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剣さえあれば魔法なんていらない!  作者: 神桜
第1章 輝ける星々
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第33話 「幕間:キルアの記憶1」 エリア:貿易都市サウザン(魔法道具店キルア)

 

「シルフィーちゃんのお父さんは私たちと同じ冒険者だったの」


 キルアさんの口から語られたのは、シルフィーの父さんの過去だった。


「ユウキ・アカツキ、シルフィーちゃんのお父さんであり私たちの仲間だった男の名前よ」


「ユウキ・アカツキ?」


「ええ、多くの人に慕われていた優秀な冒険者よ」


 多くの人に慕われていた……か。

 過去形ということは、今は違うのかもしれないな。

 というか娘に借金背負わして何やってるんだ、シルフィーの父さんは。


「それで、今シルフィーの父さんはどこに?」


「もう死んでるわ」


「……」


 死んでる。

 そうか死んでるのか。

 もしかして借金取りに殺されたのか?

 それとも他の殺され方を――


「ユウキは魔王軍の兵士たちに殺されたの」


「え?」


「ユウキは私たちを助けるために犠牲になったのよ」


 この話を聞いたとき、さすがに言葉が出なかった。

 魔王軍の兵士に殺されたって……


「一体何があったんですか」


「……それは――」


 キルアさんは一瞬口を(つぐ)いだが、すぐに口を開き当時の状況を語ってくれた。


「今から10年前、私たちが魔王討伐のために魔王領へ遠征に向かっていたとき、途中の渓谷で敵に挟み討ちにされてしまったの」


 渓谷で敵に囲まれた、か。


「その渓谷は2つの崖に挟まれていて逃げ場はなかった。なんとかして切り抜けようとしたのだけど、敵の数が多すぎて、尚且つ狭い渓谷で安易に強力な魔法も使うことができずどうすることもできなかった」


 確かにキルアさんの言う通り、渓谷で強力な魔法を使ったら周りの崖が崩壊し、無事では済まないだろう。

 それに加えて渓谷は狭い。

 そんな場所で挟み討ちされたらどうすることもできない。


「そんな絶望的な状況で、ユウキが自分が囮になるからその間に逃げろと言ったの」


「1人が囮になったところで、渓谷から抜け出せないのでは? 挟み討ちにされてるんですよね?」


 挟み討ちにされて逃げ場が無い状況で1人が囮になったところでどうすることもできないはずだ。


「変態くんは囮魔法を知らないの?」


「囮魔法?」


 え、この世界囮魔法なんてあるの?

 そういう魔法はRPGの世界にだけあるもんだと思ってた。


「死んでも生き返れない世界にタゲ集中魔法があるなんて驚きです」


「タ、タゲ? よくわからないけど、囮魔法は元々禁呪だから普通の人間じゃ使えないわ。ユウキは魔法の天才だったから使えたの」


「そうですよね。命をかける魔法がそう易々使えるはずがないですもんね」


「ええ……そうね。そうだ、話はまだまだ長くなるし、シャルルちゃんとシェリーちゃんに飲み物でも淹れてくるから待ってて」


「ちょっ、キルアさん!?」


 キルアさんはそう言って逃げるように店の奥に引っ込んでしまった。

 てか、俺の名前入ってなかったな。


「キルアさん、思い出したくないもの思い出したから……少し休ませてあげて」


「……キルア、辛そうだった」


「あ……そうか……」


 シャルルとシェリーのおかげで理解できた。

 自分の仲間が死んでしまったときの話だ。

 気楽に話せるようなものじゃない。


「……黙って待ってるか」


 俺は黙ってキルアさんが戻ってくるのを待つことにした。

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