表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つぼみひらくまで  作者: 真山咲
第二章
41/74

憲人の頼み

五月も半ばにさしかかった。

ババイオリンのレッスンの前のこと。

憲人は純を待ちかねていた。

教室のドアを純が開いたとたん、憲人は挨拶抜きで話しかけた。

「話しがあるんだ」

純は一瞬身構える。

憲人が純へ告白でもするのではないかと思ってしまった。

「あのさ、学園祭の発表会のダンスの手伝いをして欲しいんだ」

「え?手伝い?」

「僕のダンスの伴奏を頼みたいんだ」

「伴奏?」

思いがけない話しだ。

憲人によると。憲人はバイオリンのコンクールのために、部活を休みがちだ。本来ならば、一年生はソロで出ることはないのだけれど、練習に参加できない憲人は、他の人の迷惑にならないよう一人で踊ることになったとのこと。

そして、憲人の考えているダンスは、バイオリンを演奏しながら踊るというもの。

その伴奏を純に頼みたいと言う。

「どんな曲?」

「ビバルディの『四季』の『夏』の第一楽章と第三楽章」

純は少し考えてみる。

「憲人は弾きこなせるかもしれないけど、私の実力では、今から練習して間に合うかな・・・」

「お願いだよ。純ちゃんに合わせて編曲してあるから」

憲人はバッグの中から楽譜を取り出した。

受け取った純は、譜面をひと目見て驚いた。

「これ、憲人が編曲したの?」

「うん、母さんに見てはもらったけど、自分でやったよ」

ざっと譜面に目を通しながら、『やっぱり憲人の才能は普通じゃない。かなわない』と思う。

「最初はピアノで始まって、途中からバイオリンに移るのね?」

「そうだよ。だから純ちゃん以外に人には頼めないんだ」

出来るかどうか不安だけれど、純は憲人の頼みを断ることが出来ず、承諾するしかなかった。


その日から純の譜面との格闘が始まった。

憲人の弾く主旋律を想像しながら、伴奏部分を練習する。

憲人自身は、学園祭の一週間前の日曜にコンクールがあって、実際の音合わせは、それが終了してからということになった。

それまでは、純は一人での練習となる。とにかく時間が無かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ