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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
57/159

side アイリス

「!これは……。」


下を。

下に広がっていたはずのメラーシュを見て、思わず絶句してしまいます。

家も、領主様の館も、近くにあった鉱山も。

私と信志さんが訪れたはずの場所も全て、瓦礫の山でした。


「もしかして、これが……?」

「ああ、そうだ。」

「……私たちが見たメラーシュ。」


隣で信志さんが尋ねます。

それを聞きながら、崩れそうになる足を必死で抑えます。

そんな私に気づいたのか、サラさんが声をかけてくれました。


「……アイリス。」

「…………大丈夫です。ありがとうございます、サラさん。」

「ふむ。では、ともあれ降りるとしよう。どこか休める場所もあるかもしれん。」


ガルマンさんを先頭に信志さんと私も続いて降り始めます。

最後のサラさんは、少しなにかをためらった後、私たちと降り始めました。



◇◆◇◆◇◆



「これなら、どうにかなりそうだな。」


やってきたのは普通ぐらいの大きさの家。

崩れてなお、佇むその建物は、かつてここに人の営みがあったことを思わせます。

その家の扉、それがあったと思われる場所をくぐったガルマンさんが、中から声をかけてきます。


「今日はこのままここで、一晩を明かすとしよう。」


休む、という一言に、思わず安堵してしまいます。

隣を見ると、信志さんも同じように息を吐いていました。


「?」


笑ってしまう寸前で信志さんが振り向いたので、慌てて引っ込めます。

が、


「……ふぅ。」


反対では、サラさんも同じようにしていたので、結局バレてしまいました。



◇◆◇◆◇◆



「さて、と。では状況を整理しよう。」


4人で輪っか状に座り、ガルマンさんが口火を切ります。


「二人は、この町で過ごしたと言っていたな。その時のことは覚えているのか?」

「いえ……。実はほとんど覚えていないんです。確かにいた記憶はあるんですが、よく思い出そうとするとぼんやりしてしまう感じで……。」


今で思い出そうとしてもほとんど思い出せない。

ネロさんのこと以外は。


「……多分それは、幻のせい。」

「幻……?それって例えば、ないものをあるように見せたり、とか?」

「……ん、だいたい合ってる。」

「おそらくそれをかけた何者かがいるんだろう。町に入る前に怪しいやつを見たりしなかったか?」

「怪しい……。魔族です。魔族に襲われました。」


メラーシュに着く直前。

突然襲ってきた魔族が幻を見せていたのでしょうか。


「なるほど。ならばその可能性が高いだろう。俺達の知らない術を持っていても不思議ではない。」


それから少し話をして、明日はひとまず町の中を回って見ることになりました。


「では、食事にしようか。サラ、頼めるか。」

「……ん、頼まれる。」

「あ、私もお手伝いします。」


サラさんがご飯の準備をするようなので、お手伝いをさせてもらいます。

最近は刃物の使い方も、少し慣れてきました。

こんばんは、Whoです。


アイリスが誰かのために料理をする日も近い……?

かもしれません。


ではでは。

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