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花屋は商魂たくましい  作者: Who
幻の都編
30/159

side 信志

「なんと……。そんなことが……。」


一夜明けた朝食の席で、昨日あったことを領主に話す。

鉱山にいた鉱夫達は、無理な労働で体調をくずし、けが人が続出するほどだった。


「はい。私達の目から見ても、あまり良い状況とはいえませんでした。」

「なるほど。しかし、私もそんな命令を出してはいないし、報告も……。!!」


言葉の途中で、何か思いついてしまったように固まる、領主。

あまり考えたくはないけれど、領主と鉱夫との間に立つ人間がいる。

そして、もしかするとその人が……。


「まさか……ノーマン……?」


領主の口から、小さく溢れるつぶやき。


「ノーマン、さん?」

「……私の部下のひとりです。そして。我々と鉱夫達との間に立つ人間です。」

「「!!」」


領主の説明を聞いて、アイリスも思い至ったのか、顔に動揺が走る。

ボクも思わず立ち上がりそうになってしまう。


「誰か。ノーマンを呼んでくれ!大至急だ!!」


領主のそんな大声に、その場にいた使用人の人たちが一斉に部屋を出て行く。


「ノーマンには鉱山の報告と、そこに対する我々の言葉を届ける仕事を任せていました。」

「それでは、まさか……。」

「はい、私もその通りだと考えております。ですから、今からここに彼を呼びます。王女様と勇者様には申し訳ないですが、いましばらくお付き合い願います。」

「はい。」

「もちろんです。」


頭まで下げる領主に、ボクとアイリスが返事をする。

……その、一瞬後。


「領主様!ご報告が!!」


扉を壊さんばかりの勢いで、一人の使用人が部屋に駆け込んできた。

さっき、この部屋から出て行って、ノーマンさんを探しに行った人のはずだけど……?


「どうした、何事だ。」

「はい。ノーマン様の部屋へ向かったところ、部屋にノーマン様の姿はなく、代わりにこんなものが……。」


すっ、と差し出されたのは一通の封筒のようなもの。

それを受け取って開く領主。

その目が。表情が。

驚きを表した後。

決意を込めたものに変わった。


「なんて、書いてあったんですか……?」

「……ええ、はい。『しばらく暇をいただく』と。」


黙ってしまった領主に問いかけると、少しの間をおいて返事が来る。

『暇をいただく』、要は辞職願いのことだっただろうか。

そんな事を考えていたボクの前で、領主が頭を下げる。


「……すいません。これ以上は身内の恥になるのでしょうが。それを承知でお願いします。私は今回の事を、このまま放置しておきたくない。どうか、今しばらくのご協力を……。」

「わかりました。私たちにできることなら。」

「このまま、放っておくのもモヤモヤするしね。」

「……ありがとう、ございます。」








頭を上げた領主は、ノーマンの行方を追う事を告げると、早速部屋から出て行く。

残ったボク達はというと……。


「すいません、信志さん。実は、昨日ネロさんにお誘いされて……。」


自由行動することにしたのだが……。


「少し二人で、したいことがある。」


いつの間にか現れたネロに連れられて、アイリスも行ってしまった。

そう、つまり。


「うーん、暇だ。」


一人になってしまった。

仕方ないので、あてもなく町をうろつく。

ちょっとした散策気分だ。

一応、ユーステスを出るときに持たせてもらったお金があるので、簡単な買い食いをすることもできるのだが。

なんだかそうする気にもなれず。

小高い丘にある、草地にたどり着いたボクは座り込んで、雲を眺めることに。


(思えば、こうやって昼間にゆっくりするのは久々かもしれない。)


そういえばそうだ、と思い出す。

元の世界にいる頃はそんな時間は山ほどあったのに……。









雲を眺め始めて数分。

飽きてしまった暇つぶしを、いつまでもしていても仕方ない。

早速飽きてきてしまったボクは仰向けに寝転がり、目を閉じる。

閉じた瞬間。

視界は閉じた瞼で暗くなるのだが、なお明るく光るように感じる地面、そこに生えている草。


「!!」


驚いて目を開く。

何も変わらない景色がそこにはある。


(……?)


首をかしげた後。

もう一度ゆっくりと目を閉じる。

……やっぱり光っているように感じる、草。

そして。

どこからかから聞こえてくるような気がする、小さな音。

いや、これは……。


(草から聞こえてきている……?)


耳をすませてようやく聞こえてくるような音に意識を集中させ。


「ココ……ンド……シ」


ようやっとかすかに聞き取れた所で。


「あ、いた!」


すぐ隣から最近聞いた覚えのある声が。


「頼む、にいちゃん。またあの力、貸してくれ。」


果たして。

目を開いて見えたのは。

スラムで出会ったあの少年だった。

こんばんは、Whoです。


久々に名前のある人をだした気がします。

さて、この章もだいぶ話が進んできました。

章の最後をどうするかを決めた後で間を埋める形で話を作っていくスタイルなので、じつはこの辺はだいぶ思いつきだったりします。

ですが、もうじきラストが見えてくる(はず)なので、どうかもう少しお付き合いください。


ではでは。

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