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花屋は商魂たくましい  作者: Who
三途の河編
100/159

side ???

「…………。」

「おや、ここにいたんですか。探しましたよ。」


シン・ドルムから少し離れた場所。

その空中には小さな影。

そして、そのすぐ後ろに、もう一つの影が現れた。


「何を見ているんです?」

「別に、なにも。」

「ほほう、あの街ですか。気になるので?」

「…………わかっているなら、言わなくていい。」


むすっとした顔で小さな影が答えると、やって来た方の影が肩をすくめる。


「やれやれ、変わりませんね。」

「それはお互い様。」

「あぁ、確かにそれもそうですね。」


そう言って二人は少し黙った。


「あの街。」

「はい?」

「あの街、今どうなっているの?」


チラリと影が街に目を向けると、その目には黒い靄のようなものが街を包み始めているのが見える。

それは、『よくないもの』、『悪意』。

それらが混ざり合って、可視化されるに至った澱みのようなもの。

自然に発生する量を大きく超えて、塵積もっている。

それをわかった上で、影は肩をすくめることにした。


「さて。私にもわかりません。……いっそのこと向かって見ては?」


指を立てながら提案する影を、小さい方は睨みつけるように目を向ける。

自分が行けないことも、行ってはダメなことも分かっている。

わかった上で、影はそんな提案をしているのだ。

思わずぶん殴りそうになる手を抑えて、また街を見る。

おや、無視ですか、などと宣う影は強引に無視した。


(あの場所には、『勇者』も、召喚主である『姫』もいる。なのにこの感じ……。)


自分には予想もできないことが起ころうとしているのか。

考えてもわからない。

ならば今はせめて、その二人の無事を祈るしかない。

祈るしか、なかった。



◇◆◇◆◇◆



「ねえ、どうして私は……してはいけないの?」


幼いながらも、本当はわかっていた。

自分が他の存在とは違うことが。

だからそれを聞いたのは不思議だからというよりは、ただのわがままに近かったのかもしれない。


「何度も言っているだろう?お前は特別な存在なんだ。それを知られるわけにはいかないんだよ。」

「でも私も、お外に行ってみたい。」

「お願いだからわがままを言わないでくれ。お前は、……なんだ。」


そう言って、少し困った顔をしながら頭を撫でてくれた父。

ゴツゴツとしていても、優しく撫でてくれるその手が、私は好きだった。


「じゃあ、私がそうじゃなくなればお外に出てもいいの?」

「そうだなぁ。そうかもしれない。」

「ほんと!?」

「でもそれだと父さんが困っちゃうな。」


その時は特に何も考えずに言った、『自分の立場を捨てる』と言うこと。

それを聞いた父は、いつもよりさらに困った顔になって。

私はそれ以上わがままを言えなかった。


そんなある日。

家の中にある大きな物入れに、私はどことなく興味を惹かれた。

別に特別な見た目をしていたわけでもなく、新しく家にやって来たものでもない。

ずうっと家にあったはずなのに、今日に限ってやけにそれが気になってしまった。


(覗いてみようか。)


日頃から退屈な日々を送っている私が、そんな結論に至るのは無理もない話だった。

物入れは口が上向きになっているので、ちょうど私からは中身が見えないし、そもそも開けることができなくなっている。

あたりを見渡すと、ちょうどいい足場を発見。

さっそく、物入れの前まで持ってくる。


(綺麗なものだったらお父様にお願いして分けてもらおう。)


特に誰かに見せるでなくても、綺麗でいたい。

私もちゃんと女の子だったのだ。

手を添えて、えいやと蓋を持ち上げて見る。

鍵はなく、何の抵抗もなく蓋が動き出す。

瞬間。


どろりーー。


ぬちゃっとした何かが這い出してくる。

ぺちゃりぺちゃりと音を立てながら、物入れの壁を登ってくる。

蓋が完全に開くまでもう少しーーー。


「やめろ。」


そのもう少しのところで、横から手が生えて来て、蓋を押さえつけた。

その手の先には体があって、その上には父の顔があった。

けれどその顔は、見たことがないほど強張っていて。


「馬鹿なことをするんじゃない!!」

「ひっ……!」


ぴしゃりと、怒鳴られた。

今まで聞いたことのなかった父のその剣幕に、危うく、足場から落ちそうになってしまう。

それにハッとしたのか、父はすぐさま顔をいつもの顔に戻して、私が落ちないように手を貸してくれた。


「ご、ごめん。急に大きな声を出して。」


喋る声もいつもの感じに戻っている。

けれど、その目だけは、なにか危険なものを見るように揺れていた。

その時の父の顔も、声も怖かったけれど、その目だけは私にとってどこか悲しそうにも見えていたのをよく覚えている。

こんばんは、Whoです。


唐突に出て来た第三勢力(らしき二人)。

彼らの目的や如何に。

ということで。


そろそろ登場人物整理しないと名前間違えたりしそうで怖いです。


ではでは。

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