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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
54/159

side 信志

さく、さく、さく。

ザッ、ザッ、ザッ。


軽く木の葉を潰す音を立てながら、ボクらは森の中を進んでいた。


「!静かに。もうじき見えるぞ。」


前を歩いていたガルマンさんが、手で制する。

ボクの目にはまだ終わりは見えないけれど、どうやら森の終わりが近いらしい。


「今の所、なにも変わらないようだが……。くれぐれも注意してくれ。」


そのままゆっくりと進んで行く。

アイリスとサラさんもそれに続き、ボクも音を立てないように進む。


「あの、ここまでする必要はあるんでしょうか……?」

「……ある。」


アイリスの疑問に、サラさんが振り返った。

ボク等は乗っていた馬車から降りてこうしている。

確かに、馬車の方が早く着きそうな気もする。


「ここに来るまでの間に不穏な空気を感じたから、では不満か?」


ガルマンさんも振り返り、最初に言った言葉をもう一度言った。



◇◆◇◆◇◆



「これは……。」


ヨイツを出てしばらく。

馬車を進めていたガルマンさんが呟いた。


「……ガルマンも?」

「あぁ、ならば気のせいではないのだろう。」

「「?」」


アイリスと二人で顔を見合わせる。


「えっと、どうしたんですか?」

「あぁ、すまない。どうにも嫌な気配を感じてな。少し進路を変えたいんだが、構わないか?」

「はい……それは構いませんけど。」


突然の話に困惑しながらも、アイリスが頷く。


「そうか。……では。」


言って、徐にガルマンさんが立ち上がって馬車から降りる。


「って、ガルマンさん!?ちょ、サラさんまで。」


思わず、元いた世界での言葉遣いになりながら呼び止める。

それぐらい、二人の行動は急なものだった。


「……静かに。……もう囲まれてる。」

「囲まれてる、って一体。」


何に、と続けようとして、ようやく理解する。

目の前にある、少し大きめの藪が揺れた。


ガサガサ、ガサ。


現れたのは。


「狼……?」

「……元は、多分そう。……でも今は。」


言われて気づく。

目を凝らさないと、気づかない程うっすらとした靄が狼の周りに漂っている。

それが、馬車を取り囲んでいた。


「十分に気をつけろよ、サラ。」

「……大丈夫。」

「グルルルル…………、グワォッ!」


前と後ろにそれぞれ陣取ったガルマンさんとサラさんに、狼たちが先手必勝とばかりに飛びかかってくる。

その爪が、牙が、二人を捉える寸前。


「フン。怪しい見た目でも、所詮は狼か。」


ふわりと効果音が付きそうな、ゆっくりとした動作で狼の頭を鷲づかむと。


「そら!」

「キャウン!」


すぐ隣にいた、別の狼へ投げつける。

当然、その狼も飛びかかってくる最中だったので、二匹は絡み合いながら地面を転がった。


「そっちはどうだ?サラ。」


掴んでは投げ、掴んでは投げを数回繰り返すと狼は逃げて行った。

それを見計らって、ガルマンさんが声をかける。


「……ん。……おとなしくなってもらった。」


振り返るサラさんの足下には、うずくまって動かなくなった狼が数匹。


「「「ZZZzzz……。」」」


気絶しているのかと思ったけど、どうやら違う。

あれは……、眠っているんだろうか。


「サ、サラさん。もしかして催眠魔法が使えるんですか!?」


と。

突然、隣でアイリスが驚いた声を上げる。

催眠魔法というと、あれだろうか。

元いた世界では五円玉に糸を通して……。

少し古いかもしれない。


「……催眠魔法?」


対して、サラさんはアイリスの言葉に首を傾げる。

どうにもピンと来ていないみたいだ。


「あれ……、えっと、違うんですか?対象の抵抗を通過して、精神に効果を及ぼす魔法、ですよね?」


だから、どうしても効きにくいのだと、説明してくれる。

元々、生物は無意識で心に抵抗を持っている。

だから、体を炎で焼いたりするのと同じ感じでは、魔法が効かないのだと。


「……多分、違う。……私は『治癒師』だから。……癒しただけ。」

「癒しただけ、ですか?」

「……そう。……あまり知られていないことだけど。……どんな生物でも、回復する部分を絞れば、眠くなる。」

「そんなことが……。考えたこともありませんでした。」


同じ治癒師として思うことがあるのか、そのままアイリスとサラさんは、話し始めてしまった。

全身マッサージを受けると、眠くなってしまうのと同じ理由だろうか。

それはともかく。


「嫌な気配っていうのは、この狼だったんでしょうか?」


サラさんが眠らせた狼を、縛っているガルマンさんに尋ねる。


「ああ、多分そうだろう。だがこれだけではない。こいつらよりも強い気配をずっと感じているんだ。」

「強い気配、ですか。」

「ところで、お前たちは荷物もあまり多くなかったよな?」


聞かれて、はてと思い返す。

……確かに、着のみ着のままだ。

荷物なんてほとんどない。


「そうか、ではここからは、こちらに進路を変えよう。」


そう言って、ガルマンさんが指した方向は藪の、それに続く森の奥。

手段はといえば。


「馬車はここまでだな。」


徒歩だった。

こんばんは、Whoです。


なんとも指が進まず。

結局一回ぶんの更新です。

すいません。


なんだか、春になってからどんどん時間が限られていくような……。

ええい、愚痴っても仕方なかろう。

できる時間でするしかない。


というわけで、もしかしたらまた更新が止まることもあると思いますが、決して途中で投げ出したりはしないので。

ええ、そこはもう。

頑張らせていただきます。


ではでは。

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