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花屋は商魂たくましい  作者: Who
幻の都編
37/159

side 信志

「一緒に考えましょう、どうすればいいのか。一人がだめなら二人で。」

「…………。」


一人がだめなら二人で。

その言葉で、ようやく気付いた。


(そうか、ボクは一人で頑張ろうとしていたのか。)


全くもって、ボクらしくもない。


「……ありがとう。」


そうだ、ボクはなんでもできる奴じゃない。

足りないものだらけだ。

でも、それなら。

足りないなら、集めよう。

持っていないなら、貰って、借りて、交換して。

ボク一人でする事がないように。

ボクが面倒臭いことしなくてもいいように。


(そして、いつかは……。)


最初に思った事を成し遂げよう。

それが彼女に、たった今優しくしてくれた彼女にできる、最大の……。



◇◆◇◆◇◆



しばらく。

途中から泣き出してしまっていたアイリスが泣き止んで。

お互いの体を寄せ合っている事に今更ながら気がついて。

お互いに慌てながら、距離を置いて座りなおすぐらいの時間がすぎてようやく。


「……ねぇ、アイリス。」

「はい、なんでしょう。」


先ほどから少しずつ感じてはいた、違和感。

いや、別にアイリスの声が未だに鼻声っぽいって事とかじゃなく。


「ボクらって、町からあまり離れずにいたよね?」

「そうですね。あんまり離れてなかったと思います。」

「だよね……。」


そこで一度言葉を切る。

そして、町の方を向いて。


「じゃあどうして、町が崖の下に見える(・・・・・・・・・)んだろう。」

「……え?」


そう、視界の下の方。

崖の下に町が見える。

ボクらは崖はおろか、坂道すら登っていないのに。


「やぁっと気づきやがったか、このうすのろ共め。」

「「!」」


まるで、突然そこに現れたかのような。

いや、実際そうなんだろう。

さっきまで、ここには二人しかいなかったはずだ。

それなのに、その場所に男が立っている。


「君は……?」

「!信志さん、離れてください。……あそこにいるのは、魔族です。」


アイリスの鋭い声に、その男、魔族の口元がニヤリと歪む。


「へぇ、さすがに王女サマには隠せねぇか。」

「こんなところに、何をしに来たんですか。」

「あぁん?魔族がわざわざ人間の前に現れてやったんだ。する事なんて決まってんだろうが、よっ!」


ッシュン!


途端、目の前に魔族の顔があって。

その次には、視界いっぱいの空。

そして最後に、背中に衝撃を受けて。


「カハァッ……!」

「……おいおい、オメェ本当に勇者かよ?」

「!信志さん!」


アイリスと、魔族の声が少し遠くから聞こえて来る。

いつの間にか倒れている体を起こそうとして、お腹に痛みが走った。

そこでようやく、殴り飛ばされたのだと気づく。


「ぐ……。」


顔を無理やりにあげると、魔族が近づいてくるのが見える。

その前に。


「やめてください!これ以上、信志さんを傷つけないでください!」


アイリスが体を割り込ませて、手を開く。

……守ってくれるように。


「ウルセェな、あんたの相手は後だ。」


それを、払う。

声にならない悲鳴をあげて、アイリスの体が宙を舞う。


(アイリス……!)


そして。


「全く、なんだってあのお方はこんな奴等を気にかけたんだか……。」

「……グァ……。」


近づいてきて、そのまま。

動かせない体を、持ち上げられる。


「……あの、お方……?」

「オメェらを、あの町におびき寄せたお方さ。」


言って、持ち上げているのとは反対の腕で、拳を作る。


「……そういやオメェら、あんな何もない場所で何やってたんだ?」

「……なんの、ことだ……?」


さっきまでのアイリスとの会話なら、こいつには全て聞かれていたはずだ。

あの時、「やっと」と言ったのだから。


「まさか、本当に気づいてないのか?」

「?」


要領を得ない、その言葉に無言を返すと。


「……クク、ハハハハハッ!」


堪えきれない、といったように笑い出す魔族。

あまりにおかしいのか、拳を解いた手で、目を覆っている。


「こいつは傑作だ!」

「……なんの……。」


事だ、と続けようとして。


「オメェらが過ごしたあの町はなぁ、ゼェンブ幻なんだよ(・・・・・・・・・)!」

こんばんは、Whoです。

疲れがたまっていたのか、寝落ちしてしまいました。すいません。


さて、最後に衝撃(?)の事実をぶん投げてみました。

でも、実際には予測できた人も多かったんじゃないでしょうか。

……予測、できましたかね?


次回はその答え合わせみたいなものを、していこうかなと思ってます。


ではでは。

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