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花屋は商魂たくましい  作者: Who
幻の都編
23/159

side アイリス

「メルトさん、大丈夫だったんですね。」


信志さんとネロさん、二人と館の前まで帰ってくると、ちょうど帰還したところなのか、メルトさんがいました。


「ん?あぁ、アイリス様に信志か。」


嬉しくて思わず走り出してしまった私を、信志さんとネロさんが追いかけてきます。


「無事でよかったよ、メルトさん。」

「無事?当たり前じゃないか。あたしはこれでも騎士だからね。」


そう言って、握りこぶしをつくります。

よかった、本当に大丈夫そうで。

ほっと胸をなでおろしていると、館の中から領主さんが出てきました。


「おや、皆様お帰りなさい。部屋と食事の用意ができておりますぞ。どうぞ、お入り下さい。」




「……というわけで、なんとか撃退できたんだ。」

「そうですか。援軍が間に合ってなによりです。」

「あぁ、助かったよ。」


夕食も終わって、お互いの近況を話すことになりました。


「ただ……、少なくない兵が負傷してしまった。しばらくの間は、ここから出ることができないと思う。」

「わかりました。私たちも、しばらくは調査のためにここに止まります。その間は、ゆっくり休息をとってください。」

「了解した。感謝する。」


頭を下げるメルトさんに頷いてから、前に向き直ります。


「それで、明日は少し鉱山の方を見ておきたいのですが……。」

「……鉱山、ですか。」


領主さんにそう告げると、少し、考え込んでしまいました。


「何か、あるんですか?」

「……はい。実はここのところ、けが人が続出してましてな。原因を探ろうとしているのですが、あいにくまだつかめておりません。」


なので、そんなところに私を連れて行っていいのか、と悩む領主さん。

でも、「けが人」ということは。


「でしたら、ぜひ行かせてください。」

「なんですと!……いや、王女様は治癒師でしたな。……しかし。」


私の力が役に立つのなら、行かない道理はありません。


「ううむ……、わかりました。ですが、こちらから護衛をつけさせてください。さすがに王女様だけ、というわけにはいきませんのでな。」

「わかりました。お気遣い、感謝します。」




そして、夜。

別々の部屋に案内された私は、一人でベットに入ります。

昼間に色々あったからでしょうか。

疲れているのに、なかなか眠りにつけません。


「?」


それでも、なんとか眠りにつこうとしていると。


〜♪。〜〜♪♪。


不思議な音。

安心できるようで、同時に何か不安をも掻立てるその音は、それでも綺麗で。


(優しい、音……。)


冴えていた私の目を、ゆっくりと落としてくれました。




「え!?信志さんも来てくださるんですか?」


朝。

館の前で、思わず大きな声を出してしまいました。


「えっと、そんなに驚くことかな?」


照れたように、頬をかきながらたずねる信志さん。


「いえ、その。昨日はそんなこと一言も仰っていなかったので……。」

「そういえば、そうか。ごめん。でも、ほら。これでもボク勇者だし。」

「信志さん……。」

「ちなみに、私も一緒。」

「うわぁ!」

「きゃあ!」


背後から唐突に声をかけられて、驚く信志さん。

私もつられて驚いてしまいました。

でも、この声は。


「待たせた。」


こっそり近づいたのでしょうか。

信志さんの背後には、ネロさんがいました。


「びっくりしました……。でも、ということは、ネロさんが?」

「(コク)そう。私が今日も一緒に行く。」


そう言って歩き出すネロさん。

私と、信志さんと。

三人で、鉱山へと向かうことになりました。




「……これは。」


たどり着く前から漂っていた、不快な臭い。

だんだんと強くなっていく臭いに、信志さんも顔をしかめます。

ネロさんだけは、同じ表情でしたが……。


「あ、あれを見てください。」


入り口からそう、離れていない場所。

そこに一人の男性が倒れていました。

鉱夫、でしょうか。


「大丈夫ですか?」


思わず駆け寄った私は、早速、能力を使って状態を確認します。

……大丈夫。弱っているけれど、意識はある。


「ネロさん。鉱夫さんたちが休む建物はどこにありますか?」

「奥に。」


一言言うと、ネロさんは鉱夫さんを担ぎました。


「ついてきて。」


そのまま、歩き出します。

こんばんは、Whoです。


なんだかんだと、ようやく鉱山に来ました。

アイリスも、治癒師なら少しぐらい活躍しないとね。

なお、治癒師で怪我は治っても、体力は戻りません。

なので、兵士もアイリスが治療すればすぐ動けるようになるのでは、ということではありません。

ゆっくり治すことも大事、ということで。


寒くなったり暑くなったりですが、風邪などはお気をつけください。

ではでは。

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