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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
88/159

side ???

「はぁ……、はぁ……。んぐ!……はぁ。」


急がなきゃ。

急がなきゃ急がなきゃ急がなきゃ。


(痛!)


足に何かが刺さったのか、痛みがする。

その痛みが、私の頭を一瞬冷やして。


どうして、焦っているのだろう。

自分は何をしているんだろう。


そんな考えが頭をよぎったけれど。

それもすぐさま、焦りに塗りつぶされる・・・・・・・


そんなことは関係ない。

とにかくあそこへ向かうのだ。

でないと。


あそことはどこなのか。

そうしないとどうなるのか。

わからない。

わからないわからないわからない。

何もわからない。

それでも、ただ、急がないといけない。

急いで前に進まないといけない。

そんな感情が私の頭を支配・・していた。



◇◆◇◆◇◆



ふと、目が覚める。

目が覚めてから、今まで気を失っていたのだと気づいた。


「ここは……?私、は……。」


次に左手が何か温かい物に包まれているのを感じる。

そっちを見ると、手が。


「おや、気が付いたっすか?」


その手が、喋った。

それを聞くか聞かないかの瞬間に、私の体は飛び起きた。


「っ!!ぅあ……。」

「あ、まだ起き上がっちゃダメっすよ!!」


いや、飛び起きれなかった。

上体を起こした瞬間に、体が悲鳴を上げてしまった。

押さえつけられるようにして、ベッドに寝かせられる。


「慌てなくても、ここでは誰も攻撃しないっすよ。」


そんな私の考えを見抜いたように、その手は喋った。

そこでやっと私はその手の持ち主を見る。

ヒトのような肌の色。

けれど、なるほど。

確かにその手は、人間のものではない。

頭の角がそれを物語っている。


「自分も、一応魔族っすから。」

「……。どうやらそのようね。」


目の前の少女が、笑いながら言うのを聞いて、私も肩の力を抜く。

同じ魔族なら、すぐさま敵対するということもないだろう。

そう思った矢先。


『ただいまー。』

『ただいまです。』


背筋が凍りつくような感覚だった。

ドッ!ドッ!!ドッ!!!

いきなり心臓がうるさく響いてくる。

体はじんわりと汗ばんでいくのに、体温は下がっていく。

今すぐここから逃げ出したい、そう思うのに体は動かない。


コンコン

『ロットさん、いますか?』

「はーい、今開けるっす。」


ロット、というのだろうか。

近くにいた少女が、ノックされたドアに向かっていく。


(やめて、開けないで!!)


叫びたくても、のどの奥が乾ききって声も出せない。

心臓は落ち着かないし、逃げるどころか立ち上がることもできない。

なにより、どうして私はそこまでおびえているのか分からない。

ドアが開く。

人間、二人。

そこまでわかったところで、私は目を強く閉じてしまった。



◇◆◇◆◇◆



「大丈夫っすか?」

「……ええ、ありがとう。」


差し出された水を受け取ってから、胸の部分に手を置いてみる。

ドッ、ドッ、ドッ。

いつも通りとまではいかなくても、少し落ち着いた。


「そういえばまだ、おねーさんの名前聞いてなかったっすね。自分はロットっす。」

「ラミアよ。よろしくね、ロットちゃん。」

「よろしくっす。」


目の前の少女、ロットちゃんがドアを開けた時。

その前にいたのは二人の人間だった。

それもロットちゃんの主人だと言う。

よく見ると、確かにロットちゃんの首には奴隷の首輪があった。


「あなたは、悔しくないの?」

「悔しく、っすか?いや、それはないっすね。」

「どうして!?」


思わず、声が大きくなってしまう。

それほどまでにロットちゃんの言葉は私にとって驚きだった。


「あいつは人間でしょ!?そんなのにいいように使われてるなんて、私には考えられない!」


勢いのあまり、ロットちゃんの肩を掴んで。


「目をさましなさい!」

「あー、そうっすよね。普通はそんな反応になるっすよね……。」


ロットちゃんは、目線をそらして呟いた。

そんなロットちゃんの反応に、私も言い過ぎたかと少し冷静になる。

とにかく。


「待ってて。すぐ外してあげる。そしてここから一緒に!」

「まぁ、ラミアおねーさんならいいっすかね。……よいしょ、っと。」


逃げよう。

私が言い終わる前に、ロットちゃんは首輪を取り外した。

主人であるあの男しか取れないはずの首輪を。

他でも無いロットちゃんの手で。

こんばんは、Whoです。


ラミアさん。

作品内で初めての大人の女性。

まぁ警戒心むき出しで、まだそれっぽく表現できていないんですが。


随分キャラが増えてきて、頭の中が賑やかになってまいりました。


ではでは。

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