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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
42/159

side アイリス

「魔族に……、襲われたんです。」

「「!?……ゲホッゴホッ……」」

「うわ!ビックリした!」


急に咳き込んだグラッドさん達に、慌てて水を渡します。

それを飲み干して、落ち着く間もなく、グラッドさんが信志さんを睨み付けました。


「ング……。ビックリしたのはこっちの方だっての!」

「ケホッ……。でも、なるほど。魔族がいたのなら、あの爆発も納得です。」


レンツさんが、涙目になりながらも頷きます。

でも。


「爆発って……。あの時、近くにいたんですか?」

「まぁな。そのおかげで今こうしているわけだ。」

「ですね。」


驚いて、転げ落ちそうになりました、と笑いながら付け足すレンツさん。

さ、さすがにそれは笑い事ではないと思うんですが……。


「しかし、なんだってこんなところに魔族が出たんだ?」

「どういうことですか?」

「あぁ、この辺はメラーシュがなくなってからは、あんまり物騒な噂はなかったんだ。だからこそ俺達も、ここを通った訳だしな。だから、というか。この辺は特に何もなかったはずなんだ。他でもない、魔族によってそうなった。」

「そうですね。今ここには何もない……はずです。ならなにか、他の目的があるんでしょうか……?」


理由もないのに現れる、というよりも何か理由があって現れた。

そう考えるグラッドさんの考えに、私も同意します。

問題は、どんな目的があるのか……ということ。


「まぁ、今わからないことを考えても埒が明きませんよ。」

「それもそうだな。」


静かになった雰囲気を、レンツさんが切り替える。

その一言に信志さんと私も、頷いてスープを飲み干します。


「さて、俺たちはこのままヨイツへ向かうが、あんたたちはどうする。」


飲み干したのを確認して、グラッドさんが尋ねます。

……本音を言えば、ここで別れてユーステスへ戻ったほうがいいはず。

でも。


「もしよければ、私たちも連れて行ってくれませんか、ヨイツへ。」

「え?帰らなくていいのかな。」

「はい。本当なら帰るべきだと思います。でも、私たちはやっぱり力がありません。二人だけで戻るのは危険だと思うんです。」


信志さんは操草師。

私は治癒師。

魔族と戦う力は、ない。

途中で襲われたら、どうにもなりません。


「それに、ヨイツには冒険者の人たちが集まるギルドもあるんです。そこで護衛を頼みましょう。」

「なるほど……。それなら確かに。」

「……わかった、ならば連れて行ってやる。」


お願いします、とグラッドさんに頭をさげると、了承してくれます。


「ただ、道中での雑用ぐらいは手伝ってもらうぞ。」

「はい、わかりました。……ありがとうございます。」



◇◆◇◆◇◆



「よぉし、出発だ!」


後片付けを済ませ、グラッドさんが荷馬車の御者台から声をかけます。


(ナルメア姉様、テト姉様。私はちゃんと帰ってきます。もうしばらく待っててください。)


メラーシュ、そしてユーステスの方を向いて心の中でつぶやきます。


(そして……。メルトさん、兵の人達。ネロさん、町の人たちが安らかに……。)


そこまで考えて、ふと疑問に思います。

メラーシュの人たちは覚えられてないのに。

どうして、ネロさんだけ(・・・・・・)覚えていられるのか。

あの町とそこにいた人達は全部幻想だ、と魔族が言っていた。

だから、覚えていないのだと。

なのに、どうして……。


「……?どうしたの、アイリス。」

「あ、いえ……、なんでもありません。行きましょうか。」


信志さんにそう言って二人、馬車に乗り込みます。

思い過ごしかもしれない、たまたま覚えているだけかもしれない。

きっと気のせいだと、思い直して。


「じゃあ出発しますね。」


レンツさんのその一言で、今度こそ馬車が動き始めます。

ゴトゴトと揺れる馬車の上。


(……。)


やっぱり、どうしても気にせずにはいられません。


「あの……、信志さん。ちょっと相談したいことが……。」

こんばんは、Whoです。


いつのまにか10000PV突破してました。

かなりのスローペースだと思いますが、最初はほとんど目も向けられないと思っていたので、嬉しい限りです。

これからも気長にお付き合いください。


ではでは。

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