side ナルメア
「物見台よりご報告します。アイリス様、ならびに椿信志殿の姿を遠方に発見。こちらに向かっているとのことです。」
「間違いはないのですか?」
「はい、確かにそうであったと。」
飛び込んで来た伝令兵に一瞬驚く。
アイリスと椿様はメラーシュで消息を絶った。
それ以降はなんの報告もなく、ただ亡くなったのだと思っていた。
それが、生きていた?
「急ぎ、正輝様と、間様をここへ。」
「了解しました!」
出て行く伝令兵を見送って、部屋の中に視線を戻す。
「本物、だと思う?」
「分からないわ。それを、ちゃんと確かめないといけません。」
そこには既に、真剣な目をしたテトが立っていました。
おそらく、伝令兵の伝えて来たことは本当のことでしょう。
しかし、彼女の言う通りそれが本物であるかは別の話になります。
なぜなら。
「待たせた。」
「アイリスさんと信志が帰って来たって!?」
ちょうど、これからどうするかを考えようとしたところで、正輝様達が帰還しました。
「はい。ですが。」
「なら、すぐにでも!!」
「ですが!少しだけお待ちください。本物かどうかが、まだわかっていないんです。」
「……どういうことだ?」
飛び出して行こうとする正輝様を押しとどめて、説明を始めます。
「魔族は、私たちにない力を持っています。分かっているだけでも、他者に変身する力。意識を乗っ取り、操る力。……それから、死者をも操り、生きる屍にしてしまう力。」
「……なるほど。つまりはそれらによって操られてしまっている状態の、信志に見える『何か』、だと?」
「そのとうり、にゃ。」
「…………。」
俯いてしまう正輝様。
それでもすぐに顔を上げて。
「ですが、確かめる方法もあります。」
「……なら、それは俺にやらせてほしい。これでもいくつか魔族は倒して来ている。必ずやってみせるさ。」
正輝様が、背負った剣「エクスコード」を触りながら提案した案は、驚くとともに嬉しいものでした。
彼の言った通り、二人の勇者様は既に幾体の魔族を倒し、勇者としてかなりの力を持っておられます。
その実力は止まることを知らず、ついには、伝説と謳われていた「エクスコード」を手にいれるまでに至りました。
「ええ、こちらからもお願いします。魔族の使う術に詳しい者を二人ほどおつけします。テト。」
「了解にゃ。」
アイコンタクトを送ると、すぐさまテトは従者を選ぶために走り去りました。
「なら、この俺は今しばらく様子見としよう。」
「……お願いします。」
ひらひらと手を振りながら間様は城の屋上へ向かいます。
そこからなら、正輝様の様子もよく見えるのでしょう。
噂が既に広まっているのか、騒然となる城を抜けて私たちも門の前に向かいました。
◇◆◇◆◇◆
「お待ちしておりました、ナルメア様、勇者殿。」
私たちが門の前に着くのと同時に、二人の術者が現れました。
カルテと、マナです。
「ユーステスの術師団所属、カルテです。」
「……同じく。マナ、……です。」
「あぁ、よろしく頼む。」
二人の紹介も済んだところで。
「……では、お気をつけください。」
「…………一緒に召喚された仲間のところに行くだけですよ。でも。……わかりました。」
正輝様に続いて、カルテとマナも門をくぐります。
結論から言えば私の不安は、半分外れ、半分当たっていました。
こんばんは、Whoです。
死んだと思ってた人が突然帰って来たら、そりゃ疑いますよねと言う話。
信志とアイリスは無事に入れるんでしょうか、ということで。
ではでは。




