答ではない。


 だが――確かに自分で選んだ声だった。


「五歳の職業付与の儀式後から、家族からの扱いは……酷いものでした」


 静かに続く。


「錬金術師なんて“家の役に立たない”って……何度も言われました」


 一拍。


「だから……」


 わずかに言葉が詰まる。


 それでも――


「“ここにいたい”って思えたのは、初めてなんです」


 顔を上げる。


「逃げたいからじゃありません」


「ここで、錬金術師として立ちたいです」


 迷いのない声だった。


 私はしばらく何も言わず――


 小さく頷く。


「……分かりました」


 短く、それだけ告げる。


 そして――


「その覚悟があるなら、問題ありません」


 静かに言い切る。


「この実験室では一人の錬金術師として見ます」


 一拍。


「けれどそれ以外は――家族として一緒に暮らしていきましょう」


 エリシアの目が、わずかに見開かれた。


「……家族、ですか」


「はい」


 短く肯定する。


「ここでは特別扱いはしません」


「ですが、それ以外は別です」


「一緒に暮らす以上――家族として扱います」


 エリシアは何も言わなかった。


 ただ――


 唇が、わずかに震えた。


「……っ」


 声を飲み込み、ゆっくりと頭を下げる。


「……よろしく、お願いします」


 その言葉は、重かった。


「ええ、こちらこそ」


 一拍。


「改めて――よろしくお願いします、エリシア」


「……はい」


 顔を上げたその表情は――


 ほんの少しだけ、柔らかくなっていた。

















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