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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
59/159

side アイリス

「……!」


持っていたナイフをそのままに、サラさんが顔を上げます。

そこには焦りがあって。


「どうしたんですか?」

「……嫌な感じがする。」

「嫌な感じ、ですか?」

「……ん。……アイリスは感じない?」

「いえ、わたしは……。」


特に感じない。

そう答えようとした矢先に。


「っ!」


感じた。

何かはわからないけれど、心の中でもやもやとしたものが湧き上がってくる。

こんなのは今まで感じたことがありません。

そんな私をみて、サラさんも察したみたいで。


「……アイリスも感じたなら、気のせいじゃなさそう。」

「これは、一体……?」

「……私たちは『治癒師』だから。」


それだけ言うと、突然サラさんが走り出しました。


「……ガルマンと信志は?」

「確か、さっき散歩に行くって。」

「……なら多分、そこ。」


なにが『そこ』なのかもわからないまま、私もサラさんの後を追って外へ向かいます。

理由はわからなくても、そうすべきだと、胸がざわめいていました。



◇◆◇◆◇◆



治癒師。

生物の傷を癒す役割。

昔は聖なる力として、崇められていたこともあったと、お父様から聞いたことがあります。


「でも今は……。」

「……そう、今は違う。……でもそれは思われていない(・・・・・・・)だけ。」

「思われていないだけって、どういう……。」


こと、と続けようとした矢先。

鼻を臭いが通り抜けました。

何かを腐らせたような臭い。


「……あそこ!」


走りながら、見えてきた物。

腐った臭いを感じた時に予想は出来ました。

そこにいたのは、たくさんのアンデッドと。

それに囲まれたガルマンさんと信志さんでした。



◇◆◇◆◇◆



「サラ、頼む!」


こちらに気づいたのか、ガルマンさんが大声を出します。

それに応えるようにサラさんは手を伸ばし。


「『ヒーラス』!」


治癒の能力を使います。

でもそれは。


「サラさん!?」


ガルマンさんや、ましてや信志さんの方ではなく。

なぜかアンデッドの方に向かっていました。

そして。


「あ゛ああ゛ぁぁああ゛あぁぁあぁぁぁああ゛ぁぁ!!」


アンデッドが白い光に包まれた途端。

耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきました。

もちろん、そのアンデッドからです。


「よし。残りも頼む。」


そのまま崩れ落ちたアンデッドをそのままに、次々とサラさんが『ヒーラス』をかけていきます。

信志さんたちに襲いかかろうとするアンデッドは、ガルマンさんが往なしていきます。


「……ぐっ!……セァッ!」

「……『ヒールウェーブ』!」

「「「ああ゛あぁぁあぁぁぁ!!」」」


周りの人達を同時に癒す、『ヒールウェーブ』を唱えたところで、悲鳴以外が聞こえなくなります。

そんな混沌とした中で。


ガッ!

「ああ゛あぁぁぁあ゛あ。」

「っ!離して、ください!」


急に後ろから足を掴まれた私は、思わず転んでしまいます。

振りほどこうと、足を動かそうと、腕の主に向いて。

向いて……。


「そんな、まさか……。」

「ああ゛あぁぁぁあ゛あ。」


見えた顔。

見たことのある顔。

腐食して、すぐにはわからなかったけど。

その顔は確かに。


「領主……様?」

「ああ゛あぁぁぁあ゛あ。」


メラーシュの領主様、その人でした。

その顔を見て、思い出します。

この町の跡に、人の死体が一つもなかったこと。

なのに町は荒れて、人の姿がなかったこと。

それはつまり。


「みなさんがこうなって……?」

「ああ゛あぁぁぁあ゛あ!!」


まさか、そんな。

否定したい。

違うと言いたい。

それでも、目の前の顔がそれを許さない。

この町にいた人はアンデッドに変えられてしまった。


「ああ゛あぁぁぁあ゛あ!!」

「いたっ!」


手に込められる力がだんだんと増しています。

サラさんもガルマンさんも、信志さんも。

こちらには来れなくて。

私だけでどうにか、しないと!


「『ヒーラス』!」


気づけば私は、治癒の能力を使っていました。

サラさんのそれより、弱い光が領主様を包んで。


「ああ゛あぁぁぁあ゛あぁぁぁああ゛ぁああ゛ぁ!!」

「っ!」


サラさんの時よりも大きな悲鳴。

私は目を背けることもできずに、その顔を見てしまいました。

これだけの悲鳴。

きっと苦しんでいるだろうと思っていた、その顔。


「え……?」


逆でした。

苦しむどころか。

落ち着いた、安らかとも言える顔で。

それでも、大きな悲鳴をあげながら。

領主様もその場に崩れ落ちました。

こんばんは、Whoです。


なんと、治癒師の使う治癒はアンデッドに特攻があったのです!

……あ、いえ、ボクが触れてきた話ではよくある設定だったのですが、この話ではそれを匂わせてなかったなと。

一応、ちゃんとこの設定にするつもりで、他のキャラの名前つけたりしてますが、その辺はまた追い追いと。


もうすぐメラーシュも抜けて、ユーステスに帰るはずですが、

こうして見ると、全然「行商編」じゃないですね。うーん。

サブタイは変えるかもしれません。


ではでは。

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