第37話 「青年メイド」 エリア:貿易都市サウザン(魔法道具店キルア)
「あらあら、変態くん似合ってるわよ〜」
「まさか、ユウのメイド服姿がこんなにも様になるなんてね」
「……驚き」
「さいですか……」
エプロンもといメイド服を無理やり着させられた俺は、レ〇プされた少女のようにただひたすら虚空を見つめていた。
「ふふっ、それじゃあ3人には明日からその服を着て働いてもらうから」
「……この姿で働く? なんのご冗談を?」
「冗談なんかじゃないわよ。だって変態くんたちはお金を稼ぎたいんでしょ?」
「いや、そうですけど……いや、そうですけどね」
「だったら文句は言わずに従いなさいな」
「ワケワカメ……」
「シャルルちゃんもシェリーちゃんも恥ずかしい思いしてるんだから、変態くんも頑張りなさい」
「頑張ろう、ユウ」
「………やるしかない」
「あーもう! わかった、やりますよ!」
女子3人にゴリ押しされ、俺は覚悟を決めた。
メイド服を着てやるとーー
「最初から素直にそう言えばいいのに。それじゃあ、明日の朝10時にまたこの店に来なさい。あなたたちの職場に案内するから」
「そういえば、まだ仕事の内容教えてもらってないんですけど」
「あら? そうだったかしら〜?」
「いや、しらばっくれても無駄ですよ。一度も仕事の内容は聞いてません」
「変態くんは面倒くさいわね……死ね」
あれ、今死を願われたような……
き、気のせいだよね?
「そ、そんなこと言わずにですね……」
「だーめ、明日のお楽しみ〜」
「ちょっ、キルアさ……」
「……〇〇〇もぎ取るわよ?」
「明日楽しみにしてまーす!」
結局、俺は最後まで仕事の内容を聞くことができなかった。
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夕日に焼ける街並み。
俺たち3人は黄昏の空を眺めながら、無心の表情で街を歩いていた。
「女装……女装はねえよ、女装は」
「ご愁傷様」
「……頑張れ」
「お前たちもな」
メイド服を着て仕事をする。
考えただけでも死にたくなってしまう。
確かに、幼い頃は女の子と間違えられたことはあった。
だが、今はないだろ。
明らかにメイド服を着た男、つまり変態だ。
もうヤダ、おうち帰りたい……
「とにかくやるしかないか……」
「そうだね」
「……うん」
お互いの表情を曇らせながら、ギルドへと向かって歩いて行った。




