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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
56/159

side 信志

「…………。」


馬車の中ですこし身支度をすると、アイリスとサラさんが入って少し。

ボクとガルマンさんの二人は、近くに腰掛けて何をするでもなく待っていた。

ボクは文字通り、ほとんど身一つでこの旅に出ているけど、アイリスは王女。

必要な物とそうでないものを選ぶ時間が必要になる。


「まだ、かかりますかね?」

「……む?そうだな、サラも曲がりなりにも少女だからな。それなりに時間もかかろう。」


アイリスも服装を変えるのに時間がかかるんだろう。

やっぱり、城で着ていたドレスでは動きにくいようで、グラッドさんの手伝いをするときは簡単な服を借りていた。

もしかしたら嫌だったりするんじゃないかなと、こっそり確認したことがあったけど、


「いえ、こういう服も新鮮で楽しいです。着替えるのも難しくありませんし。」


なんて、笑って答えていた。

その辺はやっぱりお姫様なんだなぁ……。



◇◆◇◆◇◆



「お待たせしました。」

「……またせた。」


それからもう少し経った頃。

着替え終わったのか、二人が馬車から出て来る。


「どうですか?冒険者さんに見えますか?」


くるりと回って聞いてくるアイリス。

サラさんの服を借りているので、武器こそ装備していないものの、確かに冒険者っぽく見える。


「うん、いい感じ。」

「そ、そうですか……。なんだか照れますね……。」


少し赤くなってそっぽを向く。

あれ、なんかおかしなこと言ったかな。


「では、出発だ。……サラ、今はどうだ?」

「……ん、大丈夫、……すぐ近くにはいない。」

「そういえば、この馬車はどうするんですか?借りたものですよね?これ。」

「あぁ、それはだな……。」


言って、馬の手綱を解く。


「こうして、離すだけでいい。ああいう所の馬は賢いからな。自分で帰ることができるんだ。」


馬車の方はどうにもならんがな、と苦笑いで付け足す。

そのぶんのお金を馬と一緒に返せばいいそうだ。


「では、あらためて行こう。」


そう言って歩き出すガルマンさん。


「……私たちも。」

「はい、サラさん。信志さんも。」

「うん。」


馬車を降りたボクらは、荷物を背負い直し。

歩きで森の中へ入って行った。



◇◆◇◆◇◆



「ここに来るまでの間に不穏な空気を感じたから、では不満か?」

「えっと、そう言うわけじゃない、んですけど……。」


不穏な空気を感じたから。

それは多分、本当なんだと思う。

実際に森に入る前に襲われたこともある。

それでも。

それ以降、何もない。

歩いている時も、途中で挟んだ食事の時も。

そうなると思う、思ってしまう。

ここまでする(・・・・・・)必要があったのか(・・・・・・・・)、と。


「サラ、どうだ?」

「……静かすぎる。……最初の感じが嘘みたいに。」

「あぁ、俺もそう思う。」

「……でもこれは。」

「何かから逃げ出した……のか?」


ガルマンさんとサラさんが話しているところで、遂に。


「抜けたか……。」


森が終わる。

出たのはちょうどメラーシュの上。

その崖だった。


「!これは……。」


下を見たアイリスが絶句する。

気持ちはボクも同じだ。

そこから下は、廃墟が。

廃墟になったメラーシュの町が広がっていた。

こんばんは、Whoです。


やっと、というには短い気もしますがメラーシュまで帰ってきました。

とにもかくにもここからユーステスまでもう少し。

信志くんもアイリスもがんばって。


ではでは。

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