憲人の意思
西山高校の入学式は火曜で、バイオリンのレッスンのある日だ。
憲人は入学式を終えて、笑顔で教室に入って来た。
「これで、毎日会えるね」
と、純に会った第一声はそれだった。
『同じ学校でも、学年が違ったら校舎も違うし、なかなか会えないんだけど・・・』
純は、そんなことを上機嫌の憲人には言えなかった。
『一生懸命勉強して、やっと入れた高校なんだから、音楽とうまく両立して、学校生活を楽しんでほしい』
というようなことを伝えた。
「あのね。部活に入ったんだ」
意外な憲人の言葉に驚く。
「え?部活?」
「ダンス部に入部して来た」
「ダンス部?今日?もう、入部って?申し込んで来たの?」
「うん、部活説明会を見てて、コレだなって思ったんだ」
『・・・ダンス部・・・村上君と一緒の・・・』
純の心に不安がよぎる。それが何故だか、純には分からないけれど。
「部活、やっちゃダメかな?」
純の表情を見て、憲人は部活をすること自体を心配していると勘違いしたらしい。
「いろんな経験をするために西山高校にはいったんだから・・・そう思ったんだけど・・・ダメ?」
「ううん・・・。いいんじゃないかな。勉強と音楽とダンス・・・うまくバランス取ってやれるといいね」
純は気を取り直して、笑顔を見せた。
『憲人の努力を応援することしか出来ない』
と、純は憲人の意思の強さをその目の中に見た。




