side アイリス
「!これは……。」
下を。
下に広がっていたはずのメラーシュを見て、思わず絶句してしまいます。
家も、領主様の館も、近くにあった鉱山も。
私と信志さんが訪れたはずの場所も全て、瓦礫の山でした。
「もしかして、これが……?」
「ああ、そうだ。」
「……私たちが見たメラーシュ。」
隣で信志さんが尋ねます。
それを聞きながら、崩れそうになる足を必死で抑えます。
そんな私に気づいたのか、サラさんが声をかけてくれました。
「……アイリス。」
「…………大丈夫です。ありがとうございます、サラさん。」
「ふむ。では、ともあれ降りるとしよう。どこか休める場所もあるかもしれん。」
ガルマンさんを先頭に信志さんと私も続いて降り始めます。
最後のサラさんは、少しなにかをためらった後、私たちと降り始めました。
◇◆◇◆◇◆
「これなら、どうにかなりそうだな。」
やってきたのは普通ぐらいの大きさの家。
崩れてなお、佇むその建物は、かつてここに人の営みがあったことを思わせます。
その家の扉、それがあったと思われる場所をくぐったガルマンさんが、中から声をかけてきます。
「今日はこのままここで、一晩を明かすとしよう。」
休む、という一言に、思わず安堵してしまいます。
隣を見ると、信志さんも同じように息を吐いていました。
「?」
笑ってしまう寸前で信志さんが振り向いたので、慌てて引っ込めます。
が、
「……ふぅ。」
反対では、サラさんも同じようにしていたので、結局バレてしまいました。
◇◆◇◆◇◆
「さて、と。では状況を整理しよう。」
4人で輪っか状に座り、ガルマンさんが口火を切ります。
「二人は、この町で過ごしたと言っていたな。その時のことは覚えているのか?」
「いえ……。実はほとんど覚えていないんです。確かにいた記憶はあるんですが、よく思い出そうとするとぼんやりしてしまう感じで……。」
今で思い出そうとしてもほとんど思い出せない。
ネロさんのこと以外は。
「……多分それは、幻のせい。」
「幻……?それって例えば、ないものをあるように見せたり、とか?」
「……ん、だいたい合ってる。」
「おそらくそれをかけた何者かがいるんだろう。町に入る前に怪しいやつを見たりしなかったか?」
「怪しい……。魔族です。魔族に襲われました。」
メラーシュに着く直前。
突然襲ってきた魔族が幻を見せていたのでしょうか。
「なるほど。ならばその可能性が高いだろう。俺達の知らない術を持っていても不思議ではない。」
それから少し話をして、明日はひとまず町の中を回って見ることになりました。
「では、食事にしようか。サラ、頼めるか。」
「……ん、頼まれる。」
「あ、私もお手伝いします。」
サラさんがご飯の準備をするようなので、お手伝いをさせてもらいます。
最近は刃物の使い方も、少し慣れてきました。
こんばんは、Whoです。
アイリスが誰かのために料理をする日も近い……?
かもしれません。
ではでは。




