表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花屋は商魂たくましい  作者: Who
幻の都編
19/159

side アイリス

「へぇ。じゃあネロさんは、最近こちらに来たんですね。」

「……ん。」


メラーシュの領主様から紹介されたのは、奴隷として雇われているネロさんでした。

奴隷。

様々な事情で働くことが困難になった人たちが、生活を保障してもらう代わりに、なる「身分」。

この世界では、珍しくもない話です。

信志さんは、奴隷と聞いてなんとも言えない顔していましたが……。

あちらの世界では、違う意味での奴隷があるのでしょうか?


「……着いた。ここから先が畑。」


ネロさんとお話ししながら歩くこと少し。

館前の、そこそこに賑わったお店を抜けた先には、いくつかの畑が見えました。

今は、ちょうど収穫の時期にあたるので、たくさんの人が仕事に精を出しています。

そして。


「……あっちに行くとスラム。」


つ。っと視線をずらせば、見えて来るのは、入り組んだ路地。

もう時間は夕方に近いので、影が伸びて余計に暗く見えます。


「……どっちから行く?」


ネロさんの質問にふと、信志さんの方を向くと、路地をじっと見つめています。


「路地の方をお願いします。」

「……ん、わかった。」


ばれたか、という顔をした信志さんを連れて、私たちは路地の方へと足を向けます。


「そういえば、畑を耕す人がたくさんいたってことは、こっちの方には操草師のことはあんまり広まってないのかな?」

「どうなんでしょう。ユーステスのようにあまり無理をさせてないだけかもしれません。」

「……なんの話?」


信志さんと操草師のことを話していると、ネロさんが不思議そうに首をかしげます。


「ああ、ボクの役割なんだけど、操草師って知ってる?」

「……ん。お花屋さん。」

「やっぱりそんな認識なんだ……。」


最初は同じ感想を抱いていた私は、思わず苦笑してしまいます。

私とネロさんの反応に若干肩を落とした信志さんは、気をとりなおして続けます。


「まぁとにかく。そんな操草師なんだけど、ボクはちょっと違うみたいなんだ。」


説明のために足を止めた信志さんは「スプラウション」と唱えます。

生えてきたのは、私もここ最近見慣れた赤い野菜。


「……トマト?」

「そう、その通り。そしてこうすると……。」

「……すごい、本物みたい。」


トマトの断面を見てネロさんがそわそわし始めます。

心なしか耳や後ろから生えている尻尾も揺れています。


「実は『みたい』、じゃないんだ。」


食べてみて、と差し出されるそれを、興味半分、疑い半分で匂いを嗅いだ後。

好奇心が強くなったのか、一息で口に入れてしまいました。


「……美味しい。」


もぐもぐ、と咀嚼し、ちゃんと飲み込んでから一言。

思わず漏れてしまった一言のようで、その後はなんとも言えない顔になってしまいました。


「……どうして?」

「うーん、それがわからないんだ。気が付いたらこんなことに。」

「……そう。」

「実はこの現象、ユーステスの方では結構な数確認されているんです。」


じゃあ食べ放題……と、何やら呟くネロさん。

そんな純粋な感想に信志さんと顔を見合わせて、笑いあう。

と。


「な、なぁにいちゃん……。さっきの話、ほんと……?」


路地の陰から痩せた子供が、こちらを信じられないものを見た目で見ていました。


「本当だよ。」

「じゃ、じゃあ……。お、俺たちにも分けてください!」


信志さんが頷いたのを見て、その子は、その場でいきなりひざまづきました。

私が驚いてしまう間。

その子をじっと見つめた信志さんは。


「とりあえず話を聞かせて。」


そう言ってその子を助け起こすのでした。

こんばんは、Whoです。

この話では初めて出てきた「奴隷」。

いろいろな設定の奴隷があるかと思いますが、このお話では、あくまで職の一つのようなものです。

生活は保障されますし、それが侵された場合は、周りから責められます。

あまり自由のない使用人、というのが近いかもしれません。

なので、今後虐待やエロいのは多分出てきません。多分。


ではでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ