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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
82/159

side アイリス

「まずは長旅お疲れさん、とでも言っておこうか。」


そう言って私たちにも座るように勧めてくれるのは、バルザールさん。

この冒険者ギルドの長です。

そしてここは、冒険者ギルドの二階にあるお客を通すようなお部屋のようで、ソファに座るバルザールさんと向かい合うようにソファが置かれ、間には机も置かれています。


「ありがとうございます。」


代表して私がお礼を言った後、向かい合う形で座らせてもらいます。

それを待つか待たないかのうちに、バルザールさんがもう一度口を開きました。


「で、お前らは確か……、商人ギルドの方に登録してるんだったよな。……あぁ、その魔族は別だったな。」


手元にあった書類に目を通しながら、順に私たちの方を向き、最後にロットさんのところで止まりました。

やっぱり、ナルメア姉様から話を既に聞いているみたいです。

そして。


「ここまではわかった。……それで、お前たちはどうしたい?」


信志さんに向かって問いました。

それは、私たちにとって少し意外な問いでした。

私たちはこれでも国を追われた身です。

移動する中でも、良くて無関心。

最悪の場合は軟禁のような扱いも覚悟していました。


「え、っと……。それはどういう?」


同じ思いだったのか、信志さんも首を傾げながら聞き返します。


「どうもなにも、お前たちはここに住むことになるんだろう?違うのか?」

「それは、はい。許してもらえるなら。」

「だろう?それならやりたいことの一つや二つ、初回特典でこっちで用意してやるよ、ってことだ。」


そっちは好きなことができて嬉しい、こっちも街に人が増えて嬉しい。

どっちも嬉しい、それがいい商売の基本ってやつだ。

あっけからんと、当然のようにバルザールさんが言いました。

それぐらいバルザールさんにとって当たり前のことで、私たちの中にも不思議とするりと言葉が入ってきました。


「店、を持つことはできるでしょうか?」


信志さんから出たのはユーステスの時と同じものでした。


「ふむ……、店、か。」


その言葉を聞いたバルザールさんは手で頭をかきました。


「そういえば、そんなことも書いていたな。……なるほどな。」

「だめ、でしょうか?」

「いや、そんなことはない。が、そうすぐに店となる建物を用意することはできない。」


そこでふと、バルザールさんが手元の紙を見、私たちを見、もう一度紙を見てから。

ニヤリと笑いました。


「そうだ、いい案があるぞ!すこし待っていてくれ!!」


そう言って立ち上がると、部屋から出て行ってしまいました。

私たちが何か反応をする暇もなく、足音が遠ざかっていき、そのまま。

ーーー消えることなく、近づいてきました。


「待たせたな!!」


後から聞いた話ですが、信志さんはこの時、(全然待ってない!)と心の中で突っ込んだそうです。

それはさておき。

本当にすぐに、バルザールさんは帰ってきました。

後ろにメガネをかけた、男の人を連れて。


「まったく、少しは事情を説明してくださいよ、ギルド長。」

「ハハハ!そういえば忘れていたな。今からするから許してくれ。」

「まったく……。」


私たちが呆然としている中、連れてこられた人はギルド長に説明を求めていました。

それを飄々とした態度でかわしながら、バルザールさんは私たちに手を向けます。


「それじゃあ、紹介しよう。今日この街に来た、『王女』と『勇者』と『魔族』だ。」

「……は?」


今度はその男の人が呆然とする番でした。

確かに私たちを端的に表すと、そういう紹介になるかもしれませんが。


「……はぁ。」


しばらくして、頭を抱えたままため息をもらしました。

なんだかとても疲れた顔をされています。


「なんだかよくわかりませんが、分かりました。あなたは嘘だけはつきませんからね。……ごほん、申し遅れました。私は、ユーリ・フォント。この街の商人ギルドの副ギルド長を任されています。どうぞ、お見知り置きを。」


くるり、とこちらをむいて頭を下げる、ユーリさん。

私たちも慌てて頭を下げます。

そのユーリさんの後ろから。


「と、まぁこんな具合に街には情報が流れていない。お前たちはここではただの移住民ってことになる。」

「ただの、」

「移住民、」

「っすか。」


満足そうに頷くバルザールさん。

くるりと、もう一度そちらを向いたユーリさんは、今度は感情を押し殺したような低めの声で。


「で?ギルド長。彼らのことはわかりました。でもいつの間に彼らと会ったんですか?」

「ギク!」


その声に、バルザールさんは分かりやすく動揺します。

……口でギク、なんていう人は初めて見ました。


「まさかとは思いますが……この時間に仕事にも手をつけないで街を歩き回ってた、なんてことはないですよね?」

「ギクギク!!」

「…………。」

「あ、あー……その。これも立派な交流だし、そのおかげで彼らとも無事会えたし……。は、ハハハ……。」


先ほどまでとは打って変わって、尻すぼみになるバルザールさん。

それに詰め寄ったユーリさんは、バルザールさんに人差し指を突きつけて。


「仕事してください!ギルド長!!」

「わ、わかったよ。……というわけだ、えーとシンシって言ったか。詳しいことはユーリから聞いてくれ!!」


そう言い残し、バルザールさんは部屋を追い出されました。


「では、僭越ながら私が説明させてもらいます。難しいことはないと思いますが、しっかりと聞くようにしてくださいね?」


こちらを振り返ったユーリさんは、説明をしてくれました。

この街の特徴の一つ、『バザー』について。

こんばんは、Whoです。


この街は秘密に対して、とても口が固い、というお話。

商売は信頼が命ですからね(しったか)。


ではでは。

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