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花屋は商魂たくましい  作者: Who
幻の都編
25/159

side アイリス

「……領主様、がですか?」


一瞬、言われている意味がわかりませんでした。

確かにここを管理し、労働を課しているのは領主様なのでしょう。

しかし、ここの現状を嘆いていたのもまた、領主様のはずです。


「……どういうことでしょう?」


思わず隣にいた信志さんに、小声で問いかけてしまいます。

もちろん、ここの人たちが嘘を言っているようには見えません。


「そんな人には見えなかった、か?」

「ええと、その、はい……。」

「無理もないか。俺たちも最初は信じられなかったからな。」


そう言って腰を下ろします。


「あの、よければ話してくださいませんか?」

「ん?あぁ、そうかあんたらはそのために来たんだったよな。」


と言っても、俺たちもあんまり詳しくは知らないんだがな。と前置きして、その人は話し始めました。


「この建物が、前は外にあったってことは話したよな。」

「はい。」

「その頃は、まだ人もそんなに多くなかった。ここは自分の力だけが頼りだからな。」


力だけが頼り。

男の子なんかは憧れるとも聞きますが、やはり大抵の人はあまり進んでやりたがることはありません。

ここも例に漏れず、そういった場所だったのでしょう。


「それが、まず人が増えていった。まぁそれ自体は別に悪いことじゃない。効率もよくなるしな。」


そうして、徐々に増えていった人を休ませる場所が必要になった。

それがこの場所なのだそうだ。


「でも、それでは外の建物はどこに行ったんですか?」

「壊れたんだ。ある日突然、な。」

「壊れた!?そんな、どうして。」


突然の展開だったので思わず声を上げてしまいます。

目の前の人の驚いた顔を見て、突然だったのは私も同じだと気づきます。

うぅ……、恥ずかしい……。


「ま、まぁそう言いたいのもわかる。それなりにしっかりしたものだったしな。」

「すみません……。」

「ああ。だから、最初は原因がわからなかったんだ。」


確かに、しっかりとした建物が理由もなく倒れるとは思えません。

理由があるとすれば、それは、


「地震……ですか?」


私が理由を考えつくのと同時、信志さんが言いました。

でも。

ジシン、って何なんでしょうか?

聞き覚えのない言葉、だと思います。


「にぃちゃん、ジシン、ってのは一体何なんだ?」

「えっと、簡単に言えば、地面が揺れる災害のことなんだけど。この辺ではあまり起きないのかな。」

「地面が、揺れる……?ははは!そんなもん起きたら世界の終わりだろ。」


信志さんの答えに、笑い声が起きます。

かくいう、私も信じられません。

地面が揺れる。

言葉にするとすごく簡単に聞こえますが、それは想像するだけでも世界の終わりに近いものです。

もしかしたら、信志さんたちのいた世界にはあったのでしょうか。


「うーん、ボクの住んでいたところでは、それなりにあったんだけどなぁ。」


小さく呟いた信志さんの声は、私以外には聞こえなかったようです。

もちろん、聞こえてもさらに笑われるだけでしょうが、勇者であることを知っている私には笑えません。

もしかして信志さんたちはこの世界よりも、もっと過酷な世界で生きていたのではないでしょうか……。


「まぁとにかく、だ。地面は揺れてねえし、世界も終わっちゃいねぇ。崩れたんだ。突然、な。」


話には聞いたことがあります。

地面を掘りすぎていると、どうしても大地の力が失われて、もろくなってしまう、と。


「それで、もう一度外に立てるのに反対されたんだ。もちろん、領主サマに、だ。」

「そう、なんですね。」

「あぁ。なんでも、『中に立てる方が、距離が近くなっていい』だそうだ。冗談じゃねぇ。」


近くに住めば、時間は短縮できます。

それは、そうなのですが。


「案の定、体調を崩す奴がたくさん出た。無理がたたったんだ。」


その時のことを思い出してしまったのか、手が震えてしまっています。


「なるほど、わかった。」


私を含めて、誰もが言葉をなくしてしまう中。

信志さんの、大きくはないその声がやけに大きく響きました。

こんばんは、Whoです。

地震。

日本では頻繁に起きますし、最近も鳥取で起きていたみたいですが、日本以外ではなかなか起きないよ、というお話。

実際アメリカなんかはほぼないらしいですね。

異世界もそれに外れず、といった感じです。


ではでは。

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