第36話 「危機とプライド」 エリア:貿易都市サウザン(魔法道具店キルア)
「どうしてこうなった……」
金を簡単に稼ぐ方法があると言ったキルアさんが、シャルルとシェリーを店の奥まで連れて行って数十分。
キルアさんはメイド服のようなフリルの付いた、エプロンを着けたシャルルとシェリーを連れ、俺の元へと帰ってきた。
「あらあら、やっぱり似合うわねえ」
「なんで僕たちが……」
「……恥ずかしい」
「「うぅ……ギリッ」」
キルアさんの企みによって、メイド服を着させられたシャルルとシェリーは俺のことを睨みつけていた。
「ちょっ、俺のせいじゃないから! どういうことですかキルアさん!」
「ん? どうもこうもお金を稼ぎたいんだろ? だったら躰を張らないと」
「いや、何言ってるのか全然理解できないっす」
キルアさんが金を稼ぐ良い方法があると言っていたから信じてみたものの……ダメだなこりゃ。
「キルアさん、やっぱり自分たちは――」
「金貨500枚」
「はい?」
「この服を着てある店で2週間働いてくれたら金貨500枚をお給料であげる」
「なっ!?」
金貨500枚だとぅ!?
もしそれが本当なら期限までに金を返せるじゃないか!
「ほ、本当ですかキルアさん!」
「ええ、もちのろんよ」
ヒャッハー!
金で踊らされてる気がするがそんなの関係ねえや!
これで借金返せるぜ!
――と、思ったが。
「ちょっと待ってユウ。僕たちやるなんて言ってないんだけど」
「……言ってない」
「じゃあ、やってくれ」
「「やだ」」
「うん、知ってた」
シャルルとシェリーに反対されてしまった。
まあ、これは想定のうちだ。
「シャルル、シェリー……俺たちにはもう選択肢が無いんだ。もうの方法しか無い」
「だってユウはバイトで稼げるって……」
そうか、シャルルはまだ俺のことを信じてくれているのか。
なら、本当のことを教えてやらんとな。
「すまん、無理」
「えぇ……」
シャルルは俺の答えを聞くと、肩を落としてうなだれてしまった。
「シェリーも大丈夫だよな?」
「……無理」
「マジ?」
「……無理」
「そこをなんとか頼むよ。ギルドの危機を乗り越えられるんだぞ?」
「……代わりに私に大きな危機が訪れる」
「そこを――」
「……無理」
うーむ、このままじゃ埒があかないな。
そんな時ーー
「2人とも安心して。このエプロンは変態くんにも着けてもらうから」
キルアさんから放たれた言葉によって、俺にも大きな危機が訪れることとなった。




