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花屋は商魂たくましい  作者: Who
放浪編
41/159

side 信志

ゴトゴト……、ゴトゴト……。


背中から伝わってくる、規則的な音にふと目を覚ます。

覚ます事ができた(・・・・・・・・)


「っ!!」


慌てて体を起こそうとするも、体は全く言う事を聞かない。

頭すら起こす事ができないから、さっきから見えるのは空ばっかりだ。


(あの後、どうなったんだろう。)


アイリスと一緒に訪れたメラーシュの町。

そこは、以前に魔族に滅ぼされた。

ボクらはそれに気づかず、幻を見せられてその町にいた。

そして。


『こうなりゃ……おめえらも道連れにしてやるよォ!』

『あばよォ!また向こうで会おうぜ!』


魔族の自爆攻撃をもろにくらって、吹き飛ばされた。


「いぁ……。」


思い出すと木に打ち付けた背中が痛み出す。

どうやら夢だった、というわけでもないらしい。

しかし。


(ここ、どこだろう……。)


体が動かせない以上、確かめる術がない。

見えている空は右から左に流れているので、どこかへ運ばれているのだろうが。


(ここはおとなしくしておくしかない、かな……?)


ガタンッ!!


背中から大きな揺れが一つ。

一瞬浮いたボクの体は、そのまま後頭部を打ち付けて。

意識を手放した。



◇◆◇◆◇◆



「よし、この辺で休憩にするぞ!水汲んでこい、レンツ」

「はい、グラッドさん。」


次に目が覚めたのは、そんな声が聞こえてきた時だった。

ついでに、背中から伝わる揺れも止まっている。


「ぅ……、よ、っと……。」

「おう、目が覚めたか。」


まだ痛む体を無理矢理起こすと、そんな声がした。

さっき聞こえた声の一つだ。


「あ、なたは……?」

「グラッド。通りすがりの商人だ。」

「商人……。!!そうだ、ボクの近くに女の子、いませんでした!?」

「グラッドさーん、汲んできました!」


さっき聞こえたもう一つの声。

振り向くと少年がいた。

向こうもこちらに気がついたようで。


「あ、目が覚めたんですね。よかった。」

「少女なら一緒だ。あんたの隣に、な。」


見渡すと、確かにアイリスがいた。


「よかった……。」

「……。何があったかは知らんが、こいつには感謝しとけ。お前さんらを見つけたのはこいつだからな。」

「いやー、あの時はびっくりしましたよ。突然、爆発なんて起きるんですから。あ、僕レンツって言います。」


ありがとう、と伝えると照れたように頭をかく少年、レンツくん。

爆発は……、魔族の最後のやつだろうか。


ぐうぅぅぅぅ……。


「っくしゅ……。」


不意にお腹が鳴る音と、小さなくしゃみが聞こえてくる。


「アイリス、気がついた?」

「信、志さん……?ここは?」

「俺達、というかこいつが、倒れていたあんた達を拾ったんだ。俺達は行商人でね、今は一先ずヨイツに向かっている。」


起きたアイリスの質問に、グラッドさんが答える。

その受け答えは普通で、ボクと同じく、痛みはまだあるみたいだけど、大きな怪我はないみたいだ。

その事にホッと胸を撫で下ろし……。


ぐううぅぅぅ……。


またお腹から音。

見ると、アイリスが顔を赤く染めていた。

ということは、さっきの音もアイリスだったのか。


「よ、よし!今度こそ飯にしよう!」

「はい!すぐに準備しますね!」


やや言い淀んだものの、グラッドさんのその一言でレンツくんが準備を始める。

レンツくんの手際はとても早く、あっという間に、食事の準備が整った。


「じゃあ、さっそく食べましょうか。えぇと……。」

「そういえばまだ、言ってなかったね。ボクは椿信志。」

「アイリスです。」

「信志さんと、アイリスさんですね。よろしくお願いします。」


スープが入った器を受け取りながら自己紹介をすませる。

具だくさんのスープで、味はコンソメに似ている、かな?


「あぐ……。それにしても、お二人はあんな所でなにしてたんですか?」

「食いながらしゃべるなよ、汚ねぇな。」


早速聞いて来るレンツくんに、アイリスと顔を見合わせる。


「どうしよ、言ってもいいのかな?」

「どうなんでしょうか。大丈夫、だとは思いますが……。」


思わず声を潜めて話してしまう。

そうすることがすでに、何かを隠していることに他ならないのだけれど。


「……。さっきも言ったかもしれないが、言いたくないなら言わなくてもいい。俺たちは商売柄、情報は欲しくてな。どうしても気になっちまうんだ。」

「……いえ、大丈夫です。」


すまねえな 、と謝るグラッドさんにアイリスが向き合う。

そして。


「魔族に……、襲われたんです。」

こんばんは、Whoです。


なんとか、新章開始です。

「行商人」とか「ヨイツ」とか。

僕にとって思い出深い作品からお借りしています。特に後者。

知っている人がいれば仲間ですね。


ではでは。

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