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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
107/159

side 信志

「ここは……?」


そんなアイリスの声で目が覚めた。

辺りを見渡してみると、またも景色が変わっている。


「どうも、また飛ばされたみたいっすね。」

「みたいだね。」


流石に二回目ともなれば、幾分マシだ。

すぐに落ち着いて、もう一度周りを見渡し始める。

いるのはボクとアイリス、ロット。

それから。


「っ!ネロさん!!」


ボクらの中でいち早く気がついたアイリスが駆け寄る。

そこには、さっきまでと変わらない様子でネロが倒れたままだった。

……。

というよりも、気のせいか、少し顔色が悪くなっているようにも見える。


「『メディカライズ』!」


同じことを考えたのか、駆け寄ったアイリスが診断を始める。

淡い光がネロを包んだ後、すぐに消えて行った。


「どう?」

「だめです。すぐにでもどこかでちゃんと手当をしないと……。」

「と言っても、ここは見たことない場所だし、なぜか周りの声も聞こえないし……。」


やはり、ネロの様子はあまり良くないらしい。

と言っても、ここはアイリスも、ましてやボクも知らない場所。

どっちへ行けばなにがあるかなんてーーー。


「あぁ!!」

「うわ!びっくりした。」

「どうしたんですか、ロットさん。」


さっぱりわからない、と思ったところで近くから叫ぶ声が上がる。

もちろん、近くにいたロットの声だ。


「ここここ、ここ。ここ、見たことあるなって思ってたん、すけど。」


ばたばたと両手を振り回しながら、興奮気味に喋るロット。

まるで鶏の鳴き声みたいになってしまっている。


「ここ、自分の故郷の近く、つまりは魔族が住んでる場所っす!!魔界っすよ!!」


っすよ!

っすよ。

っすよ……。

一気に喋り抜いたロットの、そのエコーが辺りに響く。


「…………。」

「…………。」


そのエコーが聞こえなくなって。

それからさらに、少しの時間が経ってから。


「うそ……。」


そんなアイリスの零した言葉が、静かに周りに溶けて消えた。



◇◆◇◆◇◆



ロットの言葉で、ここが魔界だと知った後。

そのロットの案内で、ボクらはひとまず、彼女の故郷を目指していた。


「もうすぐっすよ。ーーーあれが自分の故郷、『ロミセナ』っす。」


ロットの声に、下がり気味だった顔を上げる。

すると、さっきよりもずいぶん近くに、その村は見えていた。

小さな柵の中に小ぢんまりとした家がいくつかと、物見台だろうか、一つの大きな塔があるだけの小さな村。

元の世界で言うところの農村に近い村は、とてもアイリスたちが言うような凶暴な魔族が住んでいるようには見えない。


「…………。」


同じようなことを感じたのだろうか。

アイリスの顔は恐怖でも、喜びでもなく、少しの驚きだけがあるように見えた。


パチン!


見ている前で、両手で自分の頬を叩いた。

それからこちらを向いて。


「行きましょう、信志さん。」

「ーーーうん。」


そう言うアイリスの顔は、いつもの顔だった。

頷いて、また前を向く。

ロットが少し離れた場所で、待っている。

その場所と、その先にある村に向かって、一歩。



◇◆◇◆◇◆



「よ、しょっと……。」


落とさないように慎重に、背中のネロを下ろす。

ひとまずこれで、今日の夜を無事に過ごせそうだ。

すかさず、アイリスが『メディカライズ』と『ヒーラス』を唱えるのを横目に、詰めていた息を吐き出す。

しばらくすると、一通り手当が終わったのか、アイリスも近くに座り込んで息を吐き出した。


「なんとか無事にたどり着けましたね。」

「うん、ロットの故郷の近くでよかった。」


二人して辺りを見回す。

ここはロットの故郷であるロミセナ、その中にあるロットの両親の家だ。

ロミセナにたどり着いたボクらは、少しの問答の後、ひとまずはここに通された。

当然、ボクらのような人間が突然訪ねて来ても、村に入れるわけはない。

ロットが一緒であったことと、背中にいたネロの存在。

それから、ここまでの事情を話す、という条件でなんとか入れてもらえた。


「信じて、もらえるでしょうか。」


どうだろうか。

形だけとはいえ、同じ人間から追放されてたどり着いた街。

その街で、魔族に襲われて、村の近くまで飛ばされてしまった。

これだけでもとても信じられない。

まだ、近くに偵察にやって来た斥候、と言う方が現実味があるような気もする。

ーーーけれど。


「話そう。きっと信じてもらえるよ。」


信じてもらうために信じる。

ここにきてようやく、ボクは戦争を止めるために動き始めることができたのかもしれない。

こんばんは、Whoです。


おかしい。

この章では街からでないプロットだったはずなのに……。

おのれボロネーゼ!


とまあ、少しばかりの冗談はさておき。

もう少し続きます。


ではでは。

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