side 信志
「ネロさん。鉱夫さんたちが休む建物はありますか?」
「奥に。」
入り口近くで倒れていた鉱夫を助けるために、ネロが担ぎ上げる。
うーん……、力持ちだ。
一人の男としては、ちょっと情けない気もするが仕方ない。
「信志さん、私たちも。」
「了解。」
既に奥へ向かったネロを追って、歩き始めた。
入り口から5分も歩かない所に、それはあった。
特に変わりのない木製の住居、といった感じの建物。
ここで働く鉱夫たちの宿だ。
「あ、あんたらは……?」
突然現れたボクらに驚いて、扉の前にいた一人が声をかけてくる。
「ユーステスから来た者です。倒れていた方を見つけたのでここまで。」
「なんだって!……ちくしょう、またか。」
アイリスの答えを聞いて、思わずという風に舌打ちをする。
驚いた後、『また』ということは、最近になって多くなったということだろうか。
「なら、すぐに中へ。」
近くにいたもう一人が、扉を開けてくれる。
ネロが急いで運び込んだ。
そこは。
「ぐ……。」
「う、うぅ……。」
建物の中は人、人、人。
数えきれないほどではなくとも、少なくない人が苦しんでいた。
「これは……。」
呆然とするように立ち尽くしてしまう。
「……信志。」
立ち尽くしてしまったボクに、ネロが呼び掛ける。
抱えていた鉱夫は、近くに寝かされていた。
「……大丈夫?」
「……あ、あぁ。うん、ありがと。」
声をかけられて初めて気がつく位には、驚いたていたけれど。
頭を振って、気をとりなおす。
今は、この状況をなんとかしよう。
「アイリス、手伝えることってあるかな?」
アイリスにそう、声をかけた。
「はい。では……。」
「ふぅ……。」
「お疲れ様。」
鉱夫たちの処置がようやくひと段落ついた。
体感では30分ぐらいだろうか。
まだ動けない人たちがひしめく部屋の隅で、ボクらは一息ついていた。
「あんたらのおかげで助かったぜ。ありがとな。」
「あぁ、本当に。あんたらがいなかったらどうなっていたことか。」
比較的元気だった人や、処置の手伝いをしてくれた鉱夫たちが礼を伝えてくる。
「しかし、ここはあんたらのような人は滅多にこない。あんたらはどうしてここに?」
その中の一人がそんな疑問を投げかけてくる。
「私たちは、ユーステスから来ました。こちらの町の様子を見に来たんです。」
「なんと!使者の方々でしたか。」
どよめきが広まって、みんなの視線がさらに集まってしまった。
正確には、ボクの隣にいるアイリスが注目されているんだけど……。
「それで、こちらの鉱山にも足を運んでみたのですが……。」
「……悪い環境、ってやつだな。」
「はい……。」
淀んだ空気に、多すぎるけが人。
これが鉱山の現実なのかと、びっくりしてしまった。
「でも、どうしてこんな洞窟の中に建物を建てたんですか?」
言葉を途切れさせてしまったアイリスに代わって、質問する。
鉱山、と言ってもてっきり外に宿があると思っていたのだ。
気になってしょうがない。
「……この建物も最初からあったわけじゃない。昔は、外にちゃんとしたものが建っていたんだ。」
「あぁ。その時は、こんなにけが人が出ることもなかった。」
「そりゃ、危険な仕事だからな。多少は出ていたさ。それに、空気も今よりマシだった。」
一人が話し始めるにつられて、いろんな人が言葉を重ねていく。
やっぱり、最初は外にあったのか。
「それがあるときを境に、急にこんな状況になったんだ。」
「急に?それはまた、どうして。」
「わからねぇ。それまで、無理は言わなかったのに人が変わったように、重労働を押し付けられたんだ。」
誰に、なんて聞くまでもないだろう。
命令を下すとしたら……。
「あぁ。人が変わったような領主様に、な。」
こんばんは、Whoです。
最近、寒くなってきて鼻水が止まりません。
外出するときにティッシュを忘れたときには、それはもう悲惨なことになります。
さっき振り返ってみると、ちょうど王国編と同じぐらいの話数を書いてることに気がつきました。
そりゃあ寒くもなりますね。
まだまだ下手くそで遅筆ですが、気長にお付き合いください。
ではでは。




