表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つぼみひらくまで  作者: 真山咲
第二章
30/74

悲しい間違い

水曜から通常の授業が始まった。西山高校は授業が厳しい。二年生になれば、なおさらだ。

始業式の日にやった復習テストの答案がもう返されてくる。

純はテストの点数よりも、後ろの席に村上敏がいることの方が気になってどうしようもない。

『『コミュ障』だなんて思われたくない。少なくとも敏にだけは・・・』

だからと言って、振り向いて話しかけることなど出来ずに、ヤキモキするだけだった。


昼休みになると、部活に入っている生徒たちは新入生の勧誘に行ってしまい、教室はわずかな生徒しか残ってていなくて静かだ。

純は、敏がいないのを確かめると、振り返って彼の机を見つめた。そんなことしか出来ない自分が情けない。


六時間目の授業が終わって、七時間目の体育の授業を受けるため、三組の生徒たちは教室を移動する。

純も他の生徒たちに混じって体育館へ向かった。

二年になって、理数系の授業が増えて純は嬉しかったけれど、一年の時は七時間授業の日が水曜日だけだったのに、二年は月・水・金の週三回になった。

バイオリンにピアノ、家事もこなし、勉強もそれなりにしていくのは工夫が必要だ。

『本も読みたいし、音楽を聞く時間も欲しい・・・』

いつか、伊藤和幸が言ったように、

『電車に乗ってる時間』『寝る前の十分間』を有効に使わなければ・・・。

そんなことを考えながら、純が女子更衣室に入ろうとしたとき、ふいに右肩に痛みが走った。

「ちょっ!まっ!」

肩の痛さと鋭い声に振り向く。

「えっ?」

村上敏の手が痛みの元だった。純の肩をわしづかみしている。

新井良太がかたわらで唖然として敏を見つめていた。

「そっち、女子更衣室だよ」

敏の慌てた言葉に一瞬、周りの空気が固まった。

次の瞬間、すべてを理解して行動を起こしたのは、良太だった。

「ゴメン。なんでもない。気にしないで」

良太は、純の肩の上の敏に手を無理やり引きはがすと、

「行こう!」

敏を引っ張って、男子更衣室へ消えた。

純は、引きずられるように連れて行かれる敏を、ポカンとして見送った。

そしてもう一度、敏の言葉や行動を思い出し、敏の意図に気付く。

更衣室の中に入って着替えながらも、純はずっと敏の目と声を思い出して悲しく落ち込んでいた。

『よりによって、村上君に、男と間違えられるなんて・・・』


体育の授業の間中、敏は純ばかり気にして見ている。

敏もショックだっただろうが、純はそれ以上だ。何故か悔しい感情まで湧いてくる。

体育が終わると、純は大急ぎで着替えて教室へ戻り、帰り支度も急げるだけ急いで済ませ、逃げるように教室を後にした。

敏と顔をあわせたくなかった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ