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つぼみひらくまで  作者: 真山咲
第一章
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なしくずしの進路選択

三者面談の期間中は、午前中は授業で午後から面談が行われる。

純は水曜の午後の一番最後の順番だ。

とうとう、事前に父親と一度も話し合いをしないまま、面談に臨むことになってしまった。

『話し合ったところで、高校受験のときと同じように、険悪な場面になることしか想像出来ない・・・』

純は思い込んでいる。

父親の勝はも、あえて話し合いを持とうとはしなかったようだ。


何の準備もないまま、面談の時間が近づく。

正門で待ち合わせして、勝を教室のある棟へ案内する。

勝は教室の前まで来て、廊下に並べてある椅子の一つに腰を掛けた。

その間、ほとんど言葉を交わすこともない。

純は、勝が座った場所から一つ椅子を空けて座った。

二人にしかわからない微妙な緊張感。

前の順番の母子が出て来た。

純たちが呼ばれる。


勝と担任の加藤先生が挨拶をして、三人で二つの机を挟んで座る。

「住吉さんは、成績も上位で、何にも問題はありません。しいて言えば、おとなしすぎることくらいです」

先生が笑顔でさらっと言った。

「二年生での選択ですが・・・文系理系?どうする?」

先生が純に問いかける。

純が沈黙していると、加藤先生は成績表を勝に広げて見せる。

前期の中間・期末はもちろん、小テストの成績までびっしりと一覧表になっている。

勝はそれを見て、満足そうな微笑みを見せた。

「点数だけ見ると、理系の科目の方が得意みたいですけど、文系でも理系でも住吉さんならだいじょうぶです。君はどう考えているの?」

「成績から見ても、理系にすすむのが妥当だと考えています」

純が答える前に、先手をうったような勝の言葉。

純は父親の前で、音大受験の話しが出来なかった。この前の発表会以来、自分の音楽の才能に疑問を感じ、くじけてしまっていたから。

やっとの思いで、

「二年で理系でも、三年になるときに変えられるんですよね?」

と、聞くのが、精一杯の抵抗だった。

「出来ますよ。文系から理系は、ほぼ無理だけど」

「娘は理系の科目が得意ですし、親としても理系に進んでもらいたいですね」

「住吉さんは、理系でいいのかな?」

純は黙ったまま、小さくうなずくことしか出来なかった。





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