第35話 「幕間:キルアの記憶3」 エリア:貿易都市サウザン(魔法道具店キルア)
「これで私が知っていることは全部話したわ」
キルアさんはそう言うと、俺の目を見つめて問い掛けをしてきた。
「さて、この話を聞いた変態くんはどうするつもりなのかしら?」
「どうするって……借金を返済するしかないじゃないですか」
俺はそう答えた。
それしかやることはないと考えたからだ。
「私が言ってるのはね、この街から去って他の街に行けばいいってことよ」
「いや、今更逃げたりなんかしませんよ」
「本当に? 正直逃げたいんじゃないの?」
「……」
正直なことを言ってしまうと、借金まみれのギルドになんか所属したくない。
ロクな目に遭いそうだからだ。
だが――
「俺は今まで引きこもりのクソニートでした」
「え、ニート? 何それ美味しいの?」
「美味しくありません。社会のゴミのことです」
「 あら、変態くん社会のゴミだったのね」
ゴファッ!
そんなに率直に言われると精神へのダメージががが。
「す、すみません、ちょっとイイ話するんで黙っててください」
「自分でイイ話とか言っちゃうのね……」
このままじゃ話が進まん。
俺はキルアさんの放つ言葉を無視して、真剣な口調で話す。
「俺はもう逃げたくないんです。もしここでこのギルドから逃げたら、後で死ぬほど後悔すると思うんです。何より……交わした約束は守らないと」
「そう。一応、覚悟はあるみたいね」
「それはモチのロンですよ」
「じゃあ、お金を効率的に稼ぐ方法もちゃんとあるのね」
「うっ、それは……」
「ないんでしょ?」
「……はい」
「あんなこと言ってたのにてんでダメね」
「すみません……」
キルアさんに返す言葉がなかった。
恥ずかしいことに、バイトで金を稼ぐ以外の考えは俺の頭にない。
商品開発や販売にでも挑戦しようかと思ったが、見知らぬ土地で行うにはリスクが大きすぎる。
最悪、今よりも借金が増えてしまうかもしれない。
ゆえに、バイト以外の考えが浮かばなかった。
「バイトなんかしたところで借金は返しきれないのは理解してる?」
「うぅ……はい」
「ふふっ、仕方ないわね。私がお金を簡単に稼ぐ方法を教えてあげるわ」
なん……だと!?
金を簡単に稼ぐ方法があるのか!?
教えてもらわなければ!!
「ぜ、ぜひ教えてください!! なんでもしますから!」
「今なんでもするって言ったわね?」
キルアさんはシャルルとシェリーの顔を見ながら、ニヤリと笑っていた。




