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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
85/159

side 信志

「……なるほど、街の東側はまた採取できる様になっていたんですね。」


受付嬢さんは、街の地図を広げて東端に印をつけた。

他にもいくつか同じ様な印と、注意書きの文字が見える。


「では、こちらが報酬です。」

「ありがとうございます。」


そう言って差し出される小袋を受け取ると、受付を離れる。

昨日は探索しても群生地を見つけられなかったけど、今日は無事に見つかった。

受付嬢さんの言う通り、街の様子もわかってきたし、そろそろ別の仕事も見てみてもいいかもしれない。


「あ、おかえりなさいっす。」

「どうでしたか?」

「うん、無事にもらえたよ。」


ギルドの中に併設されている居酒屋で、アイリスたちと合流する。

何気に今回初めて群生地が見つかったので、その報告をするのも初めてだったから、ちゃんと報酬がもらえるのかと不安だったりもした。


「せっかくなので今日はここでご飯にしましょうか。」

「いいっすね、きょうはもう疲れたっすよ。」


机に突っ伏して疲れたアピールをするロットに笑いながら、ボクも席に着く。

やってきた店員さんに適当に注文をした後、ドット疲労感が湧き上がる。

意識していなかったけど、やっぱりボクも少し疲れているみたいだ。


「……で、明日からはもう少し別の仕事もしてみようと思うんだけど、どうかな?」

「自分はいいっすよ。確かにあの仕事だけでは収入も少ないっすし。」

「私も賛成です。もう少し体力もつけておかなきゃですから。」


そう言って頷いてくれる二人に、ボクは少し声のトーンを落として本題を切り出した。


「それと……。実は、二人にお願いしたいことがあるんだ。」

「お願い?」

「したいことっすか?」

「お待たせしました!!」


それについて話そうとしたところで、料理がやってきた。

目の前に料理を並べられてしまえば、空腹は増す。

本題はまたあとで、と言って三人で料理に取り掛かった。



◇◆◇◆◇◆



食事を終えた後は、ここで話すことでもないとギルドを出る。

よく考えなくても、家で話せば声のトーンを落とす必要もないのだ。


「ひぁ……!」


家までもう少し、と言うところで突然そんな可愛らしい悲鳴が聞こえてくる。

誰かと問うまでもない。

振り返ると、少し恥ずかしげにしているアイリスがいた。


「どうしたの?」

「いえ……ええと。」


聞いてみると、自分でもよくわからないのか首を傾げている。


「なにか、冷気、でしょうか。それを感じた気がするんです。」

「冷気?」


言われて集中してみても、寒い、と思えるほどの感覚はない。

せいぜいが涼しい夜、と言った感じだ。


「でも、それも一瞬で……。今はなんともないんですけど。」

「なら早いうちに帰るっすよー。」

「はい。そう、ですよね。」


首を傾げながらも、もう冷気は感じないみたいで、少し足早に家に帰る。

帰りつく頃には、少し体も温まった。


「今日の当番は自分っすね。少し待ってるっすよ。」


言ってロットは台所に向かう。

お茶の当番は交代で行う様にしていて、今日はロットの番だった。

しばらくしてロットが戻ってくる。

手にしているお盆の上には、湯気が登るお茶があった。


「で、さっき言いかけてたお願いってなんっすか?」


お茶を片手に、早速切り出してきた。

アイリスも両手でコップを持ったまま、コクコクと頷いて聞いてくれる。


「えーと実は、ボクの役割のことなんだけど。」


『スプラウション』と、庭のあまり外からは目立たないところに小さな雑草を生やす。

あれぐらいなら、時間も遅いし見つかって騒ぎになることもないはずだ。

ちゃんと生えたことを確認して視線を二人の方に戻す。


「本物の草が生えるんすよね?それはこの前も聞いたっすよ?」


ボクが生やす草、植物は全て本物。

それはアイリスはもちろん、すでにロットも知っていた。


「うん、でも。」


もう一度『スプラウション』を唱えて庭に植物を生やそうとする。

しかし、さっきと違って今度はなにも生えなかった。


「ボクのいた場所の植物は、見た目や名前を思い浮かべるだけで生やすことができる。でも、こっちの植物はいまだに一度も生やせたことがないんだ。」

こんばんは、Whoです。


街の様子もわかってきて、これからどうしようかというお話。

当然ながら、なんでもかんでも生やせる訳ではないのです。


ではでは。

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