side サラ
「……やっと戻ってこれた。」
「そうだな、今回は少しばかり長かったな。」
背負っていた荷物をどさりと隣に落とし、心のそこから疲れたことをアピールする。
ここはヨイツの街。
私とガルマンが拠点としている街だ。
「……全く、何で私たちがあんなことを……。」
「まぁ、そう言うなサラ。組織があるからこそ、我々は自由に動けるのだ。」
「……。」
組織。
私とガルマンは孤児として、その組織に拾われた。
成長した今では、その一員として依頼をこなしている。
もちろん、そのことに不満はないし、育ててくれたことには感謝もしている。
のだが。
「……それとこれとは別。」
依頼の魔物を倒しても、依頼主や組織の上司からケチがつくこともある。
達成が遅いなど、小言を聞くのは嫌いだ。
「その気持ちはわからんでもない。……なればこそ。今日はゆっくりと休んで英気を養うとしよう。」
そう言って、ガルマンは懐から袋を出した。
中に報酬のたっぷり入った金貨袋だ。
「……ん、そうする。あのお店、また行きたいと思ってた。」
「では、そこで楽しんだ後、ギルドに顔を出すとしよう。」
「……ん。」
◇◆◇◆◇◆
「……満足。」
「それはよかった。では、向かうとしよう。」
立ち上がって、店を出る。
向かうのはこの街のギルド。
主に依頼を受ける場所だが、そこには色々な情報も自然と集まる。
その情報を目当てに、他の冒険者も訪れるので、さらに情報が集まる。
「……ちょうどいい依頼が見つかるといい。」
「そればかりは、運だからな。せいぜい祈るとしよう。」
帰って来て、すぐに依頼に行くことはないが、事前にできる準備というものがある。
それを休む前に考えておく。
準備はできるだけしておいた方がいいだろう。
◇◆◇◆◇◆
「ふむ、これなんていいんじゃないか?」
ガルマンが見つけた依頼書は、近くにわいた魔物の駆除。
この時期には決まってこの手の依頼が出る。
魔物が畑を襲うからだ。
「これならば、体を休めながらこなすこともできるだろう。無論、油断してはいけないがな。」
「……ん、いいと思う。」
頷いてそれを受け取る、寸前。
「ネ、ネロ、さん……?」
こちらを向いていた、一人の少女が呟く。
その名は、いつか別れてしまった子の名前。
私に似た見た目の、私の大事な……。
「今、『ネロ』って言った?」
気がつくと私は、その女の子に詰め寄っていた。
「どうした、サラ。知り合いか?」
「えっと、知り合い?アイリス。」
私の後ろにいたガルマンと、少女の後ろにいた少年の声に我に帰る。
自分でも知らないうちに掴んでいた少女の肩からも手を離す。
「ふむ、二人とも、少し時間あるか?」
「えっと、はい。大丈夫です。」
「少し話がしたい、ついて来てくれ。……サラもそれでいいか?」
「……わかった。」
私の慌てぶりから、なにか感じたのか。
ガルマンがその場を収めてくれた。
私が尋ねた質問に、目の前の少女は頷いた。
と言うことは、この少女は知っていると言うことだ。
ネロが、どこかで生きているかもしれない。
その場所を。
◇◆◇◆◇◆
「まずは自己紹介といこうか。俺はギルマンという。しがない冒険者の一人だ。」
「……同じく、サラ。」
初めての人には、基本的に組織の名は伏せる。
世の中には知らない方がいいことも多い。
組織だって、清廉潔白な部分ばかりじゃない。
「ボクは椿信志。」
「アイリスです。こちらには依頼をお願いしに来ました。」
「依頼、と言うと?」
「護衛を探しているんです。私たちはどうしても、すぐにユーステスまで戻らないといけません。」
「なるほど。では俺たちが力になってやれるかもしれん。」
「本当ですか!?」
ガルマンの一言に、目の前の少女、アイリスが身を乗り出してくる。
そこで、私も身を乗り出す。
「……さっき、私を見てネロって言った?」
「はい……。でもそれは一体……?」
そこに帰ってくる、私の望んだ答え。
「……ネロは、それは。……私の生き別れの姉。……もう一度会いたいと、思っていた。」
震えそうになる言葉で、それだけ言い切った。
こんばんは、Whoです。
気がついたらこんな時間に……。
急に遅れてごめんなさい。
さて少しずつお話も動かしていけるように……なってるといいな〜。
もっとどんどこキャラを動かせるようになりたい。
ではでは。




