side 信志
「…………。」
人気の無い町。
その通りの一つを、あてもなく歩く。
「こんな時間に散歩か?」
声の方を振り向くとガルマンさんがいた。
「ガルマンさんこそ、どうしてここに?」
「いや、なに。こっそりと出て行く背中が見えたのでな。……すこし付き合おう。」
そのまま、二人並んで歩く。
…………。
………………。
……………………。
特に会話のないまま、足を進める。
見えてきたのは、鉱山。
「ぁ……。」
「どうした?」
見えてきた懐かしい場所に思わず声を上げてしまう。
「あ、えっと、少し思い出してしまって。」
「お前たちはここで過ごしたと言っていたな。その時のことか。」
「はい、まぁ。」
そうだ。
ここで、この場所で。
確かに流れた時間、流れたと思っていた時間。
どうしてこうなったのか。
ボクはこの世界に召喚された。
多分、勇者として。
物語に出てくるような、主人公みたいに。
でも、そうはならなかった。
あの時も、役に立ったと思えたのに。
全て。
全て、幻だった。
なら、ボクは……。
「……い、おい!大丈夫か?」
「え?」
気がつくと、地面がすぐ目の前にあった。
いつのまにか座り込んでしまっていたらしい。
頭を振って考えを打ち消す。
「お前にもこの町で思うことがあるんだろう。この際だ、少し話してみないか?」
「話す、ですか?」
「あぁ。無論、無理にとは言わないが。」
ガルマンさんのその誘いに、ボクは。
口を開いていた。
「…………ボクは、ここから離れたところから来たんです。すっごく遠い所。」
多分、勇者として期待されて召喚された。
「それでも、任されたことを満足に出来なくて……。」
魔族を倒して、平和にして欲しいと言われた。
そのために力を与えられたはずだった。
「期待されてるのに……。こんなボクに期待してもらってるのに……。」
面倒な事だけど、最初に自分で思ってしまったから。
だから……。
「だから、ボクは……。」
「そうか。」
一息に最後まで言おうとしたところで、遮られる。
地面を向いてしまっていた視線を、ガルマンさんの方へ向ける。
「お前の言いたいことは分かった。要は自分が認められないんだろう?」
「……はい。」
「それで、お前自身はどうしたいんだ。」
「………………え?」
続いたその一言が、一瞬わからなかった。
ボク自身がどうしたいか?
「お前に課せられた使命は大事な事なんだろう。任せたやつもお前に期待して任せたんだろう。だがな。」
そこで一旦言葉を切る。
そして、ゆっくりと、それでいて少しだけ吐き捨てるように言葉を吐き出す。
「それがどうしたと言うんだ。そんなもの知ったことではない。」
「…………。」
聞いて、思う。
きっとそういうことなのだ。
周りから期待された。
嬉しかった。
でも、それに自分は答えられなかった。
だからこそ、今。
「……と、少し熱くなりすぎたか。戻るとしよう。」
「あ、はい。……えと、ありがとうございます。」
忘れていた。
ボクは魔族と殺し合うのが嫌だと言ったんだ。
召喚された、その夜に。
「マシな顔つきになったな。それなら大丈夫そうだ。」
ボコ……。
ボコ……、ボコ……。
ぐばぁ!
「っ!」
地面が盛り上がる音。
それに続く、何かが破裂する音に振り替えると。
「アンデッドか!」
地面から体が生えていた。
しかもそれが上がってこようとしている。
「アンデッドって、それじゃあモンスターなんですか?」
「ああ、その通りだ。気を付けろ!襲ってくるぞ。」
ガルマンさんのその一言を皮切りに、這い出てきた者からどんどゆこちらに近づいてくる。
たしかにそれはゾンビにも見えるし、モンスターなんだろう。
でも。
「俺が食い止める。お前はすぐにサラを呼んできてくれ!……?おい、どうした。」
「あの顔、見たことがあります。」
「何?」
見たことがある。
それも、ここ、この場所で。
目の前にいるのは、鉱山で見たはずの顔ばかりだった。
こんばんは、Whoです。
遅刻です、すいません。
アンデッド(ゾンビ)はいわゆる人がそのまま腐ったのを想像してくだされば。
今度詳しい描写とか聞いてみようかな……。
ではでは。




