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[毎日更新中]転生したら錬金術が得意な貴族家の女の子でした  作者: 双葉アリア
第二章 アトリエ開業編

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閑話 自由奔放すぎる神々、異界を歩く

今回の閑話書いてて本編昇格できそうなので後日これの続きを本編として書きますw

書いててたのしかったwww

この日――


ソフィア、エルヴィータ、ミストルティンの三柱の神々は、高層ビルが天へと届くかのように立ち並ぶ街へと遊びに来ていた。


空を覆うようにそびえる建造物。

規則正しく張り巡らされた道。

普段管理している世界とは異なり、多くの人々や機械が忙しそうに行き交っている。


「久々の東京ねー!!」


 弾むような声を上げたのはミストルティン。


「ミストルティンに巻き込まれる形になったけど、久々の東京はいいわね」


 そう言って微笑むのはエルヴィータだ。


「巻き込んでないよ!?」


 即座に反論するミストルティン。


「エレノアが忙しくて構ってくれないからって、旅行に行こうと泣きついたのは誰だったかしら……?」


 穏やかな声音のまま、ソフィアがさらりと刺す。


「うっ」


 言葉に詰まるミストルティン。


「だって仕方ないじゃん! 最近ずっと忙しそうだったし……!」


「それで世界を跨ぐのはどうかと思うけれどね」


「いいじゃんいいじゃん! 結果的にこうして楽しく観光してるんだから!」


 けろりと言い切るミストルティンに、ソフィアは小さく息をついた。


「……まぁ、否定はしないわ」


「ふふ、あの子の“元の世界”をこうして見て回れるのは、確かに貴重ねぇ」


 エルヴィータが楽しげに周囲を見渡す。


 ――そして、ふと。


「それにしてもさー」


 ミストルティンが、軽い調子で続けた。


「あの子、この世界のもの欲しがらなさすぎない?」


「……どういう意味かしら」


「だって、買ってきてって言わないじゃん」


 肩をすくめる。


「電子書籍は結構買ってるけど、それでも月に数冊、私のカードで買うくらいでしょ?」


 一瞬。


 ソフィアとエルヴィータが顔を見合わせた。


「……確かに、そうね」


 ソフィアが小さく呟く。


「あの子が“欲しい”と言うのは、ほとんど聞かないわ」


「ふふ……本当に控えめなのねぇ」


 エルヴィータも頷く。


「与えられる側に慣れていないのかしらねぇ」


「でしょ?」


 ミストルティンは、どこか納得いかないように口を尖らせた。


「だからさ、こういう時くらいは――ね?」


 にやりと笑う。


 その意図を、二柱はすぐに理解した。


 目の前に広がるのは、秋葉原の電気街――


 かつては電気製品の街として栄え、近年ではアニメやサブカルチャーの中心地として知られる場所。


 そんなこの場所に、彼女たちが足を運んだのには理由があった。


「折角だし、いろいろな本を買ってエレノアにプレゼントしたいのよねー!」


 満面の笑みでそう言ったのは、ミストルティン。


「……“本”ね」


 ソフィアがわずかに視線を巡らせる。


 通りのあちこちに並ぶ看板。

 色とりどりのポスター。

 そして――


「ずいぶんと、偏りがありそうだけれど」


「いいじゃんいいじゃん! 面白ければ正義だよ!」


 即答だった。


「ふふ……確かに、この世界の“物語”には興味があるわねぇ」


 エルヴィータもくすりと笑う。


「エレノアの知識の一端……その源に触れられるかもしれないもの」


「でしょでしょ!」


 ミストルティンは嬉しそうに頷き――


 次の瞬間、ぴたりと足を止めた。


「……あ」


 視線の先。


 ビルの一角にある、大きな店舗。


 ガラス越しに見えるのは、ぎっしりと並べられた書籍。


「――あそこ、絶対本屋だよね」


「ええ、そうみたいね」


「行こ!」


 言うが早いか、ミストルティンは迷いなく歩き出す。


「ちょっと、待ちなさい」


「また何かやらかさないでしょうねぇ?」


 後ろからそんな声が飛ぶが――


 当然、止まらない。


 店内へと足を踏み入れた瞬間――


「……すご」


 ミストルティンが、思わず息を呑んだ。


 壁一面に並ぶ本、本、本。

 整然と並べられた背表紙が、まるで知識そのもののように空間を埋め尽くしている。


「ここまで体系的に情報を蓄積しているのは見事ね」


 ソフィアが静かに呟く。


「魔力を使わず、文字だけで知識を繋いでいく……」


「人の営みって、本当に面白いわねぇ」


 エルヴィータが柔らかく微笑んだ。


「……」


 ミストルティンは、しばらくその場に立ち尽くしていたが――


 やがて、ゆっくりと歩き出した。


 棚を眺める。


 手に取る。


 ページをめくる。


 その一つ一つを、確かめるように。


「……これ」


 ふと、足を止める。


 手に取ったのは、分厚い一冊。


 表紙には、複雑な図と数式。


「科学……の本、かしら」


「うん。魔法じゃなくて、別の“理”で世界を説明してる」


 ミストルティンは、ページをめくりながら小さく笑った。


「エレノア、こういうの好きだと思うんだよね」


「……ええ、そうね」


 ソフィアが静かに頷く。


「あの子は、“知ること”そのものを楽しめる子だから」


「それに――」


 ミストルティンは、別の棚へと手を伸ばした。


 今度は、色鮮やかな表紙の本。


 柔らかい絵柄。

 楽しげな物語。


「こういうのも、いいよね」


「物語……」


「うん。あの子、あんまり自分のために楽しむこと、しないでしょ?」


 ぽつり、と。


 軽い調子のまま、しかしどこか真剣な声で言った。


「だからさ――」


 くるりと振り返る。


「“楽しい”も、ちゃんとあげたいなって」


 その言葉に。


 ソフィアとエルヴィータは、ほんのわずかに目を細めた。


「……あなたらしいわね」


 ソフィアが、優しく微笑む。


「ふふ、本当に」


 エルヴィータも同意するように頷いた。


「……そっかな?」


 少しだけ照れたように、ミストルティンは視線を逸らす。


 それでも――


 手に取った本は、離さなかった。


「……これも」


 もう一冊。


 今度は、料理の本。


「メルにもいいかも」


「ふふ、あの子も喜びそうねぇ」


「でしょ?」


 少しずつ。


 少しずつ。


 本が増えていく。


 知識の本。

 物語の本。

 日常を彩る本。


 どれもこれも――


 誰かのことを思って選ばれたものだった。


 その光景を。


 ソフィアは、静かに見つめていた。


「……あの子が、あの世界で何を得たのか」


 ぽつりと、呟く。


「少し、分かった気がするわ」


「ええ」


 エルヴィータも、優しく目を細める。


「知識だけじゃないのよね」


「うん?」


 ミストルティンが首を傾げる。


「……いいえ、なんでもないわ」


 ソフィアは、穏やかに微笑んだ。


 ――与えられたものを、誰かのために使う。


 その在り方は。


 確かに、この世界から繋がっているのだと。


 そんなことを思いながら。


 三柱の神は、それぞれに本を手に取っていくのだった。


 ――そして。


「……ねぇ」


 不意に、ミストルティンが口を開いた。


「ん?」


「まだ時間あるよね?」


「ええ、あるけれど……」


 ソフィアが頷くと。


 ミストルティンの口元が、にやりと歪んだ。


「じゃあさ――次、あっち行こ」


 指差した先。


 そこにあったのは――


 ゲームショップ。


「……これはまた、随分と賑やかね」


 店内に入った瞬間、エルヴィータが目を丸くする。


 光る画面。

 鳴り響く音楽。

 そして、所狭しと並ぶゲームソフトの数々。


「これが、この世界の“遊び”……」


 ソフィアが興味深そうに呟く。


「すごくない!? ほらこれ、仮想世界だよ仮想世界!」


 ミストルティンが手に取ったパッケージを振り回す。


「中で別の人生とか冒険とかできるんだって!」


「……似たようなことは、あなたたちでも出来るでしょうに」


「それとは違うの!」


 即答だった。


「“人が作った”っていうのが面白いんじゃん!」


 その一言に。


 ソフィアは、わずかに目を細める。


「……なるほどね」


 結果。


「これとー、これとこれと……あとこれも!」


「……随分と多くないかしら」


「いいのいいの! どうせ持って帰るんだし!」


「エレノア、忙しそうだからねぇ。こういうので息抜きできるのも良いかもしれないわね」


「でしょ!?」


 気づけば。


 両手いっぱいのゲームソフト。


 というか、もはや抱えているレベルだった。


「満足?」


「うん! じゃあ次!」


「まだあるのね……」


 そして。


 次に向かった先は――


 山手線。


「これが……移動用の乗り物」


「すごい数の人ねぇ……」


「時間通りに動いてるのもすごいよね!」


 ミストルティンは終始テンションが高い。


 なお。


「……ちょっとだけ、空間を拡張しておいたわ」


「何してるのよ」


 ソフィアがさらっと恐ろしいことを言った。


 そして到着。


 原宿。


「……ここ、なんかすごいね」


 ミストルティンがきょろきょろと見回す。


 カラフルな店。

 個性的な服装の人々。

 “可愛い”と“奇抜”が混ざり合う街。


「“自己表現”の文化が強い場所ね」


 ソフィアが分析する。


「いいじゃん」


 ミストルティンが、にやりと笑った。


「――ここ、当たりだよ」


 その数分後。


「これ絶対似合う!」


「こっちもいいわねぇ」


「……ちょっと待ちなさい、量が増えていないかしら」


 両手いっぱいの服。


 いや、もはやそれでは足りない。


 明らかに“運べない量”になっていた。


「ねぇねぇ!」


 ミストルティンが楽しそうに振り返る。


「エレノアとメル、着せ替え人形にしよ!」


「……は?」


 ソフィアが一瞬、思考停止した。


「絶対可愛いよ!? いろんな服着せてさ!」


「ふふ、それは確かに楽しそうねぇ」


 エルヴィータ、乗る。


「ちょっと待ちなさい」


 ソフィア、止めに入る。


「本人たちの意思はどうなるのかしら」


「大丈夫大丈夫!」


 何が大丈夫なのかは不明である。


「似合う服選んであげるだけだし!」


「それを一般的には“強制”というのよ」


 だが。


「……この服、あの子に似合いそうね」


「でしょ!? でしょ!?」


「メルにはこっちかしらぁ」


「いいねそれ!!」


 ――止まらなかった。


 結果。


 山のような服。


 大量のゲーム。


 そして――


「ふふ、楽しみねぇ」


「うん!」


「……帰ったら、どうなるかしらね」


 ほんの少しだけ。


 ソフィアは遠い目をした。


 暴走確定。


 結果――山のような服に大量のゲーム機とソフトに本。


――そして。


 レジ。


「――250万円になります」


 店員が、やや引きつった笑顔で告げる。


 その金額は、明らかに個人の買い物としては異常な額だった。


「はい」


 ソフィアが、何の迷いもなく差し出す。


 次の瞬間。


 店員の手元にあったのは――


 “完全に本物の紙幣”。


 ただし。


 それが“どこから来たのか”は、誰にも分からない。


「……ありがとうございましたー」


 ほんのわずかな違和感を覚えながらも、店員はそれを受け取った。


 店を出た後。


「いいの、それで」


 ミストルティンが首を傾げる。


「何がかしら」


「お金」


「ああ」


 ソフィアは、ほんの少しだけ視線を細めた。


「この世界の“価値の形”に合わせただけよ」


「等価であれば、問題はないわ」


 さらりと、とんでもないことを言う。


「ふふ、まぁ……細かいことを気にする必要はないわねぇ」


 エルヴィータも同意するように微笑んだ。


 ――ただ。


 その日を境に。


 ごく一部の流通経路において、“出所不明の完全一致紙幣”が確認されることになる。


 当然ながら、それは偽造ではなく。


 鑑定結果は――“本物”。


 にもかかわらず、“記録に存在しない”。


 原因は不明。


 だが、確実に言えることが一つ。


 それは――


「楽しかったねー!」


「ええ、なかなか良い経験だったわ」


「また来たいわねぇ」


 この三柱が。


 一切、反省していないということである。


 そして。


 大量の戦利品を抱えたまま、彼女たちは軽い足取りでその場を後にする。


――さらに。


 別の場所。


「この量……何だこれは……!」


 持ち込まれた金塊。


 純度、ほぼ100%。


 記録なし。


 出所不明。


 市場が揺れる。


 国家が動く。


 だが――


「ゴールド、ちょっと多めに出しすぎたかな?」


「誤差よ」


 原因は、軽かった。


――その頃。


「エレノア、喜ぶかなー!」


「ええ、きっと」


「……泣くわね」


 そして。


「……あ、でも今忙しいんだよね?」


 空気が落ち着く。


「落ち着いてからにしましょう」


「その方がゆっくりできるわねぇ」


「じゃあ――」


「全部、“その時まで取っとこ”!」


 決定。


 着せ替え大会も。

 プレゼントも。


 すべて後日。


――なお。


 その裏で、世界経済は揺れている。


 だが。


「エレノアどんな反応するかなー!」


「楽しみね」


「……ほどほどにしなさいよ」


 関係ない。


 そして――


 その日は必ず来る。


 世界を揺るがす準備を終えた状態で始まる――


 着せ替え大会という名の災害が。

この日だけで、神族は500万を超える金額を使用。

なお、その全ては「エレノアとメルのため」という大義名分で正当化された模様ですw

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