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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
98/159

side ロット

「なら、こう言うのはどうっすか?」

「……何?」

「ロットさん……?」


自分の発言に、その場にいた二人の注目が集まってくる。

って、バルザールさん、めちゃくちゃ目付きするどいっすね……。

自分に向けられて、今更のようにそう思いながら、それでも自分は言葉を続けた。


「自分たちのことは信じてくれなくても大丈夫っす。けれど、いざという時のために準備だけはしておいて欲しいっす。」

「ほう……。」


すぐに気がついたのか、バルザールさんの目がさらに鋭くなる。

ともあれ、自分の言ったことは簡単。

ここで信じられるかの議論をするよりも、先に行動してしまおう、というもの。


「信用できないが、それはそれとして準備だけ始めろ、ってか。」

「その通りっす。自分たちは所詮流れ者っすからね。信用できないのも当然っす。」


隣のアイリスが何かを言おうと口を開くのが見えたので、手で制する。

幸い、アイリスにもすぐ伝わったみたいで、頷いてくれた。

そう。

どう言い繕っても、自分は人間の中では『よそ者』。

ここでは、アイリスやシンシさん達も変わらない。

ならば。


「自分たちはこれから、また調査に向かうっす。でもそれがどんな風になるか全く予想ができないっすからね。だからーーー。」

「わかった、わかったよ。俺の負けだ。」


と。

勢いのまま、言い切ろうとしたところで、バルザールさんが両手を上げた。

バルザールさんの、『負け』っすか?


「えっと、それは」

「どういうことっすか?」


思わず、二人で尋ねてしまったところ、バルザールさんが手を上げたまま、ニヤリと笑った。


「すこし、意地が悪いと思ったがな。試したんだ、お前さんらを。」

「試した」

「っすか。」


ああ、と頷いてから、バルザールさんは説明してくれる。

そもそも、バルザールさんは自分たちを疑ってなんかいなかった、らしい。


「俺はお前さん達の事情を、大まかにでも知ってる。」

「はぁ。」

「だが周りの連中はそうじゃねぇ。いまだに信用していないどころか、存在を知りもしない連中だっているだろう。」


だから、自分たちの気持ちをもう一度確かめたかったのだ、と。


「だが、お前さん達は俺の予想した通りに、強い気持ちを見せてくれた。『信用しなくてもいい』なんて、誰にでも言えることじゃないんだぜ?特に俺たち商人にはな。」


言って、もう一度ニヤリと笑うと、バルザールさんは立ち上がる。

そのまま自分たちの前にやって来て、立ち上がらせてくれる。


「信じるとも、お前さん達のことを。そして安心しろ。ギルドは、全面的にお前さん達を支援する。できることがあれば、どんどん言ってくれ。……その代わり、頼んだぜ?」

「はい!」

「っす!」



◇◆◇◆◇◆



「「ふぅ……。」」


準備があるからと、そのままギルドに残ったバルザールさんと別れ、ギルドを出た自分たちは、同時に息を吐き出した。


「ふふ。」

「へへ。」


それがなんだかおかしくて、アイリスと二人、今度は同時に吹き出してしまった。

それぐらい、二人して緊張していたのだ。


「ありがとうございます、ロットさん。おかげでなんとかなりました。」

「まぁ、一緒に行くって約束したっすからね。これくらいは当然っすよ。」

「ふふ。」

「へへ。」


もう一度笑いあってから、気持ちを切り替える。

大変なのはこれから。

この街で起ころうとしていること。

魔族が起こそうとしていること。

そして、信志さんのこと。

やらなければいけないことはまだまだ山積みになっている。

それでも。


「では、急ぎましょう、ロットさん。」

「了解っす!」


自分にも仲間ができた。

それを守るために、自分もできることをするっす!

こんばんは、Whoです。


久々のロット視点。

もっと紆余曲折を経ても良かったかもしれませんが、あれもこれもとしすぎてしまうので、再確認、程度で。


やっぱり、周りと違うと疎外感とか感じてしまいますよね。


ではでは。

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