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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
104/159

side extra

ゴウ!

と、最後の一凪を起こして風がやむ。

さっきまでその中心に立っていたはずの彼らの姿はどこにもない。


「おやおやぁ?」


その場で一人、その風を起こした張本人だけが首をかしげていた。

傾げてはいるが、その顔は到底不思議がっているようには見えず、どこか面白がっているような節すらある。


「邪魔が入ってしまいましたねぇ。」


邪魔が入った。

つまりは、思惑が外れたと言うのに、その顔は変わらない。


「しかし、これは……。」


呟いて自らの手に視線を落とす。

握ったり開いたりを繰り返して、その調子を確かめる。

そして。


にやぁ……。


「素晴らしい!!素晴らしいですとも!!……ええ、ええ、これを喜ばずにいられましょうか!!」


甲高い声が、辺りに響き渡った。

同時に、ピエロは自覚する。

今この身体には、本来の力以上が満ち満ちている。

いくらボロネーゼが上位の魔族だとしても、勇者とそれを呼んだ者を、同時に相手取ることは難しい。

では、どうするか。

ないなら、増やせばいいのだ。


「あぁ、あの顔……。思い出しただけでも……あっ!」


脳裏にあの少女の苦しそうな顔を思い浮かべるだけで、ブルリと身体が奮える。

そう、既にあの場でボロネーゼはネロの『力』を奪っていたのだ。

しかし、それもそう単純な話ではない。

そもそも。

『力』とは概念的な部分が多く、個人間で微妙に質が異なる。

それを均して、自分が使いやすいように加工する。

加えて、自分以外から『力』を流し込んだ影響で悲鳴をあげる、自らの肉体を維持する。

この二つをこなせてやっと、この現象を起こすことができるようになる。


(クク。加えてあの作戦も、予想以上にうまくいきました。……これも勇者の存在のおかげですかねェ。)


さて、とボロネーゼは思考を切り替える。

うまく行ったからと言って、いつまでも悦に浸っているわけにはいかない。

弱っているとは言え、勇者一行を逃してしまったのは事実。

早いうちに始末をしておかなければ、あのお方の怒りに触れかねない。

すっ、と一度目を閉じて開く。

その一瞬で勇者一行の位置を察知したボロネーゼは。

ゆっくり、楽しむように歩き始めた。

その顔は相変わらず、笑っていたが。

いつの間にか、不機嫌な様相・・・・・・が混ざっていた。



◇◆◇◆◇◆



目を開けると、ついさっきまでいた草原だった。

さっきまでと違うことは一つ。

隣に勇者と、召喚主。

それから、二人の魔族が転がっていることだ。


「ーーーっ!!」


瞬間、お腹の中からこみ上げてくるが、地面に手をついて、なんとか押しとどめる。

せっかく助けに入ったのに、ここでぶちまけてしまえば、微妙な空気になるのは必然。

それだけは、どうしても避けたい。

幸い、あふれ出すこともなく治ってくれたので、どさりと腰を落ち着ける。

なんとか悲劇は回避されたのだ。


(それにしても、結構無理しちゃったな……。)


仕方なかったとは言え、自分を含めた5人を同時に転移させるなんて、よくもまぁ成功したものだ。

とはいえ、さっきのピエロのような顔の魔族も、すぐにこちらを追いかけてくるかもしれない。

できれば早めになんとかしたいところだけど……。


「……ぅあ?」


と、思った時。

そんな、少し間抜けな声が聞こえてきた。

振り返ると、もぞもぞと動いている。

どうやら、最初に目が覚めたのは勇者らしい。


「おっと。」


それを見て、慌てて姿勢を正す。

なんでも最初が肝心だ。

ここはひとつ、大人の余裕とやらを見せつけておかなければいけない。

ゴホン、と咳払いをして勇者がこちらを向くのを待つ。

そして。


「やあ。おっきたかい?」


噛んだ。

こんばんは、Whoです。


全滅させられそうになった続きです。

助けに来てくれたのは誰なのか?

ボロネーゼとの決着は?

みたいな?


ではでは。

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