side 信志
「この子はロットって言って。……えーと、うん。その通り、『魔族』だよ。」
「なっ!?」
ロットの頭に手を置いて言う。
もちろん、他にも言わなきゃいけないことがあるけど、そこは隠せるものじゃない。
「離れろ、信志!」
驚きから回復した正輝くんが、降ろしかけていた剣をもう一度向ける。
もちろん、ボクじゃなくロットに向けてなんだけど。
「………………。」
「そいつは魔族なんだぞ!?そいつらがどういう存在か忘れたのか!!」
「……もちろん覚えているよ。」
「だったら!」
それでも退こうとしないボクにしびれを切らしたのか、ジリジリと正輝くんが寄って来る。
後一歩、二歩も近づけば剣がロットを捉える、そんな瞬間。
「待て、その話、詳しく聞かせてもらおう。」
突然、天井から間くんが入って来た。
いや、入って来たというよりも……降って来た?
「落ち着け、天野。」
「俺は落ち着いてっ!」
「いや、ここで戦いになれば、たくさんの民が傷つくぞ。それはお前も本分ではあるまい?」
「ぐ……。」
間くんの言葉で、正輝くんも剣を下ろす。
「椿、お前も言いたいことはあるんだろう。ここでは人も多い。場所を変えよう。」
そうしてボクらは城へ戻って来た。
ボクとアイリス、セレスちゃん、それにもちろんロットも連れて。
◇◆◇◆◇◆
「……というわけで、朝になったら店にぶら下がってたんだ。」
ボクの説明が終わると、聞いていた正輝くんたちは顔を見合わせた。
すぐには信じられない、という顔だ。
「わかりました。椿様が問題ないと言うのであれば、今は信じましょう。」
少し悩んだ後、ナルメアさんがそう言ってくれる。
でも、周りはどうも気に入らないのか、ひそひそとした会話が少し聞こえてくる。
ただ、ナルメアさんの言葉は、もちろんそれだけじゃなかった。
「ですが、噂はもう止められないでしょう。それに、この国は魔族を恐れています。それを匿っていたとなると、いくらアイリスや椿様のしたことでも、民は安心できないでしょう。私にはどうすることもできません。」
「……。それならこんな方法はどうですか?」
みんなに説明する。
その方法は、簡単。
ボクやロットをこの国から追放する、と言う方法だ。
この説明に真っ先に反応したのは正輝くんだった。
「ふざけるな!いくら魔族を匿っていたからって、そんなこと!あの魔族だけでいいじゃないか!!」
「そうかな?そうだといいけど……。でもきっとだめだ。それに、みんなに黙ってたことは事実なんだし。」
「だからって……、なんでお前ばっかり……。少し前に、メラーシュから無事に帰って来たばかりなのに。」
正輝くんの言葉を聞いて少し、嬉しく思える。
こんなボクにも、心配してくれる正輝くんのその優しさに。
でもだからこそ、彼に魔族を皆殺しにして欲しくない。
「大丈夫。もともと他の国に行ってみたいと思ってたんだ。」
「…………。わかりました。では魔族の娘ロット、それに勇者椿。両者をこの国から……。」
追放します、と続けたナルメアさんの声。
でもそれは多分、周りには聞こえなかった。
「待ってください!!私も。私も、一緒に行きます!!」
それより大きな声で叫んだ、アイリスのその言葉に打ち消されてしまったから。
こんばんは、Whoです。
ここら辺からキャラの考えが少しずつ……。
そう思ってもらえるように書いていけたらいいなぁ。
ではでは。




