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夜。
物取りの噂が広まって、ユーステスではどの家も戸締りをきちんとし、心持ち見回りの数が多い。
「ま、自分にはあまり関係ないっすけどねー。」
そんな暗闇の中。
見回りの目を縫うように、家々の屋根をとびうつる影が一つ。
身軽そうな軽装に身を包み、目的地へ向かって飛んで行く。
「さぁ今日もお仕事っすよー。」
気の入るんだか抜けるんだかわからないような口調で影、魔族の少女はまた一つ、屋根から飛び移った。
頭の上を少女がたった今飛び越えたことも気づかず、見回りは歩いて行った。
◇◆◇◆◇◆
「ふむ、最後は、あそこにするっすかー。」
そんな少女が最後に目につけたのは、一軒の店。
つい最近までは空き家だったはずの、店。
しかも、この時間にも関わらずまだ明かりがついている。
もしかしたらこの店は、まだ少女の噂を聞いたことがないのかもしれない。
(それなら、寝静まるまで待つっすか。)
ごろん、と今いる屋根の上で手足を投げ出した。
そのまま、時がすぎるのを待つ。
その店の明かりが消えた頃、周りはとうに真っ暗になっていた。
(さて……と。)
ついに明かりが消えたことを確認すると、少女は立ち上がる。
他の家の明かりはとうに消え去り、人間ならば何も見えなくなるが、少女にとってこのぐらいの暗さはなんでもなかった。
なんの迷いもなく、屋根を飛び移る。
音もなく降り立った場所は目星をつけた店。
そっと耳をすませてみても人が起きている気配はない。
よしよし、と頷いた少女は内部に侵入すべく、周りを探り始めた。
程よく少女の体が入れそうな窓を見つけ、中に侵入。
その少女の意識はそこで急に途切れた。
◇◆◇◆◇◆
次に少女が目を覚ました時、その身は紐のようなもので拘束されていた。
見れば、足元にも幾本か巻き付いている。
つまりは宙吊りで、手足に紐が巻きついている状態だった。
「え?え?どう言うことっすか、これ。」
あまりのことに侵入中ということも忘れ、少女は言葉を発してしまった。
幸いにも他に物音が聞こえてくることはなかったが、それぐらい少女は動転していた。
なにせ、侵入したと思った直後からの記憶がない。
気がつけばこの状態だったのだ。
(くっ!この!……だめっすね。うまく力が入らないっすよ。)
自分を縛り付けている紐をなんとかしようと、四肢に力を込めてみるのだが、どうにもうまく力が入らない。
ほんのりと甘い香りも漂っているので、それが原因なのだろうか。
(油断したっすね……。でも諦めるわけにはいかないっす!)
それでもなんとか抜け出そうともがく。
しかし、それはこの状況において悪手と言わざるを得ない。
さっきから少女の周りを漂っている甘い香り。
その香りは少女がもがく度、呼吸をおおきくするたびにその体内へ入って行く。
だんだんと強く、深く。
(あ、れ……。なんだか、きゅうに……ねむ……く……。)
そうとは気づかず、大量の香りを吸い込んでしまった少女は、再び気が遠くなる。
つぎの瞬間には、その意識はほとんど落ち、手足もだらんとぶら下がる。
(も……だめ……。Zzzzz……。)
完全に意識を手放した少女は、そのまま朝までぶら下がっていることになった。
もちろん、朝になれば店の人間は起きてくる。
「うぅ……。」
「…………。」
店の窓付近にぶら下がってる少女を発見したのは。
「どうしたんですか、信志さ……えぇ!!」
「むー?どうしたアイリスさま……?」
その店にいた信志、アイリス、セレスの三人だった。
こんばんは、Whoです。
捕まってしまった魔族の少女の運命やいかに、とかいうとひと昔前のアニメみたいになりますね。
拷問とかはしないつもりだけど、せっかくだしあれぐらいはいいかなーなんて考えてたりします。
どうなるかは次週までお待ちください。
ではでは。




