side アイリス
「じゃあ、早速でかける。」
「そうですね、そうしましょうか。」
信志さんとわかれてから、私とネロさんは館をでます。
なんでも、ネロさんが私に話したいことがあるみたいです。
「でも、ネロさん。大事なことっておっしゃってましたけど、本当に私だけでいいんですか?」
「ん。信志にはまだ早い。」
大事な話と聞いた時、信志さんも一緒の方がいいのでは、と思ったのですが。
ネロさんは頑なに首を縦に振りません。
一体、どういうことなのでしょうか。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ここですか?」
「そう、ここ。」
たどり着いたのは一軒の酒場、でしょうか。
まだお昼前なのに、店の中にはかなりの人がいるみたいです。
その入り口で、ネロさんは扉を開けて、私を招き入れてくれます。
「よぉ、ネロの嬢ちゃん。今日も領主様のお使い……ってわけじゃなさそうだな。」
「正解。……静かな席は空いてる?」
「おう、そういうことなら、二階を使いな。」
「ありがとう、マスター。」
中に入ると、体を立派に鍛えた、店の主人がネロさんに声をかけてきました。
私にも、どうぞごゆっくり、と声をかけてもらい二階の席に移動します。
「ネロさんは、よくこのお店に来るんですか?」
「ん。領主様がここの料理を気に入ってるから。」
「だから、店主さんとも顔見知りだったんですね。」
私たちが席に着くと、店主さんが上まで登ってきてくれました。
「注文は決まってるかい?」
「飲み物を適当にお願い。……アイリスはもそれでいい?」
「はい、お願いします。」
「かしこまりました、っと。……ところで銀髪の嬢ちゃん、あんたこの辺じゃ見ない顔だよな。」
「はい、王国の方から来ました。アイリスです。」
私がそう答えると、店主さんが急にビクリとしました。
「王国から来て、その御名前!……もしかして第三王女様ですかい!?」
「は、はい……。」
そのまま勢いよく聞かれ、頷いてしまいます。
後にして思えばあまりよくないことでしたが。
ともかく、私の言葉を聞いた後、しばらく驚いて固まっていた店主さん。
しばらく私達の顔を見続けた後。
ようやく我に返ったように、
「こ、これはとんだご無礼を。……汚いところですが、よければゆっくりしていってくださえ。」
「そ、そんなにかしこまらないでください。」
急に頭をさげる店主さん。
私は慌てて手を体の前で振って、頭を上げてもらいました。
信志さんもネロさんもこういったことはしないので、すっかり忘れていました……。
王女様って普通こんな感じですよね……。
店主さんが下に戻った後。
ネロさんがこちらを振り向いて、
「……私もそうした方がいい?」
なんて笑いながら聞いてきました。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「それで……。大事な話ってなんですか?」
頼んでいたものが一通り揃ったあと。
ネロさんに今日の目的を、聞きました。
「…………。忘れてた。」
しばらく口を動かした後。
それをごくりと飲み込んでネロさんが呟いた言葉に、思わずがくりとなってしまいます。
「ネロさん……。」
「……大丈夫、冗談。」
全く冗談に聞こえない声で、そんなことを言ってから。
ネロさんはその目をすっと、細めたなんだか真剣な顔で。
「私、信志の事が好き……かもしれない。」
「っ!」
ガタガタガタッ!
突然の告白に、私は思わず席を立ってしまいます。
いつ?どうして?
そんな疑問が頭の中を飛び回ります。
立って、そこまで考えてからようやく。
そこまで驚いた自分に恥ずかしくなり、顔が紅くなりました。
その理由を考える前に、ネロさんに席へ戻され。
「落ち着いて。」
「…………はい。大丈夫です。」
一息をついてから。
「でも、どうして私にその事を?」
色々気になるけれど、まずは一番の疑問から。
なぜ信志さんではなく私に、なのか。
それに対する、ネロさんの答えは簡潔で。
「……ん。アイリスもそうだと思ったから。」
「私が……ですか?」
そう言われ、はじめに思ったことはそうだろうか、という気持ちだった。
確かに、嫌いではない。
むしろ、好きだとも思うし、勇者様として、尊敬もしている。
でも、ここでの「好き」はその、恋愛的な話なわけで……。
「そう、なんでしょうか……?」
結局。
出てきたのは頼りない、疑問系の答えだった。
「違うの……?」
「自分でもよくわかりません。今まで、誰かを好きになるなんて、考えたこともなかったですから……。」
「そう。」
頷いてから、徐に手を伸ばしてくるネロさん。
ええと……?
「だったら私たちは仲間。」
「そう、ですね。」
確かに。
確かに、ネロさんも最初に「かもしれない」と言っていました。
自分の気持ちがよくわかっていない者同士、仲間と言えるかもしれません。
伸ばされていた手を握り返します。
同時に。
「この話は確かに、信志さんにはできないですね。」
「まったく。信志にはまだ早い。」
二人で笑って。
いつか答えが出るようにと、こっそり願いました。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ちょっと遅くなってしまいましたね。」
「ん。反省。」
ネロさんとのんびり話をした後。
店を出る頃には、夕方に近い時間になってしまいました。
足早に戻る私たちの前。
道が交差しているところに。
「信志……?」
「本当ですね。」
さっきまで話題にしていた、信志さんその人がいて。
こちらを確かに見て。
「信志さんっ!!」
そのまま。
地面に倒れて。
こんばんはWhoです。
すいません、ずいぶん長く遅刻してしまって。
なんとか復帰できるまで戻ってきたので、再開です。
できる範囲で、ですが頑張っていきますので気長におつきあいください。
ではでは。
女の子同士の会話、うまくなりたい……。




