side アイリス
「メルトさん、大丈夫だったんですね。」
信志さんとネロさん、二人と館の前まで帰ってくると、ちょうど帰還したところなのか、メルトさんがいました。
「ん?あぁ、アイリス様に信志か。」
嬉しくて思わず走り出してしまった私を、信志さんとネロさんが追いかけてきます。
「無事でよかったよ、メルトさん。」
「無事?当たり前じゃないか。あたしはこれでも騎士だからね。」
そう言って、握りこぶしをつくります。
よかった、本当に大丈夫そうで。
ほっと胸をなでおろしていると、館の中から領主さんが出てきました。
「おや、皆様お帰りなさい。部屋と食事の用意ができておりますぞ。どうぞ、お入り下さい。」
「……というわけで、なんとか撃退できたんだ。」
「そうですか。援軍が間に合ってなによりです。」
「あぁ、助かったよ。」
夕食も終わって、お互いの近況を話すことになりました。
「ただ……、少なくない兵が負傷してしまった。しばらくの間は、ここから出ることができないと思う。」
「わかりました。私たちも、しばらくは調査のためにここに止まります。その間は、ゆっくり休息をとってください。」
「了解した。感謝する。」
頭を下げるメルトさんに頷いてから、前に向き直ります。
「それで、明日は少し鉱山の方を見ておきたいのですが……。」
「……鉱山、ですか。」
領主さんにそう告げると、少し、考え込んでしまいました。
「何か、あるんですか?」
「……はい。実はここのところ、けが人が続出してましてな。原因を探ろうとしているのですが、あいにくまだつかめておりません。」
なので、そんなところに私を連れて行っていいのか、と悩む領主さん。
でも、「けが人」ということは。
「でしたら、ぜひ行かせてください。」
「なんですと!……いや、王女様は治癒師でしたな。……しかし。」
私の力が役に立つのなら、行かない道理はありません。
「ううむ……、わかりました。ですが、こちらから護衛をつけさせてください。さすがに王女様だけ、というわけにはいきませんのでな。」
「わかりました。お気遣い、感謝します。」
そして、夜。
別々の部屋に案内された私は、一人でベットに入ります。
昼間に色々あったからでしょうか。
疲れているのに、なかなか眠りにつけません。
「?」
それでも、なんとか眠りにつこうとしていると。
〜♪。〜〜♪♪。
不思議な音。
安心できるようで、同時に何か不安をも掻立てるその音は、それでも綺麗で。
(優しい、音……。)
冴えていた私の目を、ゆっくりと落としてくれました。
「え!?信志さんも来てくださるんですか?」
朝。
館の前で、思わず大きな声を出してしまいました。
「えっと、そんなに驚くことかな?」
照れたように、頬をかきながらたずねる信志さん。
「いえ、その。昨日はそんなこと一言も仰っていなかったので……。」
「そういえば、そうか。ごめん。でも、ほら。これでもボク勇者だし。」
「信志さん……。」
「ちなみに、私も一緒。」
「うわぁ!」
「きゃあ!」
背後から唐突に声をかけられて、驚く信志さん。
私もつられて驚いてしまいました。
でも、この声は。
「待たせた。」
こっそり近づいたのでしょうか。
信志さんの背後には、ネロさんがいました。
「びっくりしました……。でも、ということは、ネロさんが?」
「(コク)そう。私が今日も一緒に行く。」
そう言って歩き出すネロさん。
私と、信志さんと。
三人で、鉱山へと向かうことになりました。
「……これは。」
たどり着く前から漂っていた、不快な臭い。
だんだんと強くなっていく臭いに、信志さんも顔をしかめます。
ネロさんだけは、同じ表情でしたが……。
「あ、あれを見てください。」
入り口からそう、離れていない場所。
そこに一人の男性が倒れていました。
鉱夫、でしょうか。
「大丈夫ですか?」
思わず駆け寄った私は、早速、能力を使って状態を確認します。
……大丈夫。弱っているけれど、意識はある。
「ネロさん。鉱夫さんたちが休む建物はどこにありますか?」
「奥に。」
一言言うと、ネロさんは鉱夫さんを担ぎました。
「ついてきて。」
そのまま、歩き出します。
こんばんは、Whoです。
なんだかんだと、ようやく鉱山に来ました。
アイリスも、治癒師なら少しぐらい活躍しないとね。
なお、治癒師で怪我は治っても、体力は戻りません。
なので、兵士もアイリスが治療すればすぐ動けるようになるのでは、ということではありません。
ゆっくり治すことも大事、ということで。
寒くなったり暑くなったりですが、風邪などはお気をつけください。
ではでは。




