第32話 「次余計なことを言ったら口を縫い合わすから」 エリア:貿易都市サウザン(中心部)
「それで、シャルルちゃんは私に何の用があったの?」
「実は――」
シャルルは、ギルドの置かれている状況を事細かに説明する。
主に借金のことだが。
「やっぱりあの時の借金がまだ残ってるのね」
「はい……」
あの時の借金?
というかそもそも、輝ける星々はなぜ借金をしてしまったんだ?
普通に生活してれば借金をすることなんてなかろうに。
「すみませんキルアさん、あの時の借金とは何のことなんですか?」
どうして借金をしてしまったのか知らないのはマズイ。
今後、同じような過ちを繰り返さないためにも知ることは重要だ。
「あら、いつ私のことをキルアさんと呼んでいいと言ったかしら? 変態くん?」
「勘弁してください!」
変態扱いは勘弁して欲しい。
俺は紳士なんや!
「そいつは無理な相談ね。貴方が変態という事実は変わらないわ」
「えぇ……」
面倒くせぇ……もう変態でいいや。
「話戻しますね。あの時の借金とは何のことなんですか?」
「……仕方ないわね、それは教えてあげる」
「ありがとうございます」
よかった、面倒くさいことにならなかった。
「まず、借金はシルフィーちゃんたちが作ったものじゃないわ」
「えっ、そうなんですか? てっきりシルフィーが市場を荒らしたりして作ったのだとばかり思ってました」
実際、シルフィーならそのようなことら簡単にやってみせるだろう。
とんでもない理不尽かまして。
「シルフィーちゃんがそんなことするはずがないじゃない。変態くんは死にたいの?」
なんでこの人シルフィーとかシャルルのことdisるとこんな怖い顔するの?
マジで殺されそう。
「生きたいです!」
「なら黙って話を聞いてなさい」
「レンジャー!」
俺は背筋を伸ばし、右手で精一杯の敬礼をして誠意を示す。
「まったく、話が逸れちゃったじゃない。次余計なこと言ったら口を縫い合わすから」
うむ、この人ならやりかねんな。
何があっても黙って聞いていよう。
俺は心にそう誓った。
「本題に戻るわね。借金を誰が作ったかだけど……作ったのはシルフィーちゃんのお父さんよ」
キルアさんはそう俺に告げたとき、なぜか悔しそうな顔をしていた。




