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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
51/159

side 信志

「と、いうわけなんです、グラッドさん。」

「……そうか。」

「すいません、急にこんなことになってしまって。」

「いや、構わん。もともとそんな気はしていたしな。」


ギルドから帰り、アイリスと二人でグラッドさんに頭を下げる。

帰ってきた途端にこんな話をすれば、文句の一つでもあるかと思っていたけど、意外とそうでもなかったらしい。


「意外だ、って顔してるな。」

「ええと、はい。」

「ふん……。人の縁ってのはいつ結ばれるかわかったもんじゃないからな。ある日突然結ばれる、なんてこともある。それこそ、今日みたいにな。」

「ま、要は予想してた、ってことですよ。」


グラッドさんの後ろからレンツくんが顔を出す。

さっきまでしていた、荷物の整理が終わったみたいだ。


「そういうこった。」


レンツくんのその一言に、グラッドさんは深く頷く。

人の縁、か……。



◇◆◇◆◇◆



「……ネロは、それは。……私の生き別れの姉。……もう一度会いたいと、思っていた。」


ギルドで出会ったサラさんは、震える声でそう言った。

ボクらがメラーシュで出会った、ネロを知っている、と。


「ネロさんの妹、さんですか?」

「……そう。」


アイリスの質問にはっきりと頷く。

それはつまり……。


(あの町で、ネロは幻じゃなかった……?)


アイリスと視線を合わせて頷く。

どうやらアイリスも同じ事を考えたようで。


「でも、もしかしたら私たちが見たのは、幻だったのかもしれません。」

「……どういうこと?」


首を傾げる二人に、なんとか説明をする。

ボクらが町を訪れた事、町から出るときに『町は幻だ』と言われた事。

そして。

他の記憶が曖昧な中、なぜかネロのことだけははっきりと覚えていること。


「……そう。」


説明を聞いたサラさんが短く頷く。


「……多分そのあとで私たちもその町を見ている。」


そして、そんなことを呟いた。


「そうなんですか?」

「ああ。時間的にも、俺たちが訪れたのはそのくらいだろう。」


偶然にもギルマンさんとサラさんもその町を訪れていたらしい。

それもボクらの後で。


「……おかしいとは思っていた。」

「あの魔力のことか。確かにそれなら合点がいく。それこそが、幻の正体だったというわけだ。」



◇◆◇◆◇◆



「……で、どうするんだ?すぐに発つのか?」

「あ、はい!色々とありがとうございました。」


人の縁、ということでギルドでの事を思い出しているうちに、ぼんやりしていたらしい。

話が前に進んでいた。

そのあとは、メラーシュでのことを話す代わりに依頼を引き受けてもらえた。

つまり、グラッドさんたちとはここで別れることになる。


「このお礼はいつか必ず……。」

「いや、いらん。」


アイリスの言葉をグラッドさんが遮った。

あれ……?


「えっと、商人は対価を求める、んですよね?」

「あぁ、その通りだ。」

「なら、どうして……。」


思わず聞いてしまったボクに、グラッドさんはにやりと笑う。


「商人ってのは、真っ先に自分の利益を考える。仕事をこなす前、交渉の段階で人に対価を要求してな。」


聞いて思い出す。

ここまでグラッドさんもレンツくんもボクらに何かを要求したことはない。


「そうしない場合ってのは、後で騙してふっかけるか……。それか、要求できないと気付いた時だ。」


言って、腕を指差してくる。


「あんたらがしているその腕輪。上手く偽装しているんだろうが、一目でただ物じゃないとわかった。あんたらは、身分を大っぴらにできない類の人間なんだろ?」

「なら、どうして……」

「聞かなかったのかって?お前さんたちが聞かないで欲しそうに見えたからだ。……相手の望む物を用意する、それでこそ商人だからな。」


笑った顔のまま、グラッドさんは言い切った。

それが、それこそが商人だと。


「「ありがとう、ございます……。」」


アイリスと二人、もう一度頭を下げる。

この人には敵わない。

たった数日だけの旅だったけど、密かにそう思った。


「っと、そうだ。……こいつを持っていけ。」


顔を上げると、包みが一つ、目の前に差し出されていた。

受け取って、広げてみると……。


(剣……?)


天野くんが使うようなものよりは小さいけど、ナイフよりはしっかりとした剣。

ダガー、って言うのが近いかもしれない。


「これって……!グラッドさん、どこでこれを?」

「……拾ったんだ。旅の途中でな。」

「アイリス、これって……?」


急に声をあげたアイリスにびっくりしながらも、まじまじとそのダガーを見つめる。

特に変わったようには見えないけれど……。


「これは、『魔法剣』と呼ばれるものです。効果は様々ですが、何かしらの魔法が使えるようになるものです!」

「!?」


慌てて、包みごとグラッドさんに差し出す。

まさかそんなにすごいものとは思わなかった。


「も、もらえません!それに、そんなことしたらグラッドさんが……。」

「いや、俺のためにこそ、貰ってくれ。」


大損をしてしまうのではないか。

そう危惧したのに、断られた。

グラッドさんの、ため……?


「もちろん、損はしねぇさ。……あんたらはいつかとんでもない何かをやらかす。俺の商人としての勘がそう言ってる。……だからこれは投資だ。もしその何かを成し遂げて、それでもこのことを覚えていたら、その時にお礼をしてくれ。それで十分だ。」


結局、その言葉に押し切られるように、受け取ってしまった。

本当に、この人には敵わない。

こんばんは、Whoです。


最近はちょっと遅れ気味でしたが、今日こそは。

と思ったのに、来週からまた怪しい感じです。すいません。

遅れる場合は、Twitterで言ってますから、気にしてくれると嬉しいです。


次は……またextraかもしれません。

そうじゃないかもしれません。


ではでは。

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