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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
105/159

side 信志

「やあ。おっきたかい?」


目が覚めると、隣から声が聞こえて来た。


「おっき……?」

「ゴホン!……んんっ!」


聞きなれない言葉に首を傾げると、咳払い。

そして。


「やぁ、起きたかい?気分は大丈夫?」

「え?ええ、っと……はい。」


もう一度最初から言い直された。

どうやら噛んでしまっていたらしい。


「よかった。なんとか無事に成功したみたいだね。」

「成功……?」

「おや、覚えていないかい?ま、それも無理ないか。あの場を助けたのは私なんだ。」


さらりと。

そんな、なんでもない風に言われてしまう。

そこでやっと気がついた。

ここは街の地下にある通路じゃない。


「あ、ありがとう、ございます。」

「お。ちゃんとお礼が言える子は、お姉さん、好きだぞ。」


正直、何が何だかわからないけれど、確かにここはさっきもでの場所じゃない。

このお姉さん(?)が言ってることは本当なんだろう。

それにしても。

あまりにあっさりと言われてしまうから、変に戸惑ってお礼を言うのにつっかえてしまった。


「それで、あの後どうなったんですか?」

「うん、私もそれを説明してあげたいところなんだけどーー。」

「信志さん!!」


お姉さんの言葉に被せるように、アイリスの声がする。

びっくりして振り向くと、アイリスとロット。

それから、ネロも。

みんなが起き上がっていた。

そしてさらにその先。


「あちゃー、もう見つかっちゃってたか。」


ついさっきまで、感じていた感じ。

心がぞわりと、何かを拒む印象。

遠くに微かに見える姿は。


「ボロ、ネーゼ!」

「もうちょっと隠れられると思ったんだけど、やっぱり甘かったか。」


ギリリ、と強く噛んだのか、押し殺したようなネロの声と対称に、お姉さんの声はどこまでもマイペースなものだった。



◇◆◇◆◇◆



「おやおやこれは、みなさんお揃いで。」


さっきもしたはずのお辞儀を繰り返すボロネーゼ。

その動作はさらに大仰なものになっていた。


「そして。初めまして、お嬢さん。よければお名前をお伺いしても?」

「こちらばかりが知っているのも不公平だからね、いいよ。私はアマテ。巫女をさせてもらっている。」

「ほう、アマテさんとおっしゃるのですか。……それはそれは、いいお名前です。」


うんうん、と何度も頷くボロネーゼと。


「だろう?実は、私も結構気に入っている名前なんだ。」


同じように何度も頷くお姉さん、改めアマテさん。

しばらく頷きあった後。


「それは、殺し甲斐のある、良いお名前です。」

「奇遇だね、私もちょうどそう思っていたところさ。」


まっすぐお互いを見て、まっすぐに言い放つ。

そのピリッとした空気を、間に割って入った影が、打ち消した。


「……ボロネーゼ!私に何をした!?」

「…これはこれはネロ様。ご無事でしたか。」

「……白々しい。質問に答えて。」


まだ体の力が戻っていないのか、ふらつきながらもボロネーゼに噛み付くネロをアイリスが支える。

その顔色はまだ悪く、足も震えている。


「『何を』と、おっしゃられましても。文字通りいただいたんですよ。貴方様の『力』を。」

「……うそ。」

「嘘じゃありませんとも。現に貴方様の『力』はなくなっているのでしょう?」


言われてネロが自分の手を握って開く。

それはボクのような素人目から見ても、決して力があるようには見えない。

もちろんそれは、ネロ自身も分かりきっているようで。


「……どうやって。」

「………………。そこまでお答えする義理はないのですが。まぁ、いいでしょう。簡単ですよ。分散したんです、貴方様の『力』を。」

「……分散?」

「ええ、ええ、そうですとも。『力』がまとまっているうちは、外部から干渉できない。それぐらいはご存知でしょう?ですから、貴方様に『力』を分散していただいたんです。」

「……まさか。」

「その通り!!貴方様がたくさん呼び出した屍。あれら一つ一つに『力』は宿る。あとはそれを少しずついただけばいい。簡単なお仕事でしたよ!!」

「……く。」

「ネロさん!」


そこまで聞いて、ネロと、支えていたアイリスがしゃがみ込んでしまう。

そして。


「…………。」


小さく、口を動かしてアイリスが何かを呟くと、ネロの顔色が一瞬だけ和らぐ。

そのネロをそのまま、横に寝かし。


「ふざけないでください。」


ボクらが聞いたこともないような声色で、アイリスは目の前のピエロにそう言い放った。

こんばんは、Whoです。


アイリスがキレる寸前。

と思ってたけど、よく考えたら、すでにキレてそうだなぁ、これ。


ではでは。

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