side ???
「はぁ……、はぁ……。んぐ!……はぁ。」
急がなきゃ。
急がなきゃ急がなきゃ急がなきゃ。
(痛!)
足に何かが刺さったのか、痛みがする。
その痛みが、私の頭を一瞬冷やして。
どうして、焦っているのだろう。
自分は何をしているんだろう。
そんな考えが頭をよぎったけれど。
それもすぐさま、焦りに塗りつぶされる。
そんなことは関係ない。
とにかくあそこへ向かうのだ。
でないと。
あそことはどこなのか。
そうしないとどうなるのか。
わからない。
わからないわからないわからない。
何もわからない。
それでも、ただ、急がないといけない。
急いで前に進まないといけない。
そんな感情が私の頭を支配していた。
◇◆◇◆◇◆
ふと、目が覚める。
目が覚めてから、今まで気を失っていたのだと気づいた。
「ここは……?私、は……。」
次に左手が何か温かい物に包まれているのを感じる。
そっちを見ると、手が。
「おや、気が付いたっすか?」
その手が、喋った。
それを聞くか聞かないかの瞬間に、私の体は飛び起きた。
「っ!!ぅあ……。」
「あ、まだ起き上がっちゃダメっすよ!!」
いや、飛び起きれなかった。
上体を起こした瞬間に、体が悲鳴を上げてしまった。
押さえつけられるようにして、ベッドに寝かせられる。
「慌てなくても、ここでは誰も攻撃しないっすよ。」
そんな私の考えを見抜いたように、その手は喋った。
そこでやっと私はその手の持ち主を見る。
ヒトのような肌の色。
けれど、なるほど。
確かにその手は、人間のものではない。
頭の角がそれを物語っている。
「自分も、一応魔族っすから。」
「……。どうやらそのようね。」
目の前の少女が、笑いながら言うのを聞いて、私も肩の力を抜く。
同じ魔族なら、すぐさま敵対するということもないだろう。
そう思った矢先。
『ただいまー。』
『ただいまです。』
背筋が凍りつくような感覚だった。
ドッ!ドッ!!ドッ!!!
いきなり心臓がうるさく響いてくる。
体はじんわりと汗ばんでいくのに、体温は下がっていく。
今すぐここから逃げ出したい、そう思うのに体は動かない。
コンコン
『ロットさん、いますか?』
「はーい、今開けるっす。」
ロット、というのだろうか。
近くにいた少女が、ノックされたドアに向かっていく。
(やめて、開けないで!!)
叫びたくても、のどの奥が乾ききって声も出せない。
心臓は落ち着かないし、逃げるどころか立ち上がることもできない。
なにより、どうして私はそこまでおびえているのか分からない。
ドアが開く。
人間、二人。
そこまでわかったところで、私は目を強く閉じてしまった。
◇◆◇◆◇◆
「大丈夫っすか?」
「……ええ、ありがとう。」
差し出された水を受け取ってから、胸の部分に手を置いてみる。
ドッ、ドッ、ドッ。
いつも通りとまではいかなくても、少し落ち着いた。
「そういえばまだ、おねーさんの名前聞いてなかったっすね。自分はロットっす。」
「ラミアよ。よろしくね、ロットちゃん。」
「よろしくっす。」
目の前の少女、ロットちゃんがドアを開けた時。
その前にいたのは二人の人間だった。
それもロットちゃんの主人だと言う。
よく見ると、確かにロットちゃんの首には奴隷の首輪があった。
「あなたは、悔しくないの?」
「悔しく、っすか?いや、それはないっすね。」
「どうして!?」
思わず、声が大きくなってしまう。
それほどまでにロットちゃんの言葉は私にとって驚きだった。
「あいつは人間でしょ!?そんなのにいいように使われてるなんて、私には考えられない!」
勢いのあまり、ロットちゃんの肩を掴んで。
「目をさましなさい!」
「あー、そうっすよね。普通はそんな反応になるっすよね……。」
ロットちゃんは、目線をそらして呟いた。
そんなロットちゃんの反応に、私も言い過ぎたかと少し冷静になる。
とにかく。
「待ってて。すぐ外してあげる。そしてここから一緒に!」
「まぁ、ラミアおねーさんならいいっすかね。……よいしょ、っと。」
逃げよう。
私が言い終わる前に、ロットちゃんは首輪を取り外した。
主人であるあの男しか取れないはずの首輪を。
他でも無いロットちゃんの手で。
こんばんは、Whoです。
ラミアさん。
作品内で初めての大人の女性。
まぁ警戒心むき出しで、まだそれっぽく表現できていないんですが。
随分キャラが増えてきて、頭の中が賑やかになってまいりました。
ではでは。




